2012/07/07

韓国人研究者が見た、反日日本人のナショナリズム



韓国の政治団体と一緒になって、慰安婦に謝罪・賠償をと叫んでいる日本人を、「反日・売国奴」といくらなじっても無意味である。なぜか?彼らは自分達を反日と思っていないし、売国奴とも思っていないからだ。皮肉にも、逆に彼らは愛国心に満ち満ちている。歪んだ愛国心と言うべきか。鄭鎭星(チョン・ジンソン)は、外国人としてこれに気がついた。もっとも、この人が日本人の「民族主義」をあれこれ言うのは、目くそ鼻くそを笑うようなものだろう(この人は、二年前の日韓歴史共同研究でも大活躍だったが)・・・。

チョン・ジンソンという人は、日本軍の性奴隷制度を調査する為にオランダやアメリカまで調査の手を伸ばしたが、韓国軍の慰安婦について一体どれほどのエネルギーを割いて調査したのだろう?何の話も聞こえて来ない。

慰安婦問題を反省する日本人は進歩的な人々である。しかし、その進歩的な日本人でも民族主義を乗り越えることが出来ない。・・・そういうチョン・ジンソン自身は、民族主義を乗り越えるどころか、その中にドップリと浸っている。彼女が興味あるのは、日本人による加害行為としての慰安婦問題だけである。上野千鶴子は「『軍隊性奴隷』パラダイムは、韓国の反日ナショナリズムのために動員されている」と指摘したが、その尖兵となっているのが、チョン・ジンソンのような研究者であろう(左上の写真:2007年、慰安婦強制連行の証拠を発見したと発表したチョン教授だが、既出と判明。功を焦ったと釈明した)。

水曜デモに参加した宝塚市議会議員
無邪気な彼女たちに反日の意識はない

日本政府と保守世論は勿論、国民基金(アジア女性基金)に賛同したグループも、結局は民族主義を基盤にする場合が多い。国民基金に積極的に介入して以前には在日韓国人のために活動をした日本の知識人に著者が、韓国人問題に関心を持つようになった動機を尋ねたときに、「それはもちろん日本社会をより良い社会に作るため」という答えがかえってきた。しかしこの問題の解決のために積極的に活動して国民基金に反対する一番進歩的な日本人の多くが、結局は日本をより良い社会にするためだという同じ動機と理由で活動しているという点に注目する必要がある。軍慰安婦問題で一番進歩的な目標を持った一人であり、韓国の運動にも非常に親密なある知識人は「どうして日本の恥部に触れるこの問題にこれほど深く関与するのか」を問うた著者に対し、「日本を倫理的に一段高い社会にするため」という返事をすぐにしたことがある。これはもしかしたら非常に自然な現象だが、問題はこのような「進歩的」民族主義がどの位の可能性を持っているかだ。初期にこの問題に真剣に参加した進歩的知識人たちが、責任者処罰問題で一部反対に回ったことや国民基金問題では大多数が抜けたことも、結局はどんな方法でも民族主義を乗り越えることができなかったからではないだろうか。

日本軍の性奴隷制度 鄭 鎭星 P.253

「良心的日本人」と呼ばれる人達の中には、自己(自国)を否定することによって、より高いステージに自分(自国)を昇華できると信じている人は少なくない。

問題は、こういった人たちが日本の罪が大きければ大きいほど反省によって得られる充実感が大きいと感じられるのか、話を誇張するところにある。軍が戦地に売春婦を伴ったという話を(倫理上の問題、管理上の問題はあるにしても)、「日本軍性奴隷制度」などと言い換えて国際的な大騒動に発展させる。巻き込まれた一般の日本人はたまったものではない。



鄭 鎭星 Amazonより

1953年生まれ。ソウル大学社会科学大学社会学科卒業、シカゴ大学にてPh‐D取得。徳成女子大学教授を経て、現在ソウル大学教授・同大学社会発展研究 所長。また国|連人権小委員会委員を経て、2008年8月より国連人権理事会諮問委員会委員(副議長)