2013/08/22

風俗嬢という職を選ぶ若者


こういうのを読むと、慰安婦騒動の中でまことしやかに語られる「女性の名誉と尊厳」って何なのかと・・・。

性風俗という職 働く若い女性に聞く

性風俗業を仕事に選ぶ若い女性が増えているという。合法であろうと、男女が金銭を介して性的サービスを受けたり、提供したりする関係には賛否両論がある。ただ、当事者である女性たちの思いを表立って聞く機会はあまりない。なぜ性風俗の世界に自ら入ったのか。実際に働いている3人=いずれも仮名=から現状を聞き、その背景を考えてみた。(担当・角雄記)

就職後も「副業に」/多くの出会い経験

東京都のりょうこさん(30)は6月から、都内のデリバリーヘルス店で働くようになった。男性客の元に出掛けて性的なサービスを行い、週3~4日、1日9時間の出勤で収入は20万円ほどだ。

事務職の契約社員として3年間働いてきたが、3月に契約が満了になったのがきっかけ。大学を卒業後、アルバイトや派遣、契約社員で事務や経理の仕事に携わったが、あまり好きにはなれなかった。「どうせなら、興味のある翻訳の仕事をしてみたくて」。勉強に割ける時間と望む収入を両立できる仕事を考えると、短時間で高収入が得られる性風俗業が選択肢に残った。

仕事には特に抵抗感なく入ったが、想定したほどは稼げていないという。接客時間が短くて料金も安い「激安店」でも掛け持ちで働いてみたが、客の数は多い半面、性病のリスクが高くなることなどもあって敬遠した。

「いろんな店を見た方が良い」という同業の女性からの勧めもあり、所属先は2カ月で3店舗目だ。都心から郊外の店へ移り、仕事が少し増えた。自由のきくシフトはやはり魅力。希望の職が見つかっても「副業として続けられたら」と考えるようになった。

現役の学生もいる。大阪府内の大学に通いながら、1年ほど前から性風俗店で働くまみさん(21)もその1人。週3回ほどの出勤で、学生ながら多い月は40万円以上を稼ぐこともある。

金銭的に困ってはいないものの、大阪市内の繁華街でスカウトに声を掛けられ、なんとなく働き始めた。大学にも、性風俗業で働く友人が1人いる。

業界で働き始めてから、いろんな女性に会ってきた。ドメスティックバイオレンス(DV)や貧困、生きづらさなどの問題を抱えながらも、職業が知られることを恐れて声を上げられない女性が多いことも知った。だから「この仕事をしてなかったら、薄っぺらい人生だったかも」と思うことがある。仕事はあまり好きではないが、今は辞め時を考えずに続けるつもりでいるという。



自身も性風俗業に携わり、業界で働く女性の支援団体の活動にも加わる関西地方の専門学校生ata(あた)さん(27)は、「若者の間で手軽に働けるイメージが広がっているのでは」とみる。スマートフォンで高収入求人サイトに気軽にアクセスできるなど、性風俗業の情報が女性に届きやすくなった側面もある。

一方で、育った環境などが理由で人間関係をうまく築くのが苦手で、「サービスを通して認めてもらえる」と自己肯定感を求める女性も少なからずいる。また30~40代が中心に在籍する性風俗店では、女性のほとんどがシングルマザーという。

性の意識の変化、自己の承認欲求、生活の困窮…。働く人が増えて競争が激化する背景には、さまざまな要因が複合的に絡み合っていると感じている。ただ、こうも思う。「この仕事があってぎりぎりのところで生きられた人もいる。性風俗業について考えるとき、『悪い仕事』と簡単に批判するだけでなく、そうした人たちの存在にも気づいてほしい」

「以前より収入厳しく」 研究者ら意見交換会

全国の性風俗店の数は店舗型と無店舗型を合わせ、2008年の約2万から12年の約2万7000へと大きく増えている。競争が激化する中、性風俗業で中長期的に生計を立てられるのか-。こんなテーマを掲げた意見交換会が7月下旬、当事者の女性や研究者らが参加して東京都内で開かれた。従来、性風俗業は「高収入」というイメージが強かったが、以前ほど稼げていない現状が報告された。

「セックスワーク・サミット」と題し、性風俗業の問題を研究する一般社団法人「ホワイトハンズ」(新潟市)が主催。働く女性たちにインタビューを重ねるライターの中村淳彦さんは「裕福に稼いでいるのは一握り。多くは会社勤めと同じか、それ以下にとどまっている」と問題提起した。

業界の女性を支援する団体「SWASH」(スウォッシュ)の要友紀子さんは「収入が不安定になれば、女性は客のハイリスクな求めに応じざるを得なくなり、ますます危険な職業になってしまう」と指摘。一般参加した社会学者の宮台真司さんは「生活に困窮した女性が業界で働くケースがあるが、そうした困窮者の支援は本来は行政が対応すべき課題だ」と述べた。

中日新聞 2013.8.17