2016/10/05

「お詫びの手紙」に日本政府不快感→韓国政府議論避ける

外交部スポークスマン(4日)

和解・癒し財団が日本政府に「お詫びの手紙」を要請した。現在韓国の市民団体や地方自治体が慰安婦問題の蒸し返しを図っているし、和解財団が追加措置を希望するのも彼らの勝手である。12.28合意違反というわけでもない。しかし、韓国政府として日本政府に追加措置を求めるのは政府間の約束事、合意違反である。韓国政府としてはやんわり言えば許されると思ったのだろうが、日本政府の逆鱗に触れてしまったようである。日経も日本政府の怒りの雰囲気を伝えている(こういう時は、産経の報道は信用しない)。日本政府の反応を見て、韓国政府はこれ以上この問題に触れない方が良いと判断したようである。

おわびの手紙、応じぬ構え=追加要請に政府不快感-慰安婦問題

元慰安婦を支援する韓国の財団が安倍晋三首相の「おわびの手紙」を求めている問題で、日本政府が不快感を強めている。手紙の送付は、財団設立などに関する昨年末の日韓両政府の合意に含まれておらず、韓国側が追加で要請してきたためだ。ソウルの日本大使館前の少女像撤去に進展が見られない中、日本は手紙の要請には応じない構えだ。

首相は3日の衆院予算委員会で、手紙の要請への対応について「(合意)内容の外であって、毛頭考えていない」と強調。岸田文雄外相も4日の記者会見で「合意は日韓両国外相が発表した内容に尽きている。それ以上でも以下でもない」との認識を示した。

村山富市氏から小泉純一郎氏までの各首相は、「女性のためのアジア平和国民基金」を通じた元慰安婦支援事業に関連して「おわびと反省」を表した手紙を送ってきた。韓国側はこうした手紙を念頭に置いているとみられ、日韓合意に反発する国内勢力の理解を得る材料としたい考えだ。

しかし、日本政府は合意に基づく財団への10億円拠出で「やるべきことはやった」との立場。手紙を追加要請した韓国側の対応について、政府高官の一人は「ゴールポスト(決着点)を動かすものだ」と厳しく批判する。別の政府関係者は「相手にしないのが一番」と切り捨てた。

自民党内でも、要請に応じない政府の姿勢を支持する声が多い。新藤義孝前総務相は4日、島根県・竹島問題に関する集会告知の記者会見で「後からハードルを上げるのは絶対に受け入れられない」と語った。

時事 2016.10.4[2]
韓国外務省 慰安婦めぐる安倍首相発言への言及避ける

・・・韓国外務省のチョ・ジュンヒョク(趙俊赫)報道官は、4日の記者会見で韓国政府の受け止めについて問われたのに対し、「安倍総理大臣の関連発言、特に具体的な表現については言及しない」と述べてコメントを避けました。そして、「元慰安婦の方々の名誉と尊厳が回復し、心の傷が癒やされるよう日本政府と引き続き協力していく」として、従来の立場を繰り返すにとどめました

韓国政府としては国内で今も、合意への反対の声が根強いだけに、書簡など安倍総理大臣のメッセージが直接、届くような措置がとられれば合意への理解が広がるものと期待しています。ただ、日本側がこれを明確に否定したのを受けて、当面この問題で議論を続けるのを避けた形です。

NHK(一部) 2016.10.4[2]

元慰安婦への「おわびの手紙」、韓国内で焦点化

・・・報道官は「発言については言及を控える」とし、「政府としては合意の精神と趣旨を尊重し、被害者の名誉の回復が速やかにできるよう日本側と協力していく」と説明。何度も同じ答弁を繰り返し、理解を求めた。

韓国政府としても、日韓合意に首相の手紙といった措置が明記されていないことから、実現の難しさは理解している。とはいえ、合意自体への反対論が依然根強い中で、「首相の手紙」によって理解が広がることにつながらないかとの期待がある。また安倍首相が手紙を出すかどうかが、韓国内で焦点化しつつあり、難しい対応を迫られている。

朝日(一部) 2016.10.4