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2011/03/23

全マスコミが強制連行を前提にしていた頃【西岡力】



今日の西岡力のブログから。

朝日新聞の報道被害が言われる中、「読売も同様の報道をしていた」と弁護する声もある。特にネットには。確かに当初は、新聞を含め、多くの人が慰安婦の強制連行を事実と思い込んでいた。しかし朝日が特筆されるのは、あの紙面を上げた大キャンペーンであり、間違いが分かった後もそれを押し通したことである。

さすがに現在では矛を収めているが、誤報を訂正しようとしないから風評は今も世界中に広がっている。原発事故が起こり多くの人が風評被害に困惑する今、朝日新聞のこうした姿勢がいかに問題か分かるはずだ。

現在では少し事情が変わってきていると感じるが、「謝罪すればするほど悪くなる日韓関係」というのも本当だと思う。少なくともごく最近まではそうだった。


田中明先生を偲ぶ 不肖の弟子として

...田中先生から「最初に論文を持ってきたとき西岡君は気の弱そうな世間知らずのお坊ちゃんだった」とよく言われてきた。そして「朝鮮問題は頭で取り組むのではなく、腹で取り組むのだ」と教えられた。私が曲がりなりにも拉致問題と慰安婦問題に取り組むことができたのも、田中先生のその教えがあったからだ。

慰安婦問題では1992年1月、田中先生と私のもう1人の師匠佐藤勝巳現代コリア研究所所長が「謝罪すればするほど悪くなる日韓関係」という対談を月刊文藝春秋で行った。たしか、田中先生は体調を崩されていてテープ起こしのゲラを病院のベットで点検されていた。対談で2人は公権力による強制連行説について疑問を提起した。

文藝春秋編集部はその対談を受けて、慰安婦問題について本格的に取り組むことを決め、私に調査と原稿執筆の依頼をしてきた。そのとき、田中先生は「これを引き受けることは大変なことだぞ」と、積極的には勧めなかった。当時は、産経新聞を含む全てのマスコミが強制連行があったことを前提に報道をしていた。ご自分はその渦中に入っていきながら、私がそこにつづいて入ろうとしたとき、消極的な態度を取られたことを思い出す。世間知らずのお坊ちゃんに、慰安婦問題での論陣を張る「腹」がないと思われたのだろうか。実は、そのとき文藝春秋に書いた論文が、田中先生の勉強部屋に置かれていた拙著「日韓誤解の深淵」に収録されている。...