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[参考]台湾の元シベリア抑留者に日本の有志から“特別給付金”
台湾の元シベリア抑留者に日本の有志から“特別給付金”
【宜蘭(台湾北東部)=吉村剛史】台湾の宜蘭市に住む元シベリア抑留者の男性に、日本の元抑留者有志から5万円の“特別給付金”が届いていたことが13日、分かった。政府の救済対象から外れた日本国籍以外の元抑留者に、仲間が送ったものだった。
受け取ったのは、元陸軍航空整備兵長の陳以文さん(86)。宜蘭に生まれた陳さんは、父の友人や、日本内地に進学した兄を頼って横浜に赴き、1944(昭和19)年に陸軍航空隊の少年飛行兵に志願した。45(昭和20)年春に満州で終戦を迎え、イルクーツク付近で3年間、強制労働に従事した。
「凍傷で耳や鼻を失う仲間や、脱走して撃たれた仲間もいた」という陳さんは48(昭和23)年秋、舞鶴を経て台湾に帰還した。
昨年6月、元抑留者に対し、25万円から150万円の一時金が支給される特措法が成立。しかし、日本国籍が対象だった。
今年5月に「全国抑留者補償協議会」(全抑協)も解散。給付金を受け取った有志が、その際、1口1万円の寄付金を募り、生存が判明している日本国籍以外の元抑留者数人に5万円から10万円の“特別給付金”を送った。全抑協の事務局長だった有光健さん(60)は「たとえ金額は少なくても、仲間に送りたいという気持ちが強かった」という。
陳さんは「東日本大震災で大変な時に…。忘れられた元日本兵として言いたいこともあるが、有志の配慮に感謝している」と話している。