矢嶋宰については、ちょうど去年の今ごろ取り上げた。他人ごとのようなレポートだが、ナヌムの家のボランティア出身の彼自身、ドイツで活動を行なっている当事者の一人である。
ドイツでの慰安婦(謝罪・賠償)運動は、日系人と韓国系が連帯して行なっている。去年の写真だが、韓国系の女性たちと街頭活動する「ベルリン・女の会」の池永記代美。
翻訳者である池永はよく知っているはずだが、ドイツ軍にも慰安所があった。どうしてこの人たちはドイツに行ってまで「日本軍慰安婦に正義を!」などとやっているのだろう?ドイツにいるならドイツ軍の慰安婦の為に活動すればいいと思うのだが・・・不思議な話である。
独軍の慰安所。ドイツでは殆ど問題視されていないらしい
それでも矢嶋のレポートは現地の様子を教えてくれる貴重な情報である。もちろん、彼が実情を正しく伝えているという保証はないが。
彼の報告が正しければ、
1. ドイツメディアの日本軍慰安婦問題に対する関心は高まっている
2. (独)社民党がドイツでも慰安婦決議を採択しようと提案
3. 与党は猛反対
与党議員の一人の反対の言い分が過激である。ドイツ人女性がソ連軍の兵士に強姦されたというのにアジアのことなど気にしている場合か、社民党はお友達であるプーチンにでも謝罪を求めろ、と言ったそうな。突っ込む所はそこなのか?我がドイツは自国の慰安婦に対し何ら補償をしていないのだから、日本のことを非難する資格はない!・・・ではなくて?
ドイツ議会で日本軍の問題が持ち出され、それに対しソ連軍の(ドイツ人に対する)加害行為が引き合いに出される。話も混乱しているが、ドイツでは誰も自国の慰安所政策について気にしていないらしいこともよく分かった。矢嶋や池永は、このことについてどう考えているのだろうか?
まるで問題視されていない独軍の慰安婦
矢嶋は違和感を感じないのだろうか?
韓国系の人々がドイツ(ヨーロッパ)でこの問題を熱心にアピールするのはまだ理解できる。しかし、これらの日本人の行動は理解し難い。
冒頭の写真。運動家たちが手にしている横断幕には、慰安婦(Trostfrauen)を、第二次大戦中に日本陸軍によって売春を強制された人々(Zwangsprostituierte der japanischen Armee im 2.Weltkrieg)と書かれている。(日本語訳が間違っていたら、指摘して下さい)
強制売春はむしろ独軍の方なのだが(日本軍のはどちらかというと仏軍の「慰安所」に近い)
八月一五日に一〇三五回を迎えた日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求める「水曜デモ」。韓国・ソウルの挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)の呼びかけに応じ東京などでも連帯アクションが開かれたが、八日にはベルリンでもスタンディングデモが行なわれた。主催は「プロジェクト1035(旧称プロジェクト700)」。二〇〇六年に「水曜デモ」が七〇〇回を迎えたのを機に、ベルリン在住の韓国・日本人女性からなる複数の団体が結成したグループだ。以後、毎年夏に街角で被害女性たちの現状を訴えてきたが、この日も支援メッセージを集めたり関連資料を配布したりした。
ドイツではここ数年、民間団体「コリア連盟」がこの問題をテーマとした行事や映画上映、出張講演などを積極的に行なってきたこともあり、現地メディアで取り上げられる機会が増え市民の支援の輪も広がりつつある。一方で足踏み状態なのがドイツ連邦議会。欧州・米国議会で日本に早期解決を求める決議案が成立したのを受け、社民党(野党)の議員が連邦議会で審議されるべき議題として今年三月に提案したが、キリスト教民主同盟(与党)は猛反対。急先鋒であるエリカ・シュタインバッハ議員は「アジアを見る必要はない。ソ連軍兵士により二〇〇万人近いドイツ人女性たちが性的被害を受けている。社民党は盟友であるプーチン氏に謝罪を求めるべきだ」と答弁。この議員はドイツによる加害を棚上げし被害を強調することで知られており、ナチス崩壊期から戦後にかけて東欧各地から追放されたドイツ系住民の財産返還を求める運動を起こし、ポーランドとの間に緊張関係を生じさせる原因となっている。
デモに参加したアンティエ・モラゾヴァさんは「古今東西、戦時下の女性は常に性的被害の危険にさらされています。ゆえに国境を越えた連帯で被害女性たちを支援していくことが大切」と語った。
週間金曜日ニュース 2012.9.4