5年前、強制(連行)の証拠はあると外国人記者の前でやった一人が林
多くの海外メディアをミスリードした (安部首相失言騒動)
一国の軍隊が公式に売春宿を維持していたこと(慰安婦システム)を非難するのはいい。しかし、一部の研究者(「慰安婦問題の専門家」と呼ばれる人たち)の斜め上ぶりには呆れる。吉見義明や林博史といった人たちのことである。
おさらいしておくと、韓国系の人々がアメリカで慰安婦問題のキャンペーンをやっている。それはあまりにも実像とはかけ離れたもので、その為に多くの日本人が不愉快な思いをしている。これまで日本の良識派が繰り返していたのは、林が言っているのと同じ、問題は慰安所での生活の強制性、その点を世界から指摘されているのだという説明だった。
ところが、外国の報道を見ると実際は全く違う。パリセイズパーク市の慰安婦碑は、その点を明確にしてくれた。碑文には「20万人以上の女性が日本帝国政府の軍隊によって拉致された」と書かれていたからである。これを見てもまだ「問われているのは、強制性である」とか「軍の関与が問題」などと言えるのかと思っていたら、林は相変わらずこう言い張っているのである。
ABDUCTED BY THE ARMED FORCES と書かれてますが?
「問題の本質は、連行時の『強制』性だけにあるのではなく、女性たちが意に反して日本国(軍)の管理下で監禁・性的虐待を受けたことにある。そのことを示す史料・裁判判決や証言は数多くある。『慰安婦』制度に対しては、米国だけでなく国際社会全体で『人権侵害』との共通認識があり、そのことを理解すべきだ」
この文章、「問題の本質は」云々は林らの意見に過ぎない。それを「国際社会全体の共通認識」に摩り替えている。
米国ニュージャージー州の地元紙『スターレッジャー』(約二三万部)の一一月四日付に、従軍「慰安婦」に関する意見広告が掲載された。作曲家のすぎやまこういち氏やジャーナリストの櫻井よしこ氏らで構成する歴史事実委員会が呼びかけ、自民党の安倍晋三総裁や民主党の松原仁元拉致問題担当相など三九人の国会議員も賛同者として名を連ねた。
彼らの主張はおおよそ、「(日本敗戦前のアジア諸地域で)女性たちが日本軍によって意に反して『慰安婦』にさせられた、という史料はない」「逆に、そのようなことをしないよう斡旋業者らに注意を促した多くの文書がある」「彼女たちは性奴隷ではなく、商行為をしていた」といった内容だ。
なぜニュージャージー州での広告なのか。約二年前、韓国系米国人が多く居住する同州パリセイズパーク市の公立図書館に、旧日本軍に性奴隷にされた女性たちの記念碑が建立された。それに対し、今回の広告掲載を主導した人たちを中心に反発が強まっていた。
一一月六日、広告の呼びかけ人や賛同者らが東京で記者会見を行なった。すぎやま氏は「要するに元が嘘なんです。わが日本国と日本国民の名誉のかかった問題だ」などと語った(「YouTube」参照)。
歴史事実委員会は、二〇〇七年にも『ワシントン・ポスト』に類似の意見広告を出し、米国議会や一般市民から顰蹙を買い、日本の信用を落としている。
関東学院大学の林博史教授(現代史)は、今回の広告掲載について「問題の本質は、連行時の『強制』性だけにあるのではなく、女性たちが意に反して日本国(軍)の管理下で監禁・性的虐待を受けたことにある。そのことを示す史料・裁判判決や証言は数多くある。『慰安婦』制度に対しては、米国だけでなく国際社会全体で『人権侵害』との共通認識があり、そのことを理解すべきだ」と語った。
(星徹・ルポライター、11月30日号)
週間金曜ニュース 2012.12.14