安倍首相を追及する小川 (2.28)
意図的に話を混乱させている
20年に渡る慰安婦騒動の中で、小川敏夫は目立つ存在ではない。しかしこの期に及んでこういう調子なら、言いっ放しにさせるわけにはいかないだろう。
2月18日の参議院予算委員会での安倍首相に対する小川議員の質問。ちょっと聞くと、「強制的に軍が家に入り込み、女性を連れて行って慰安婦にした」・・・いわゆる強制連行の否定を咎めているのかと思うが、よく聴くと違う。小川は、河野談話には強制連行を認めたとは書かれていない・・・にも関わらず、そう書かれているかのように安倍が話していると批判しているのである。
確かに河野談話は、慰安婦の強制連行を認めたものではない。だが、韓国政府が「河野談話を通じて認めた強制連行の事実を受け入れ」よと言った(時事)のは、小川も仕えた野田政権の時である(この時、法相は小川の後任 滝実)。アメリカでもそのように受け取られているわけで、河野談話の見直し論には正当な理由がある。小川だって、慰安婦の強制連行は「(事実と異なる)不名誉」な話だと認めているのである。
そして「あなたの発言で外交問題になっている」「ニューヨーク・タイムズも大変批判しておる」というセリフ。彼は、そのNYTが「不名誉」な事実誤認を書き散らした張本人であることを知っているはずだ。
総理は、河野洋平官房長官談話によって、強制的に軍が家に入り込み、女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという不名誉を日本は背負っていると、こういう発言をしたようですが、この発言の趣旨はどういうことですか。[...]
[..]まず私は、総理のこの発言については非常に重要な間違いがあって、総理のこの政治姿勢を問わなければならない。[..]この河野談話は、強制的に軍が家に入り込み、女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという、こういう強制の事実があったということは認めていません。しかし、総理は、河野談話が、そういう人さらいのように女性を連れてきて慰安婦にしたということを日本政府が河野談話によって認めたという誤った指摘をしておるわけです。[...]
前回、安倍総理が総理大臣をしているときに(2007年)、総理大臣として様々な発言をするから例えば米国下院から日本を批判するような決議があった。まさに、総理大臣として前回は様々な発言をして言わば外交問題を引き起こしておったわけですが[...]河野談話は、強制的に軍が家に入り込み、女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという、こういうことは認めていません。こういう不名誉なことは、河野談話、すなわち日本の政府は認めていないわけです。[...]
事実に基づかない発言を、総理、あなたが発言したことなんですよ。[...]まあ安倍総理が河野談話を余り好んでいないということはこれまでの言動から感じますがね。しかし、河野談話を言わば否定したいという気持ちがあったとしても、事実でないことを河野談話で言っているかのような、誤った事実を河野談話があったという前提事実を置いてそれを批判するというのは、これはおかしいんじゃないですか。
[...]もう既にあなたの発言で外交問題になっているんですよ。ニューヨーク・タイムズも大変批判しておる。
参議院予算委員会 2013.2.18
(2007.3.5)
2013年の国会答弁からは安倍首相の発言をカットしたが、6年前(2007年)のやり取りは安倍首相の答弁も交えて振り返ってみよう。この時、小川は、官憲が家に押し入って来て連れ去るというようなケース(強制性)を否定する安倍晋三に絡んでいた。復習しておくと、彼は現在(2013年)そういったことは河野談話には書かれていないと言っているのである。
予め彼の発言を整理しておこう。
<河野談話と強制性について>
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・ 河野談話は国の責任を認めている ・ 貴方は強制はなかったと言わなかったか? (安倍: 強制連行的な強制はなかったのではないか) ・ 慰安婦があったと証言している ・ どういう強制ならあったのか? ・ 国が強制したのではないと? ・ 河野談話は業者が強制したこと、軍が設置や管理に関与したことを認めてる |
つまり、日本国が朝鮮人女性を強制的に慰安婦にしたのではないと考えている安倍に対し、河野談話は国の責任を認めているとか業者が強制したことを認めているとか言って話を混乱させているのである。
では、下院決議についてはどう言っているかというと・・・。
<米国下院決議について>
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・ 米国で(対日非難)決議が出るかもしれない。 ・ 慰安婦が強制連行を証言してる。だから決議が出る。 ・ 決議が出れば日本の信用を損なう。事実誤認で済ますのは甘い。 ・ 決議は日本の謝罪を求めている。 ・ 事実誤認の米国議会が悪いから謝罪しないと? ・ 謝罪しない人権感覚がこういった評価を招いてる。 ・ 安倍首相には人権感覚が足りない。日本の信用を損なってる。 ・ 決議は、わが国の国際的評価を下げる。その事を憂いてる。 |
下院側の誤解である事を認めているようでもあり、安倍に下院に反論(リアクション)を促しているようにも読めるが、安倍に決議案が正しいと思っているのかと問われると、小川は答えをはぐらかす。下院決議は日本に謝罪を求めており、安倍が謝罪しないからこういう事態に陥っているのだと批判しているのだから、安倍でなくとも小川が下院決議(案)が正しいという前提に立って質問しているのかハッキリさせて欲しいところだろう。
小川はわざと議論を迷走させている。その動機は多分、(国内)政治的なものだろう。こういう政治家が慰安婦問題を深刻化させて来た。
(小川敏夫)慰安婦問題、正にアメリカの下院においてこの慰安婦について日本国が謝罪すべきだというような決議案が出るかもしれないというような状況になってございます。総理は、この慰安婦問題について国の責任を認めた宮澤内閣時代のこの河野当時官房長官談話、これについてまずどのようにお考えですか。[...]最近、総理は強制はなかったというような趣旨の発言をされましたか、この慰安婦の問題について。
(安倍首相) [...]言わば狭義の意味においての強制性について言えば、これはそれを裏付ける証言はなかったということを昨年の国会で申し上げたところでございます。
(小川敏夫) この三月一日に強制はなかったというような趣旨の発言をされたんじゃないですか、総理。
(安倍首相) [...]言わば、官憲が家に押し入っていって人を人さらいのごとく連れていくという、そういう強制性はなかったということではないかと、こういうことでございます。[...]官憲による強制連行的なものがあったということを証明する証言はないということでございます。
(小川敏夫) [...]しかし、実際にアメリカの下院において、アメリカ合衆国の下院において慰安婦をされていた方がそういう強制があったという証言をしている、だから下院で決議案が採択されるかどうかということになっているんじゃないですか。[...]
(安倍首相) 言わば裏付けのある証言はないということでございます。[...]
(小川敏夫)[...]じゃ、どういう強制はあったと総理は認識されているんですか。
(安倍首相)[...]御本人が進んでそういう道に進もうと思った方は恐らくおられなかったんだろうと、このように思います。また、間に入った業者が事実上強制をしていたというケースもあったということでございます。[...]
(小川敏夫) それは、業者が強制したんであって国が強制したんではないという総理の御認識ですか。
(安倍晋三)[..]乗り込んでいって人を人さらいのように連れてくるというような強制はなかったということではないかと、このように思います。
(小川敏夫)[...]じゃ、どういう強制があったんですかと聞いているわけですよ。
(安倍首相)[...]河野談話に書いてあるとおりであります。[...]
(小川敏夫) アメリカの下院で我が国が謝罪しろというような決議がされるということは、我が国の国際信用を大きく損なう大変に重要な外交案件だと思うんです。 それで、事実誤認だから、じゃ、そういう決議案をもしアメリカ下院がすれば、事実誤認の証言に基づいて決議をしたアメリカ下院が悪いんだと、だから日本は一切謝罪することもないし、そんな決議は無視する、無視していいんだと、これが総理のお考えですか。[...] 河野談話は、単に業者が強制しただけでなくて、慰安所の設置や管理、慰安婦の移送に対する軍の関与を認定したと言っておるわけです。このことについて総理は認めるんですか、認めないんですか。[...] 私は、この問題についての国際感覚あるいは人権感覚といいますか、全く総理のその対応について、私は寂しい限り、むしろ日本の国際的な信用を損なうことになっているんじゃないかと思いますが。 すなわち、下院において、そこで慰安婦の方が証言された、それが事実誤認だからもういいんだと言って通るほど、この国際環境は甘くはないと思います。むしろ、こうした人権侵害についてきちんとした謝罪なり対応をしないということのこの人権感覚、あるいは過去に日本が起こした戦争についての真摯な反省がやはりまだまだ足らないんではないかという、この国際評価を招く、こうした結果になっているんではないでしょうか。 [...]下院、院全体で決議が出るかもしれないと。そのことによって生ずる我が国のこの国際的な評価、これが低下することを憂えて言っているんですよ。[...]このアメリカの下院で、下院で決議が出るというのはこれは大変なことじゃないですか。そのことを憂えて私は質問をしておるわけですよ。[...]
(安倍首相) 小川委員はその決議が正しいということの前提に立っておっしゃっているんですか。まず、そのことをお伺いをしたいと思います。
(小川敏夫) 決議が出ることを心配して、決議が出ることによって日本の国際的評価が下がることを懸念して言っているわけですよ。[...]
(小川敏夫) 被害者が議院で証言されているわけですね。その証言に基づいて下院が決議をすると。すると、その証言を信用ありとした下院の判断が間違いだと、だからもうそのことについては何の対応もしなくていいと、ただ事実誤認だと言っていればいいというのが安倍総理の姿勢ですか。[...]総理、あなたが河野談話、これについて余り積極的にといいますか、前向きに取り組んでいるとは思えない姿勢がよく分かりました。
参議院予算委員会 2007.3.5
慰安婦の強制連行