別所駐韓大使(2012)
日本政府も慰安婦問題を解決したいという気持ちは強いはず。野田政権は、事実上の賠償の「おかわり」まで認める覚悟であったようだが、安倍政権はどこに最終ラインを置いているのだろうか。東亜日報は、韓国政府当局者の発言として「従来の日本の立場から一歩進んだ」と伝えているが、安倍政権が野田政権の設定したラインより譲歩するとは考えにくい。別所大使が「具体的な解決策を提示できる状況ではない」と言った(時事)ということは、東亜日報の報道とは逆に佐々江事務次官が訪韓して条件を提示したとされる2012年(野田政権)よりも日本政府は後退しているということではないのか。なお、別所は野田政権下の2012年9月から駐韓大使を勤めているから、この辺の経緯には詳しいはずである。
別所大使「慰安婦問題、韓国と協議できる」
別所浩郎・駐韓日本大使は5日、東亜(トンア)日報との単独インタビューで、「日本軍慰安婦問題について韓国と協議でき、解決策を見出せるものと期待する」との考えを示した。別所大使は、「日本政府は慰安婦の存在を否定したことはない」とも述べた。
日本政府を代表する駐韓日本大使のこの発言は、これまで「慰安婦問題は1965年の日韓請求権協定で完全に解決された」とする態度から進展した内容であり、注目される。2011年に憲法裁判所が請求権協定にともなう韓国政府の「不作為」を違憲と判決して以降、韓国政府は数回にわたってこれに関する韓日協議を要請したが、日本は応じなかった。韓国政府当局者は別所大使の発言について、「従来の日本の立場から一歩進んだものだ」としつつも、「具体的な発言の脈絡を確かめなければならない」と述べた。
これと関連して、大統領府は慰安婦問題に対して日本が真摯な態度を示すなら、3月にオランダ・ハーグで開かれる核安全保障サミットで韓日首脳会談を検討できると考えている。日本の安倍晋三首相の相次ぐ妄言などで韓日関係が極度に悪化し、2011年以降首脳会談が開かれていない。最近では、両首脳が国際会議で会っても握手すらしない状態だ。
大統領府関係者は、「朴大統領は韓日首脳会談の可能性はいつでも開かれている」とし、「最も緊急な問題である慰安婦問題を中心に様々なルートで日本政府と接触している」と明らかにした。そして、「日本政府内にも慰安婦問題を謝罪して解決すべきだと考える人が多いが、最終的に安倍首相の決断が鍵だ」とし、「少なくとも慰安婦問題で日本の態度変化があってこそ首脳会談推進の議論が可能だ」と指摘した。
一方、別所大使は自衛隊の集団自衛権行使について、「日本の地位にふさわしい貢献が必要だという期待が反映されたもの」とし、「韓国の憂慮は理解でき、透明に説明する」と述べた。
東亜日報日本語版 2014.2.8
時事の報道は、東亜日報の報道を否定する内容だった。
駐韓大使、慰安婦で進展発言?=「新見解なし」と日本側
別所浩郎駐韓大使は7日付の韓国紙・東亜日報に掲載されたインタビューで、従軍慰安婦問題について「韓国と協議でき、これを通じて解決策を探せると期待する」と述べた。東亜日報は「これまでよりも踏み込んだ発言」と大きく報じたが、日本大使館幹部は「新しい見解ではない」と説明している。
別所大使は「日本政府は慰安婦問題を一度も否定したことはない。具体的な解決策を提示できる状況ではないが、韓国との対話を拒否しない」と語った。
この問題をめぐっては、韓国政府が1965年の請求権協定に基づく政府間協議を数回要求したが、日本政府は拒否している。これを踏まえ東亜日報は、大使の発言が「従来の日本の立場から一歩進んだものだ」との韓国政府当局者の発言を紹介。大統領府は日本が誠実な姿勢を見せるなら、3月にオランダ・ハーグで開かれる核安全保障サミットなどでの日韓首脳会談を検討できると考えていると伝えた。
これについて日本大使館幹部は、別所大使が述べた「協議」が請求権協定に基づく協議ではない点を強調。「別の協議をこれまでも断続的に行っており、協議を通じて糸口を探るとの考えは大使も以前から話している」と述べ、日本政府の立場に変化がないと説明した。
時事 2014.2.8http://www.peeep.us/a095e252