強制連行を認めたと解釈される内容は避けるべきという外務省の分析だったが・・
河野談話が出る半年前に、外務省のアジア局が状況を分析し内部文書を作成していた。その文書を産経が入手したと(GJ)。それによると、
韓国は朝鮮人が自ら慰安婦になるなどありえないという事を日本政府に認めさせたい。これまで以上に強制性を強調しないと、この騒ぎは収まらない。とはいえ、軍や政府が強制的に慰安婦を集めた(強制連行・徴用)と解釈されるようでは、政府の調査結果と一致しないし、他のいわゆる強制連行(徴用者)問題にも絡んでくるので、その点は慎重に・・・というのが外務省の分析だったようだ。
しかし、不幸なことに河野談話は外務省アジア局が懸念した、あたかも「慰安婦募集全体に対して日本軍または政府が直接強制的に行ったと解釈されかねない形」に出来上がってしまった。韓国政府に配慮し過ぎたのが原因だろう。
慰安婦への聴取「儀式」と明記、外務省シナリオ入手 強制性認定のアリバイ
慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話発表の約半年前に当たる平成5年2月、外務省アジア局(現アジア大洋州局)が今後の取り組み方をまとめた内部文書「従軍慰安婦問題(今後のシナリオ)」を作成していたことが1日、明らかになった。産経新聞が入手した内部文書によると、最終的に河野談話の根拠となった元慰安婦への聞き取り調査について「必要最小限の形でいわば儀式として実施することを検討」と明記されている。調査の目的が「強制性」を認めるためのアリバイづくりだったことが裏付けられた形だ。
文書は2月2日付で「慰安婦問題の解決のためには、ある段階で強制性に関する日本政府の認識を示すことが必要」と指摘した。
慰安婦問題に政府の関与があったことを示した4年7月の調査発表「朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦について」にも触れ、「強制性等に関し、前回の発表よりも踏み込んだ見解を政府が表明しない限り内外でしかるべき評価を受けることは期待しえない」と、一層踏み込むよう主張している。
韓国側が強制性を認めるよう強く求めていることについては、「背景には、朝鮮半島出身の女性が自ら進んで従軍慰安婦になったわけではない旨、日本側が明確に認めるべきだとの考えがある」と分析する。
一方で、慰安婦募集全体に対して日本軍または政府が直接「強制」的に行ったと解釈されかねない形での強制性の認定については慎重で「今までの調査結果を超えることとなるばかりでなく、本件とは異なるいわゆる『強制連行』問題にも影響を与える可能性がある」と戒めている。
シナリオはその上で、慰安婦募集について、河野談話の原型ともみられるこんな表現で韓国側に打診することを提案している。
「一部には軍または政府官憲の関与もあり、自らの意に反した形により従軍慰安婦とされた事例があることは否定できない」
実際の河野談話は、韓国側とのすり合わせもあって「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲等が直接これに加担したこともあった」と、より表現を強めた。そのため、政府が公式に慰安婦の強制連行を認めたとの誤解を内外に広める結果となった。