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2015/01/30

政府、慰安婦などと事実関係争う方針へ(戦後補償訴訟)

史学者でなく、司法に歴史的事実を「認定」させる?

慰安婦などが日本政府を訴えた裁判において、政府は事実関係を争わない。条約などによって補償問題は解決済みとしか言わない。日本政府は裁判には勝つのだが、国が事実関係について争わないことをいいことに、運動家らが「裁判では賠償請求は棄却されたが、『慰安婦』被害の事実そのものは認められた」などとやる。稲田朋美が問題視しているのは、この点である。

稲田は民主党政権時代(2010年)にも国会でこの問題を質問している。当時の法相は千葉景子。「そこ(事実関係)まで入る必要がない」から、というのが、その時の法相の答弁であった(動画参照)。今回、日本政府は今までの方針を転換し、事実関係について反論して行くという考えを表明した。

戦後補償訴訟、事実関係など反論へ…法相方針

上川法相は29日の衆院予算委員会で、韓国人の元慰安婦などが日本政府に補償を求めて提訴した場合の対応について、「事実を調査し、反対尋問も含めて主体的、積極的な姿勢で訴訟に臨むよう努める」と述べ、今後は強制連行の有無などの事実関係を巡って反論する考えを表明した

自民党の稲田政調会長の質問に答えた。

日本政府は、戦後補償問題は解決済みであり、そもそも元慰安婦などの原告に請求権は存在しないとの立場から、原告が「旧日本軍に強制連行された」と主張しても、反論しない方針をとってきた。こうした姿勢に対し、自民党などから「慰安婦を巡る誤解が広まる一因になった」との批判が出ており、方針転換した。

今後、日本国内で日本政府を相手に元慰安婦などが提訴した場合などを想定している。安倍首相も予算委で「日本の名誉に重大な影響を与える訴訟が増加しているのも事実だ。戦略的にしっかり取り組みたい」と強調した。法務省に近く新設される訟務局を拠点に体制を強化する考えも示した。

読売 2015.1.30


2010年5月11日衆議院法務委員会




※ 例えば日本の戦争責任資料センターやバウラックなどが作っているサイトでは、こんな感じ。

日本の裁判所が強制連行を含めた「慰安婦」の被害事実を「公的に」認めたことも重要です。日本では、韓国(在日韓国人含む)・フィリピン・中国・台湾・オランダの被害者が10件の「慰安婦」・性暴力裁判を起こした。裁判では賠償請求は棄却されたが、「慰安婦」被害の事実そのものは認められた。即ち、裁判では・・・拉致及び拉致に近い強制連行が31人、甘言による詐欺4人あったことが事実として認定され、「動かぬ歴史証拠」となっています。「河野談話」とともに、裁判判決で被害事実が認定された意味は大きいと言えます。

FIGHT FOR JUSTICE
3-1閣議決定で強制連行の証拠はないと言っている?



追記: 読売は社説でもこの件について触れている。

「強制連行があったという原告側の主張に反論しなくても、日本の裁判所は『請求権は消滅している』などと判断し、原告の賠償請求を退けてきた。一方で、政府側の反論がないため、事実関係を巡る原告の主張については、裁判所がそのまま認定することが多かった。上川法相は衆院予算委で、法務省に設置される訟務局を拠点に、今後は強制連行の有無など事実関係に関しても反論していくと答弁した。適切な判断である」

米世界史教科書 「慰安婦」巡る誤りは正したい

世界史教科書は、生徒の歴史観形成に大きな影響を及ぼす。日本の名誉を不当に貶おとしめる記述は、看過できない。

米国の高校の世界史教科書に、旧日本軍が慰安婦を強制的に徴用したなどと記載されている問題が、衆院予算委員会で取り上げられた。

自民党の稲田政調会長が政府の見解を質ただしたのに対し、安倍首相は「がくぜんとした。訂正すべき点を国際社会に向かって訂正してこなかった結果だ」と述べた。その通りだろう。

政府は、史実に基づく対外発信を強化していかねばならない。

問題の教科書は、米大手教育出版社「マグロウヒル」が刊行している。フロリダなど4州で推薦指定を受けたという。

慰安婦については、「日本軍が最大20万人にも及ぶ14歳から20歳までの女性を強制的に募集、徴用した」「天皇からの賜物たまものとして提供した」などと記されている。史実を無視した内容である。

慰安婦の募集は、主に民間業者を通じて行われた。日本政府の調査では、軍による強制連行を裏付ける文書は発見されていない。

外務省は、教科書会社と執筆者に訂正を申し入れたが、明確な回答を得られていないという。粘り強く働きかけていくべきだ。

米国では、下院本会議が2007年に、「日本軍が強制的に性奴隷にした」とする非難決議を採択した。13年にはカリフォルニア州グレンデール市内に慰安婦の少女像が設置された。

韓国系民間団体の反日活動が背景にある。日本政府は、宣伝戦に対抗していく必要がある。

戦後補償裁判における政府の対応も問題となっている。

補償については、日韓請求権協定などで解決済みというのが、政府の立場だ。強制連行があったという原告側の主張に反論しなくても、日本の裁判所は「請求権は消滅している」などと判断し、原告の賠償請求を退けてきた。

一方で、政府側の反論がないため、事実関係を巡る原告の主張については、裁判所がそのまま認定することが多かった。

上川法相は衆院予算委で、法務省に設置される訟務局を拠点に、今後は強制連行の有無など事実関係に関しても反論していくと答弁した。適切な判断である。

慰安婦問題については、1993年の河野官房長官談話に、強制連行が行われたかのような表現が用いられている。河野談話の見直しは、いずれ避けて通れまい。

読売 2015.2.4