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2015/07/23

25億円訴訟弁護士の言い分「天皇の戦犯認定で全て解決」

安倍首相が慰安婦を売女と呼んだ?

例の25億円訴訟の仕掛け人。詐欺師か目立ちたがり屋(いわゆる「愛国商売」)と思ったが、けっこう本気なのかもしれない。今回の訴訟はホロコーストアート(en.wikipedia)の返還訴訟がヒントになったらしい。引き受けてくれるアメリカの法律事務所は一軒も無かったとも言ってる。彼の説明には突っ込み所が満載。ナヌムの家側もとりあえず一人だけ原告として元慰安婦を協力させはしたが、半信半疑の様子。もっとも、嘘から出た実という言葉もある。

<インタビュー>米国内の慰安婦訴訟を主導するキム・ヒョンジン弁護士

  韓日間の真の和解を阻んでいる最大の懸案、慰安婦問題。この難題は国交正常化50周年を迎えても、解決するどころかますます悪化している。こうした状況で慰安婦の強制動員を否定する安倍政権を米国裁判所に立てて最後まで責任を問うという被害女性の歴史的な法廷争いが始まった。13日(現地時間)、元慰安婦2人が安倍晋三首相を相手取り、それぞれ200万ドルの損害賠償金を求める集団訴訟を米サンフランシスコ連邦裁判所に提起したのだ。訴訟の産婆は法務法人ジョンセに所属するキム・ヒョンジン米国弁護士(53)。この裁判のために人知れず4年間準備したというキム弁護士に15日に会い、これまでの秘話や裁判戦略を聞いた。

  --訴訟を主導することになった契機は。

  「美術法など知的財産権問題が私の専門分野だ。このため第2次世界大戦中にナチスに奪われたユダヤ人の美術品、いわゆるホロコーストアートの返還訴訟に関心があった。こうした裁判を見ていると、例外なくユダヤ人が勝訴している。ここから慰安婦訴訟のヒントを得た。ホロコースト関連訴訟は時効に関係なくいつも勝訴するが、我々も勝てないことはないと考えるに至った」

  --韓国や日本で裁判してはいけないのか。

  「国内で勝っても日本側が応じなければ事実上、執行力がない。してもしなくても同じということだ。日本で訴訟しても100%勝てない。慰安婦被害者が亡くなっていく現状況で、実際に効力がある裁判とするには米国のような外国でしなければいけないという信念が生じた」

  --ドイツ-イスラエルと韓日間の関係は違うのでは。我々は植民地支配に対する賠償問題ではないのか。

  「最近、英国では旧植民地のケニアであった残酷行為に対し、謝罪と賠償をするべきだという判例が出ている。植民地支配の問題としても日本も十分に謝罪と賠償をしなければいけない」

  --裁判はどう準備したのか。

  「4年前から米国に行くことがあれば現地のロースクール図書館を回って資料を集めた。主に国際法関連資料と判例だったが、調査を続けてみると、ある日『こういう論理を展開すれば勝てる』という考えが浮かんだ

  --訴訟に参加した慰安婦被害者はどう探したか。

  「裁判を起こすには適当な原告が必要だった。幸い、曹渓宗(チョゲチョン)関連業務を支援したのが縁になった。できれば慰安婦被害者に会わせてほしいと曹渓宗総務院側に依頼したところ、京畿道広州(クァンジュ)の『ナヌムの家』の紹介を受けた。2年前だったが、とにかく電話をかけて訪問した。熱心に訴訟について説明したところ、ナヌムの家側が慰安婦被害者を紹介してくれた

  --被告には誰が含まれているのか。

  「個人では現明仁天皇と父の裕仁前天皇安倍首相、そして安倍首相の祖父の岸信介元首相らが含まれている。このほか、トヨタ・三菱など20余りの日本大企業も入っている。慰安婦被害者は強制的に捕まった後、船や列車に乗って連れて行かれたため、これを作った企業も幇助罪に該当する。ユダヤ人虐殺事件に関する判例でフォルクスワーゲンやバイエルのようなドイツ企業が巨額を賠償したのもこうした理由からだ」

  --今回の訴訟の特徴は。

  「国内または日本で提起された慰安婦訴訟と違う点といえば、日本政府と現首相だけでなく裕仁天皇まで被告にしたという点だ。日本は村山談話や河野談話などを通じて謝罪したが、新しい内閣になればすぐに言葉を変える姿を繰り返してきた。このため国際法廷で裕仁天皇が戦犯と認定されれば、これ以上の議論はないだろう。今回の訴訟で勝てば強制徴用など日帝時代の被害補償に関連するすべての問題が一斉に解決することになる」

  --勝訴すると思うか。

  「米国人から見て最もあきれる事件が慰安婦事件だ。安倍政権は慰安婦が強制動員されたのではなく、合意によって体を売った売春婦だと主張する。しかしこうした論理には決定的な瑕疵がある。たとえ合意があったとしても18歳以下の未成年者との性関係は米国の法では強姦だ。強制性に関係なく、当時日本軍と10代の少女の組織的な性関係が存在したのは明らかだ。日本人が合意によるものだと主張しても、米国の法廷では受け入れられない」

  --米国で未成年者との合意が認められず処罰された事例はあるのか。

  「ある。(ボクシング)ヘビー級チャンピオンだったマイク・タイソンがまさにそのようなケースだ。マイク・タイソンは1992年、18歳の少女とホテルで関係を持った容疑で懲役6年を言い渡された。タイソンはその少女が世界チャンピオンである自分が好きで、合意のもとで関係を持ったと主張した。ある程度は事実だったが、それでも米国の裁判所では受け入れられなかった。相手が未成年者なら同意の有無に関係なく処罰を受ける」

  --訴訟を起こした女性も未成年者だったのか。

  「一人の女性は連れて行かれた当時16歳だった。この方の出生証明書は日本政府が発行したもので、誰も否定できない。もう一人の女性は未成年者と成人の境界の18歳だった」

  --日本は米国に裁判管轄権がないと主張するはずだが。

  「イスラエルは終戦から15年過ぎた60年、アルゼンチンに隠れていたユダヤ人虐殺責任者アドルフ・アイヒマンを捕まえて自国の法廷に立たせた後、処刑した。人道主義に反する反倫理犯罪は時効もなく管轄権もないという論理で敢行したのだ。このような論理は第2次世界大戦の戦犯を審判したニュルンベルク裁判でも米国によって採択された。ユダヤ人虐殺は欧州であったが、反倫理犯罪であるため第三者の米国が入り込むことができた。これ以外にも管轄権問題を解決する腹案がある」

  --どんな案か。

  「今回の裁判は集団訴訟で今は原告が2人だが、後に米国で暮らす慰安婦被害者が加われば管轄権問題が解決する。例えばグアムやサイパン、あるいは当時米国の植民地だったフィリピンに連れて行かれた女性が現れて参加すればよい」

  --そのような人が現れなければ。

  「慰安婦問題は過去形ではなく現在進行形であるため、管轄権をめぐる是非はないはずだ。安倍首相と日本の極右派は被害女性を自発的売春婦と主張している。しかし米国法では売春婦を売春婦だと呼ぶこと自体が深刻な名誉毀損だ」

  --名誉毀損の当事者が特定されないのでは。

  「現在、生存慰安婦被害者は48人にすぎない。したがって特定されると見るべきだ。さらに売春婦ではないが売春婦だと主張するのはより大きな罪であり、虚偽事実による名誉毀損が成立する。日本の右翼は大都市集会で公然と被害女性を売春婦と主張している。罵倒の記録は無数にある。一方、女性たちが自発的売春婦であることを証明する記録はどこにあるのか」

  --日本国内で主張したことも米国で問題になるのか。

  「被害女性に精神的な衝撃を与えた日本極右団体の言動はすべて記事を通じて米国にも広まっている。日本の新聞の相当数が米国でも発行されている。したがって管轄権を否認できない。さらに安倍首相は慰安婦強制動員の主張は虚偽だという広告を日本の新聞に掲載し、サインまでした。参考に96年の米アトランタオリンピック(五輪)当時に公園で爆弾テロがあったが、米連邦捜査局(FBI)がリチャード・ジョウェルという警備員を容疑者として逮捕した。米メディアはジョウェルについて細かく調べて報道した。ところが調査を進めてみると無罪だった。ジョウェルは後ほどニューヨークタイムズやワシントンポストなどのメディアを相手に損害賠償訴訟を起こし、巨額を受けた。メディアが確実な証拠なく特定人を売春婦のような法律違反者にするのは深刻な名誉毀損だという米連邦裁判所の判例がある」

  --過去に慰安婦訴訟はなかったか。

  「90年代に韓国・中国・フィリピン出身の慰安婦被害者が米国の小さな法律事務所を通じて訴訟を起こしたことがある。しかし米政府が『この懸案は外交問題であるため米国内で扱わないでほしい』という意見書を提出して終わった。しかし今回は個人が名誉毀損にあっている状況と関連する訴訟だ。さらに90年代以降、ルワンダ、ユーゴ内戦などで反倫理犯罪に対する判例が国際法廷で積み上げられた。いくら米国政府でも簡単に踏みつぶすことはできないだろう」

  --韓日協定で植民地支配関連の損害賠償は終わったと日本は主張するはずだが。協定締結時に「さまざまな事案を含む」と合意したのではないのか。

  「締結当時に存在さえ分かっていなかった反倫理犯罪に対し、両国政府が合意したからといってなかったことにすることはできない。60年代には慰安婦問題は出てくることもなかった」

  --訴訟でない他の方法で問題を解決することはできないのか。

  「米国の有名黒人運動家マーティン・ルーサー・キング牧師も引用して有名になった言葉がある。人種問題に関連し、穏健な白人が『もう少し耐えればすぐに解決される』で述べると、キング牧師はこのように語った。『遅く成された正義は正義とは言わない』と。70年待てば十分だ。何をもっと待てというのか」

  --裁判はどう進行されるのか。

  「過去4年間、数百回も手直しして書いた66ページの訴状をサンフランシスコ裁判所に提出した。規定に基づきこの訴状は3カ月以内に被告側に伝えられるはずで、この書類を受ければ向こう側が1カ月以内に答弁書を出さなければいけない。本格的な裁判が始まれば数年かかるかもしれない。米国に行って裁判を引き受ける法律会社を探したが、すべてしないと言った。日本を刺激して何がよいのかという雰囲気だった。結局、私が直接することにし、サンフランシスコに弁護士登録も終えた。今後は2、3月間に一度は米国に行かなければいけないようだ」

  --裁判の準備のために使った費用も少なくないはずだが。

  「4年間、米国を行き来して調査するのに数千万ウォン(数百万円)は使ったようだ」

  --訴訟の進行に最も重要なことは何か。

  「韓国の国民が関心を持つことだ。ドイツのウイリー・ブラント元首相は無名勇士碑の前でひざまづいて祈った。なぜ天皇はそうできないのか。そうなる時まで戦わなければいけない。不可能だと考えること自体が自ら限界を置くことだ」

  ◆キム・ヒョンジン弁護士=ソウル大経営大を卒業後、米UCLA経営大学院、イリノイ工科大(IIT)ロースクールを終えた米国弁護士。通貨危機当時の1998年に帰国し、外交通商部通商専門家として対米交渉と貿易紛争処理を担当した。現在、法務法人ジョンセで文化産業関連の事件を担当し、KAIST(韓国科学技術院)と延世大経営大兼任教授として活動中。

  ◆<インタビューを終えて>硬いイメージの訴訟をウィットで解く

  兄はコメディアンのキム・ヒョンゴンさん。米国内慰安婦集団訴訟を主導中のキム・ヒョンジン弁護士はコメディアン故キム・ヒョンゴンさんの弟だ。硬い訴訟の話を分かりやすく面白く説明するウィットと穏やかな笑みの中に兄の姿がちらつくが、説明の途中に輝かせる目は志士の決起を感じさせる。彼の話は聞けば聞くほど、ナチスの芸術品略奪を扱った映画『ウーマン・イン・ゴールド』を思い出す。現在、好評上映中のこの映画は、ある中年女性がナチスに奪われたクリムトの名画をオーストリア政府との8年間の訴訟の末に取り戻した実話に基づく。第2次世界大戦中に大きい被害を受けた個人が、日本とオーストリアという外国政府と法廷争いをするという点で似ている。また、信念を持つ一人の弁護士が訴訟を始めたという点も似ている。クリムト名画返還訴訟は原告の勝利で終わったが、今回の訴訟はどう流れるか注目される。

中央日報日本語版 2015.7.22