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2015/10/25

日(韓)キリスト教協議会、1200回水曜デモに参加後、声明発表

記者会見に臨む日韓キリスト教協議会の関係者(16日)

日本キリスト教協議会と韓国キリスト教協議会がソウルで共同声明を発表した。慰安婦問題と関係ない部分もあるが、一応全文を転載した。

例によって、日韓関係に関しては、日本側にのみ問題点を求め韓国側の問題点を指摘しない。「日本で起こっている嫌韓デモとヘイトスピーチ」だけ取り上げ、反日デモや日本に対する国家レベルのスミア(中傷)キャンペーンは取り上げない。

日本キリスト教協議会は慰安婦問題に熱心で、1996年から2012年にかけ、韓国最大の反日団体(大沼保昭)とも言われる挺対協総額2260万円の資金を提供した(2012年以降については不明)。そういう意味で、反日運動のスポンサーでもあったわけである。挺対協はこうした資金を背景に日韓関係の正常化を(結果的に?)妨害してきたのである。ソウルに慰安婦博物館を建設する際も、日本キリスト教協議会は挺対協の資金集めに協力している。

1200回を迎えた日本大使館前の違法デモ(15日)
日本キリスト教協議会の関係者も参加

「日韓両教会は、いわゆる日本軍『慰安婦』問題について20年間連帯しており、今回の協議会に先んじて、ソウルの日本大使館前での第1200回定期水曜デモに参加し、謝罪と連帯の発言をした。私たちは・・・日本政府に真の謝罪と賠償を継続して求めていく。・・・今も大小の紛争の中で人身売買や性暴力などに苦しんでいる東北アジアの紛争地の女性と子供の人権を守るために連帯していく」

東北アジアの紛争地と聞いて、休戦中の朝鮮半島(戦争)しか思い浮かばないのだが・・・まさかね。

日韓NCC共同協議会、最終声明と付帯文書を採択 日本語版全文を公開

日本キリスト教協議会(NCCJ)と韓国キリスト教教会協議会(NCCK)は、韓国ソウルで15日から17日まで第9回日韓NCC共同協議会を開き、最終声明と共同実践課題に関する付帯文書を採択した。

最終声明では、2004年に開かれた第8回日韓NCC共同協議会や、今回の第9回共同協議会の内容を振り返り、昨今の東北アジアを中心とした状況に言及しつつ、10項目の決意を表明。日本の憲法9条の精神を守ることや、朝鮮半島(韓半島)の統一のために連帯するとともに、歴史教科書問題や格差問題、ヘイトスピーチ、原発、核武装、「慰安婦」問題、非正規雇用の増加などの両国の課題に対し、共同で取り組んでいくとした。

また、付帯文書では、8つの事柄について共同して努力していくと表明。具体的には、第5回9条世界宗教者会議の準備会の早急な開催、8月15日前後の主日を「韓半島平和統一共同祈祷主日」として加盟教会・団体に呼び掛ける、「在日・日・韓のキリスト者青年共同研修プログラム」の積極的な支援、今年11月に東京で開催される第3回「マイノリティー問題と宣教」国際会議への積極的な参加、日韓NCC共同協議会の定期的な開催と両NCC指導部の迅速な会合の開催などを挙げた。

以下は、NCCJが23日に本紙に公開した最終声明と付帯文書の日本語版全文。

第9回日韓NCC共同協議会 声明
「剣を鋤に、槍を鎌に」

『主は多くの民の争いを裁き、はるか遠くまでも、強い国々を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤(すき)とし、槍(やり)を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。』(ミカ書4章3節)

日本キリスト教協議会と韓国キリスト教教会協議会は一致、正義、平和と和解に対する両教会の 共同ビジョンと役割を模索して、両教会が直面している緊急な課題に共に対処し、草の根レベルで活動している各部と団体の間で継続的な協力関係をさらに活性化するために、2015年10月15日(木)から17日(土)まで、韓国キリスト教会館に約100名余りのキリスト者(※)が集り、「東北アジアの平和:日本教会と韓国教会の役割」というテーマで共同協議会を開催した。

2004年、東京で開催された第8回協議会で韓国と日本の教会は次のように協議した。:「右傾化の流れに迎合し、また信仰を個人の内面的な救いや教理の遵守、教会の拡大を主な関心事として・・・力による支配がもたらす人々の苦しみや痛みを無視し、教会の中に閉じこもる傾向が強まっている。」 このような信仰的な省察をもとに第8回協議会は、「根本主義(ファンダメンタリズム)と新保守主義(ネオコンサバティブ)の流れに対抗し、人々の精神的な渇望に正しく答えて抑圧から解放への課題を担うために、真の教会の姿と神学が必要」という共同の課題を確認した。

それから11年が経過した今年2015年は、日本の第二次世界大戦敗戦後70年と韓半島の独立 / 分断70年を迎える年である。70年という長い歳月を経たにもかかわらず、東北アジアの地政学的な状況は相変わらず不安定である。韓半島の南北間の冷戦体制が固定化されることによって、南北間の軍事的な対立は高まっている。10年以上持続し、最近さらに強化された国際社会の対北朝鮮制裁は、北朝鮮の人々の痛みや苦しみを増大させている。また、最近アメリカによる韓半島内の高度ミサイル防衛システム(THAAD)構築、炭疽(たんそ)菌不法搬入、日米防衛協力指針改正等は、結果的に東北アジアを越えて全世界の平和と安全を脅かしている。

また、日本のかつての植民地統治はアジアの人々に大きな苦痛をもたらし、その傷はまだ癒されていない。それにもかかわらず、日本の安倍政権は、過去の侵略と植民地支配に対して反省するどころか、民主主義の土台である立憲主義を否定し、しかも安全保障関連法案を強行採決させ、平和憲法9条の改正を強力に推進している。アメリカと中国の軍事的な覇権主義は、韓国と日本を米中大軍事大国の代理戦の犠牲者とし、ひいては東北アジア民衆の平和と安全を脅かすことになる。

第9回協議会の主題講演は「記憶との闘い」の重要性を再認識させるものであった。記憶すること(remembering)を通して、私たちは過去を省みて現在を再構成(re-membering)し、未来の希望を担う次世代を生み出していくこと。また、市民の連帯なしには国を超えた東北アジアの真の平和構築が不可能であるという点も共有した。それらの課題のために、宗教とりわけキリスト教が主軸であることを確認した。また、安倍政権の安全保障関連法案強行採決により、戦争をすることができる国になったと報道されている状況に深刻な憂慮を表し、日本が、アジアを越えて世界平和を脅かしていることを強く訴えた。そして、過去の歴史の中で受けた傷を癒し回復するための努力と、世界に向けた神の声を識別するための神学的な対話など、日韓両教会の共通の課題を確認した。

これをもとに「正義」「平和」「女性・青年」を主題とする3つの分科会討論を行った。

私たちは、東北アジアの平和実現のための両NCCの共通の課題を確認すると同時に、世界の堕落に対する予言者的な使命を十分に果たしてこられなかったことを深く懺悔(ざんげ)し、次のような決意を新たにした。

1.私たちは平和憲法9条の精神を守るために連帯する。平和憲法9条は、自国の平和を超えて、「国際平和を誠実に希求し」、そのためにいかなる「戦力はこれを保持しない」ことを宣言している。日韓両教会は、このような平和憲法9条の価値を否定する「集団的自衛権」を含めた安全保障関連法案の強行採決など、安倍政権の政策に反対の立場を表明する。朝鮮半島を巡って繰り広げられているアメリカと日本、中国、ロシアなどによる覇権主義の即時中止を求める。

2.私たちは2013年に第10回世界教会協議会(WCC)釜山総会が採択した韓半島の平和のための宣言で、韓半島の分断と痛みは「植民地の拡大と軍事的優位性(ヘゲモニー)を確保するために、外部勢力間の紛争が引き起こした」不幸であることを再確認した。長い分断による南北の人々の痛みを痛感し、その傷を癒す努力をする。また、私たちは、韓半島の分断による政治的、軍事的な緊張が東北アジア地域の軍事化の口実になっていることを懸念し、韓半島の平和と和解統一のために堅固な連帯を続けていく。韓半島の統一が7千万同胞によって主体的に和解の道を模索していくことができる環境が用意されなければならない。

3.私たちは、歪曲された歴史観にもとづいた歴史教科書問題は、日韓両国の未来に深刻な悪影響を及ぼすことを懸念する。私たちは、過去の歴史を反省し、平和な未来を作るために「記憶との闘い」を続け、正しい歴史認識を継承していくために共に努力をする。

4.私たちは神の姿に似せて造られた人間の尊厳を脅かす格差の拡大を克服するための努力をする。一部の利益のために、弱者に犠牲を強要することは、明らかな暴力であり罪である。日韓両教会は人間を利益の道具にする資本主義体制の矛盾を克服し、経済構造においても、失われた一匹の羊を探し求めるイエス・キリストの教えに従い、共に祈り取り組んでいく。

5.近年、日本で起こっている嫌韓デモとヘイトスピーチ、両国での移住労働者への搾取制度の固定化は、国際社会の深刻な懸念を生んでいる。これは、単一民族神話が残っている両国の排他的な民族主義の一断面であり、移住労働者を搾取の対象にする明らかな暴力である。日韓両教会は人間を平等に創造された神の摂理と人種差別を犯罪として規定した国際連合(UN)の精神に基づいて、人種差別を撤廃するための両教会間のネットワークを構築して協力していく。

6.私たちは東京電力福島第1原子力発電所事故の教訓を忘却したまま九州電力川内原発を再稼働した日本政府と原子力発電所を増設している韓国政府に対して懸念を禁じ得ない。創造の秩序を瞬時に破壊してしまう核は、決して安全な未来のエネルギーではない。原子力発電所の段階的な閉鎖を直ちに決定し、再生可能な自然エネルギーの開発を通して神が造られた世界を保全することを日韓両政府に対して要請する。

7.6者会談の当事国の内、4ヶ国が核を保有しているにもかかわらず、韓半島の非核化を主張することは矛盾している。むしろ当事国すべてが核武装を廃止し、全世界の非核化のさきがけとなることを要請する。

8.日韓両教会は、いわゆる日本軍「慰安婦」問題について20年間連帯しており、今回の協議会に先んじて、ソウルの日本大使館前での第1200回定期水曜デモに参加し、謝罪と連帯の発言をした。私たちは、侵略戦争の砲火の中で弱者である女性に行われた暴力の歴史を清算し、真の平和と和解の道に進むため、日本政府に真の謝罪と賠償を継続して求めていく。また、韓国と日本とが経験した痛みの歴史を教訓に、今も大小の紛争の中で人身売買や性暴力などに苦しんでいる東北アジアの紛争地の女性と子供の人権を守るために連帯していく。

9.私たちの希望である両国の青年達が、非正規雇用などの不安定な状況に置かれており、無限競争の資本主義経済のもとで、夢と希望を失ってしまった現状を痛感した。私たちは、青年達の知恵と勇気を尊重し励まして、両国青年の出会いを継続し、平和のためのリーダーシッププログラムを積極的に支援する。

10.私たちは上記のような希望を実践するために、青年世代を含めた日・韓両国における地域の教会共同体の交流と連帯を通じて、地域間のエキュメニズムを強めて日・韓両国の福音宣教の課題を共同して遂行していく。

本協議会に参加した日韓両教会は、上記のような課題を胸に刻み、更なる連帯と協力の時代に向かって力強く進んでいくことを決意する。

2015年10月17日
第9回日韓NCC共同協議会参加者一同[1][2]