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2016/04/24

財団が「蝶基金」に変わる恐れも?

慰安婦像の移転に反対する少女(2016.1.6)
速やかに撤去しておけば・・・

朝日新聞の牧野記者のレポートだが、情報を網羅しつつバランスが良く無駄のない記事。産経も頑張りましょう。

パク大統領は、世論の反発を押さえ12.28合意の内容を履行する気らしい。選挙の敗北で状況は厳しくなったが、野党第一党の幹部も「現時点では・・・交渉結果を修正できる条件にない」と白状したように野党も状況を見ている。「世界の前で宣言」した(世耕官房副長官)約束事をひっくり返すのは難しい。怖いのは世論に乗せられて韓国の政治家の常識が吹っ飛んでしまうことだが、パク政権はタイトロープを渡ることになりそう。交渉相手の窮地に日本側は慰安婦像の撤去を強く要求しづらくなったか。像については最初から両政府とも曖昧にしていたが、「何も動きがなければ、今度は日本の世論が厳しくなる」というのも真理だろう。

日本政府の10億円を使い切った後も財団が女性の人権問題を扱う財団に衣替えして存続するかもしれないという話が気掛かり。挺対協は蝶(ナビ)基金を作り、これを「日本軍性奴隷問題」の宣伝に使っている。財団が同じように利用される心配もある。

慰安婦財団、準備組織発足へ 韓国側、世論の動向を注視

昨年末の日韓合意に基づき、韓国で今月末にも、元慰安婦を支援する財団の設立に向けた準備組織が発足する見通しになった。13日の総選挙で勝利した韓国野党には日韓合意に批判的な意見も多く、韓国側は世論の動向を慎重に見極めながら作業を進めるとみられる。

日韓関係筋によれば、準備組織の活動が順調に進めば、5月中にも財団設立の準備が整う。韓国外交省報道官は21日の記者会見で、財団の「設立準備委員会」を設置する方針を認めた。20日の日韓外務省局長協議でも準備委や財団の業務などを協議したが、具体的な発足時期は未定という。

報道官は「被害者と関連団体の意見収斂(しゅうれん)が重要」とも指摘した。高齢化が進む元慰安婦44人の支援は急ぎたいが、世論の理解が得られなければ、支援を拒む元慰安婦が増えるからだ。

韓国では、今年初めから民間人によるタスクフォース(作業部会)を設け、非公開の議論を続けてきた。

財団の活動を元慰安婦の支援に限り、日本政府の拠出金10億円を使い切った場合は、財団も活動を終えるべきだとの主張が出ている。将来は女性の人権問題を普遍的に扱う財団に衣替えし、韓国政府や韓国人の資金で運営を続けるべきだとの意見もあるという。

日韓合意を主導した朴槿恵(パククネ)政権は、韓国総選挙での与党の敗北で求心力が急速に低下している。総選挙で勝利した「共に民主党」と「国民の党」の野党2党は基本的に日韓合意に反対している。ただ、「共に民主党」の金鍾仁(キムジョンイン)・非常対策委員会代表は3月1日に元慰安婦らと面会した際、「現時点では、国家間の交渉結果を修正できる条件にない」とも語った。

韓国側関係者の一人は「財団をつくっても本当に、日本が10億円を拠出してくれるのか心配だ」とも語る。韓国政府元高官は「選挙で与党が敗北しただけに、丁寧な合意履行を心がけないと、韓国の世論が爆発する」と語った。

一方、日本政府は、財団設立が具体化する現状をおおむね歓迎している。財団の枠組みや元慰安婦への支援内容が整えば、昨年末の合意に基づき10億円を拠出する方針に変わりはない。20日、BS番組に出演した世耕弘成官房副長官は「日韓が世界の前で宣言し、首脳会談で確認したこと。我々も合意を履行していかねばならない」と強調した。

合意履行の不安要素は、ソウルの日本大使館近くに設置された慰安婦を象徴する少女像の移転問題だ。

一部の自民党議員は「少女像を撤去しないなら、10億円拠出もやめるべきだ」との主張を続けるが、日本政府関係者は「合意はそこまで踏み込んでいない。少女像は、あくまで韓国政府が解決に努力することになっている」と語る。与党幹部は「移転が難しいことは、韓国世論の反発を見れば分かる。ただ、10億円を拠出する時に何も動きがなければ、今度は日本の世論が厳しくなる」と懸念する。

朝日 2016.4.21

※ タスクフォースは、座長は柳明桓(ユミョンファン)元駐日韓国大使、他民間人10人前後で構成朝日4.21)