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2011/04/10

倉沢愛子が娘に語る慰安婦問題



倉沢はデタラメな学者ではなく、インドネシアの研究家である彼女が集めた現地の慰安婦の証言は貴重な資料だと思う。しかし、前半部分はいただけない。この分野の専門家ではないとはいえ、2002年に上梓した本でこれは不見識。

第二次大戦中、アジアの女性たちが、軍が管理する慰安所で日本兵に対する性的サービスをさせられたことは、ロミも聞いているよね。日本の植民地であった朝鮮、台湾、あるいは中国、それに「大東亜」戦争が始まってから占領された東南アジアの女性たちなんだけど...この人たちのことを「従軍慰安婦」と読んでいるんだけど、この問題が、私たち日本人にひろく知られるようになったのは、ようやくついここ10年くらいのこと。1991年12月に韓国で名乗りを上げた元従軍慰安婦の女性が、日本政府に保証金を支払って欲しいという訴えを起こし、それを韓国政府が支援したことで、ようやくいろいろな事実が明るみに出始めたの。

初め日本政府は、軍が正式に関与したことは認めず、民間の手によって行われた一般的な売春行為だと主張していたのよ。でもそのうち、軍が関与したことを示すような文書が歴史学者によって発見されたため、最終的には日本もそれを認めるようになったのね。

実はね、お母さん自身1980年から1981年にかけてインドネシアの農村で調査をしていた時、そういう女性のことはよく耳にしていたの。...でも、韓国から上がった声が、日本国内でも広がりをみせ、それがインドネシアにも伝わって、勇気づけられて名乗りを上げる人がでてきたのよ。...つらいのはね、お母さんなんかに話すことによって、日本政府からの補償がもらえるようになるんじゃないかっていう期待を抱かせてしまうことなの。...そのお年寄りたちは、これまでにもすでに支援団体の人たちなどいろいろな日本人の訪問を受け、そのたびに今度こそは補償が、と期待したけれどいつも裏切られてきた、という現実があるの。だから、かなり懐疑的になってきているの。