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2015/05/04

法的賠償を諦めたと報じられた挺対協、道新に謝罪要求


梁澄子(左)とユン・ミヒャン(右)

出張から帰って来たら、挺対協が日本政府に対して法的責任の追及を諦めたという気掛かりなニュースが。挺対協がゴネ通してくれることだけが、この問題を時間切れに持ち込み、結果的に一番平和裏に解決する希望なのにこれは心配だと思っていたら、その後、北海道新聞に対して挺対協が記事の訂正を求めたという。どういう事なのか?彼女たちは、「法的責任に基づいた対応を求めてきた従来の方針を転換したという記述は全面的に間違っている」と言うのだが、抗議文を読んでも

「法的責任の内容、解決への道、枠組みを立法解決という器に入れれば立法解決を通して法的責任が履行されるのであり、閣議決定を通してやれば閣議決定という器を通して法的責任が履行される」

などといった調子で、何を言っているのか分らない。どちらが嘘をついているのかは、当日のやり取りを確認するしかない。というわけで、シンポジウムの様子を動画で見たのだが、やっぱり狐につままれたような気分。それでもなんとなく感じるのは、どうやら日本政府に対しては法的賠償の要求を引っ込めるも、世間には譲歩していないというポーズを取ろうとしているのではないかということ。当日の梁澄子(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動)の発言部分を文字に起してみたが、その辺をはぐらかそうとしているようにしか聞こえない。


「文字がないからといって法的責任はいらないとは言ってない」
なら、なぜハッキリ書かない?
えっとですね。私の説明の中で、繰り返し申し上げましたように、私たちは法的責任は何かという議論の結果、これを導き出してるんですね。で、この中に結果的に法的責任という言葉は書き込まれませんでした。なぜかって言うと、議論をして行くうちに分って来たことは、これだけの事実、この四つに集約しましたけれど、この四つの事実を加害国が認めるという事は、それは即ち法的責任を認める事になる。という風に私たちは考えるからです。

ですから、先ほど来、これは集約的な言葉を使っていると言いつつ、別の意味では法的責任という言葉を、えー具体的に語っている・・・という風にも言えるわけです。えーつまり、この最終的に日本政府が案を示す時には、法的責任という言葉を含めてここに書かれてある言葉を使わなければいけないという風に思ってません。加害国が、そのぉ、かつての軍が何をやったのかという事を、具体的に認めれば、その中身は自ずと法的責任を認めた中身になるので、具体的な中身が欲しいという事をここではずっと言ってるんです。

ですから、法的責任という四文字がないからといって、法的責任はいらないとは全然言ってない。そこは分っていただけたらと思います。で、逆に言えば、賠償という問題は、ここには書かれていますけれども、しかし、国庫からキチンとした法的措置をとってお金を出さなければいけないという風になれば、それは即ち賠償なわけですね?そういう物は賠償という言葉で非常に集約させて書いています。まぁそのように・・・そのような内容だと私は思っています。(2:05:00-)

(梁澄子)

参考までに、ここで梁澄子が言っている日本政府への提言というのは、コレ←のことらしい。多分だが、これを日本政府がごもっともと認めれば、日韓請求権協定を超越出来るということらしい。日本政府が慰安婦システムを国内法・国際法違反と認めるとは思えないが・・・。

三行にまとめると

日本政府は条約で解決済みという立場を変えなさそう
(こっそり)法的賠償は諦めようか?最近うちら孤立気味だし
北海道新聞が表沙汰にした!許せない


こんな感じだろうか?で、挺対協は北海道新聞に謝罪しろと。北海道新聞もとんだ災難である。嘘を書いたわけでもないのに。さて、このカモフラージョ作戦に日本政府はどう対応するのだろう?



慰安婦問題、日本に「法的責任」求めず 韓国・挺対協、従来方針を転換

旧日本軍の慰安婦問題をめぐる韓国最大の支援団体・韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)が、日本政府に対して立法措置による賠償など「法的責任」に基づいた対応を求めてきた従来方針を転換したことが分かった。代わりに「政府と軍の関与の認定」や「政府による賠償」などを盛り込み、要求を緩めた。日本政府は慰安婦問題で人道的対応の必要性は認めているが、50年前の日韓条約などを背景に法的責任は否定。交渉が停滞する中、挺対協は現実的な戦略を選んだと言える。

挺対協は慰安婦問題をめぐり、韓国政府の対応に大きな影響を与えている団体。要求を緩和したのは元慰安婦が高齢化していることに加え、従来の要求では「法的に解決済み」とする日本政府と平行線が続く可能性が高いためとみられる。

今回の要求は《1》当時の政府と軍が慰安所を設置し、管理した点の認定《2》女性が本人の意思に反して慰安婦になり、強制的な状況に置かれたことの認定《3》人権侵害の認定《4》明確な政府公式謝罪《5》政府による被害者賠償―など。このうち《5》以外は1993年の河野談話やその後の日本政府の対応におおむね含まれている。

日韓の慰安婦関連団体の連合体は昨年6月にこの方針をまとめていたが、挺対協の尹美香(ユンミヒャン)代表が23日、同団体の方針として示した

挺対協はこれまで、日本政府の「法的責任」を追及し、《1》慰安婦制度を犯罪事実として認定《2》国会決議による謝罪《3》法的賠償《4》責任者の処罰―などの対応を求めてきたが、犯罪としての扱いは求めず、立法措置も除外した。一方、閣議決定などによる政府の賠償や謝罪を求めている点は変わらず、歴史教科書への記述や、真相究明も継続して要求している。尹代表は「(法的責任を直接追及しなくても)提案内容で、実質的に日本の法的責任を明確にできる」とした

慰安婦問題に詳しい東京大学の和田春樹名誉教授は「被害者の求めにも対応しており(日韓間の)問題解決の基礎になる案だ」と評価している。

北海道新聞 2015.4.25[2]

北海道新聞社御中
抗議と訂正要求

2015 年4 月25 日付貴紙の「慰安婦問題、日本に「法的責任」は求めず韓国・挺対協、従来方針を転換」の記事は、基本的に誤っています。速やかに貴紙紙面で訂正文を掲載された上で、韓国挺身隊問題対策協議会に連絡をくださるようお願いします。

1. 記事の以下の部分は誤りです。

「旧日本軍の慰安婦問題をめぐる韓国最大の支援団体・韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)が、日本政府に対して立法措置による賠償など『法的責任』に基づいた対応を求めてきた従来方針を転換したことが分かった。代わりに『政府と軍の関与の認定』や『政府による賠償』などを盛り込み、要求を緩めた。」

これは、4 月23 日に参議院議員会館で開かれた「『慰安婦』問題、解決は可能だ」シンポジウム及び記者会見を受けての記事と考えられますが、このシンポジウム及び会見で、挺対協の尹美香代表は「2011 年11 月30 日、日本軍『慰安婦』問題に関する韓国の憲法裁判所判決以降、韓国社会では日本軍『慰安婦』問題に対する日本政府の法的責任と解決に関する議論がさらに活発化しました。そして、これまでに要求してきた『法的な解決』とは具体的に何なのかに関する議論も始まりました」と発言し、そのような議論の結果として「2014 年4 月10 日には韓国市民社会の要求書を発表するに至り」、また2014 年6 月の日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議で「日本軍『慰安婦』問題解決のために日本政府に提出する提言が採択されましたが、まさに私たちが求める解決の内容でした」と発言しています。

また、記者会見では「尹代表の発言からすると法的責任をきちんと認めなければいけないということだが、それぞれのスピーカーが法的責任をどう位置づけているのか聞きたい」という質問があり、これに対して日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の梁澄子共同代表は「(シンポジウムでの)発言の中で繰り返し言ったように、私たちは法的責任とは何かという議論の結果としてこれ(提言)を導き出している。結果的に『法的責任』という言葉は書き込まれなかったが、それは、4 項目に集約した『事実と責任』を加害国が認めれば、即ち法的責任を認めたことになる、と考えたからだ。つまり、法的責任の中身を具体的に語っているのであって、法的責任の4 文字がないからといって、法的責任をとらなくていいとは全然言っていない」と答えています。

また、尹代表は「提言で言及したものが法的責任の内容だ。つまり法的責任の内容、解決への道、枠組みを立法解決という器に入れれば立法解決を通して法的責任が履行されるのであり、閣議決定を通してやれば閣議決定という器を通して法的責任が履行される。結局は法的責任の内容は何かということが、この提言の中に込められているということだ。この提言は大きな枠組みで見た時に、法的責任の内容がそのまま、この枠に含まれている、解釈されていると理解してもらえればいいのではないか」と答えています。

つまり、挺対協が「『法的責任』に基づいた対応を求めてきた従来方針を転換した」という記述は全面的に間違っているのです。「代わりに『政府と軍の関与の認定』や『政府による賠償』などを盛り込」んだのではなく、日本政府がとるべき「法的責任」の具体的な内容として、それらを盛り込んだのです。

従って、表記部分の訂正を求めます。

2 .とりわけ、記事の中で「(挺対協は)犯罪としての扱いは求めず、立法措置も除外した」というくだりで「犯罪としての扱いは求めず」という部分には、記事の深刻な誤りがあります。

さらに、「尹代表は『(法的責任を直接追及しなくても)提案内容で、実質的に日本の法的責任を明確にできる』とした」という部分も、尹美香代表が直接言ったかのように記事を書いていますが、この発言は当日の集会では誰もしていない発言であり、とりわけ尹美香代表の発言ではありません。実際に当日の院内集会の現場で直接取材し記事を書いたのではなく、取材もしないで記事を書いたということがここに露呈しています。明らかに、挺対協の尹美香代表に対する名誉毀損であり、日本軍「慰安婦」問題の解決に対する妨害と見なさざるをえません。

従って、この記事の誤りにつき訂正報道をおこない、挺対協の尹美香代表へ謝罪するよう求めます

韓国挺身隊問題対策協議会
共同代表ユン·ミヒャンハン·グギョムキム·ソンシル