裁判官に偏見があったから?
グレンデールの慰安婦像の撤去を求めた裁判で、アメリカ連邦最高裁は上告を棄却、日本側の敗訴が決定した。
裁判官に偏見があったというGAHTの藤井代表の主張は事実ではあるのだろうが、問題はそれが敗訴の理由だったのかである。市が公園に慰安婦像の設置を認めたのはアメリカ政府の外交権への侵害には当たらないというのがアメリカの司法の判断であり、当初から筋の悪い訴訟と批判する人々はいたのである。抑止力になったと言うのも、否定はしないが、カナダ(バーナビー)の慰安婦像が中止になったのは様々なグループの活動の賜物であり(像は、最終的にトロントにある韓国関連の施設に設置された)、その中には、いわゆる日本の右派とは必ずしも考えが一致しないグループもおり、むしろこうしたグループが重要な役割を果たした可能性がある(現地における社会的地位)。
さて、この敗訴はどういう効果をもたらすのだろう。現地の反日グループが勢いづくであろう事は想像に難くない。ただ、悲観的になり過ぎる必要もないだろう。日韓合意以降、国際社会の空気が変わった。棄却されると分かっていながら日本政府が最終段階で裁判に介入したのも、慰安婦騒動がアンダー・コントロールにあるという自信の表れではないか。菅官房長官が負けを悔しがったと受け取られるようなコメントしたのも、本来ならNGだろう。
新たな慰安婦像設置を抑止=米訴訟の意義強調-原告団体
米カリフォルニア州グレンデール市の慰安婦像撤去を求めた訴訟の原告団体「歴史の真実を求める世界連合」の藤井厳喜共同代表(64)は28日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見した。米連邦最高裁は27日、上訴を却下したが、藤井氏は「(新たな像設置への)抑止力となった」と語り、訴訟の意義を強調した。
藤井氏は「訴訟によりカナダなどでの設置を阻止した」と指摘。敗訴については「(慰安婦は)『性奴隷』とする説が広まっており、裁判官に偏見があった」と主張し、「反日的メッセージが一方的に伝わっている。今後は広報戦に力を入れたい」と述べた。
時事 2017.3.28 [2]
米慰安婦像撤去訴訟、菅義偉官房長官「極めて残念」
菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で、米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像撤去訴訟をめぐり、米連邦最高裁判所が原告である地元の日本人たちが提出した上告審の請願を却下し、敗訴が確定したことについて「慰安婦像設置の動きはわが国政府の立場と相いれない。極めて残念なことだ」と述べた。
菅氏は今後の対応について「さまざまな関係者に対して慰安婦問題に関するわが国政府の基本的立場や取り組みについて適切に説明し、正確な理解を求めてきている。引き続きこうした取り組みを続けていきたい」とも述べた。(以下略)