「像は、もはや日韓の『政治問題』となった像とまったく同じもので、だからこそ多くの現地在住の日本人が反対している-という説明が重要なのだ」(産経新聞)
ジョージア州ブルックヘブンにアメリカに二つ目(公有地)の「少女像」が建てられた。慰安婦像はともかく、「少女像」の海外展開はもう無理だろうと思っていたが、工夫次第でまだまだチャンスがあると分かった。しかし、よい兆候もある。20万人やら性奴隷やら河野談話にこだわって来た産経新聞が、これまでの説明の仕方では(アメリカ人に)伝わらない、やり方を変えるべきだと言い出した。これまでの様な説明は、逆に敵を利していると。産経も漸く気が付いたと見える。この変化が、一過性でない事を願うばかりである。また、民主党の蓮舫代表もブルックヘブンの慰安婦像を批判した。今や日本ではこの問題で与野党の分裂はない。もっとも、この件と日韓合意は無関係だが・・・。
なお、無事除幕式まで漕ぎ着けたブルックヘブン市の慰安婦像だが、近所の住民が反発しており、移動されるらしいと地元紙が報じている。まだ確実ではないが。
「慰安婦像は政治問題」説明が急務 米2例目の設置で教訓 地元に「反日」の狙い伝わらず
・・・除幕式に出席した市議の言葉は、日本側に新たな教訓を示したといえそうだ。
像設置を推進した韓国系団体の幹部は市議会で「韓国、中国、日本を含む13カ国の20万人以上の女性が人身売買の対象となり、日本軍の性奴隷となった」などと主張。その流れの中で、像の設置が決まった。
これに対し、日本総領事館は「性奴隷」との表現が不適切であることや、「20万人」「強制連行」などといった主張を日本政府は受け入れていないと市側にていねいに説明したという。
米国で像設置問題が浮上すると必ず起きる応酬なので、韓国系団体も日本側の反応は折り込み済みだろう。こうした説明を「日本は反省していない」と吹聴し、逆利用する節もある。
米国で慰安婦像を設置する表面上の大義は、人身売買の根絶を訴えるもので、その裏にある「反日」は市議らにはなかなか伝わらない。市議も「人身売買は悪」との主張で行動するので、「政治問題ではなく、人権・人道の問題」となる。だが、その象徴として設置される像は、もはや日韓の「政治問題」となった像とまったく同じもので、だからこそ多くの現地在住の日本人が反対している-という説明が重要なのだ。
慰安婦問題に関する最終的かつ不可逆的な日韓合意で韓国政府はソウルの日本大使館前の歩道に設置されている慰安婦像の移動に努力することを約束。ところが、移転が進まないばかりか、釜山の日本総領事館前にも新たな像が設置された。大使や総領事の一時帰国や日韓ハイレベル経済協議の延期などの原因となった政治問題化した像が米国に設置される違和感をいかに市議らに伝えるかが教訓として残る。
韓国から6月30日の除幕式に出席した元慰安婦支援施設「ナヌムの家」の所長は訪米直前、韓国紙ハンギョレの取材に「日本の妄言に対抗し、多くの団体と連携して、少女像(慰安婦像)を米国内に多く設置する計画だ」と述べた。対策が急務となっている。(ロサンゼルス 中村将)
産経 2017.7.1[全文]