2013/07/05

慰安婦は朝鮮人差別か--山谷哲夫


3年前のエントリー(旧ブログ)の再掲。


女性センターアイリス(渋谷区)

ドキュメンタリー映画監督、山谷哲夫には慰安婦を扱った作品もある。いわゆる慰安婦騒動が始まる前から、慰安婦について取材していた人であり、「沖縄のハルモニ」という本も出している。この本について、半年前にちょっと批判的に引用した。昭和天皇に何の恨みも持たないハルモニに、しつこく天皇批判を引き出そうとするかのような誘導尋問をするのはいかがなものか、と思ったからだ。

しかし、この人の「じゃぱゆきさん」は読み応えがあった。ヤクザに消される危険を冒してフィリピンの貧困地帯にまで取材に行く著者。入管と一緒に手入れに参加するかと思えば、じゃぱゆきさんの口から入管職員がセクハラを行っていると聞き、今度は入管の不祥事を暴くために奔走する。

その、じゃぱゆきさん。貧しさゆえに売春婦となり、甘言につられ、日本で不本意な仕事をするじゃぱゆきさん。しかし、国に帰れば食べていくあてがない。今度は全てを承知で再び日本にやってきて、摘発に怯えながら故郷の家族の為にお金を稼ぐ。山谷はしっかりと「底辺の女性」たちを取材してきた人である。綺麗事ばかり言ってる「慰安婦問題の専門家」たちとは違う。その山谷が、ブログにこんな事を書いている。

・・・区役所3F情報公開に遠藤課長と来てもらったが、心底びっくりした。たまたま、従軍慰安婦のことを話している時、「あれは朝鮮人差別です」と、断言するのだ。

慰安婦に関しては78年から32年間取材し、1本のドキュメンタリー映画と1冊の本がある。アメリカの公文書館、オーストラリアの大学でも、資料を読み込んでいる。・・・慰安婦は朝鮮人だけではない。日本人も中国人も多数いた。根底は「公娼制度」である。当時の日本では、女を買うことは公に認められており、その延長線上に「従軍慰安婦」制度があったのである。


現在渋谷区でオンブズマンをやっている山谷は、区役所から「女性センター」に天下って来た新館長と激突(?)するのであった。・・・鈴木裕子あたりが聞いたら、頭から湯気を出しそうな話であるが、山谷のように、女性の人権に敏感でも慰安婦を娼婦と認識している人はいるのである。


山谷哲夫 監督作品:

「生きる――沖縄渡嘉敷集団自決より25年」
「沖縄のハルモニ――証言・従軍慰安婦」
「バンコク観光売春――買われる側の生活と意見」