関西ネットワークのパンは2年前
慰安婦を連れて橋下市長と対決を試みるも、果たせず
慰安婦モニュメントを巡るサンフランシスコ市での攻防は日本側の完敗に終わった。同市では二年前に「慰安婦決議」を採択しており、癌がステージ3まで進行しているような状況で、この結果は避けられなかったのだろう。
結果はともかく、個人的には日本の左派系団体がアメリカにおける騒動に本格的に介入し始めたことに興味を引かれた。関西ネットワークやwamといった名の知られたグループが、市会議員らにモニュメントの設置を働きかけるメッセージを送っていた。これも市議会を後押ししたのだろう。彼女らはカウンターアクションとして結成された「なでしこアクション」やGAHTと異なり、豊富な活動実績のある”プロ集団”として現在の「主戦場(米国)」に介入し始めた(関西ネットワークは、なでしこアクションを「極右」と呼んでいるが、当の本人たちは、朝鮮総連を支援しているとして韓国政府から警告を受けた身である)。
日系人団体NCRRのマサオカ
韓国系団体にとって心強い味方だろう
韓国系は、既に一部の日系団体と繋がっており、今回日本の左派系団体の協力を取り付けることに成功した。関西ネットワークは、サンフランシスコ在住のミホ・キム・リーの要請を受け、日本の他の市民団体にも応援を募ったが、彼女らが議員たちに送った手紙/メールには、「日本の一部に、『慰安婦』の存在を一貫して否定しようとする人々が」おり、橋下大阪市長がその一人だと書かれている。彼女らは日本軍の問題を特異事例のように扱うことに異議を唱える橋下大阪市長に対し、「日本軍は進軍するあらゆる場所に朝鮮人女性らを『慰安婦』として連れ歩き、あるいは現地の少女や女性たちを慰安所に閉じ込めて性奴隷にした」と説明しており、ここで方清子(パン・チョンジヤ 関西ネットワーク共同代表)らは、日本人女性の存在を抹消するなどして、あくまでも世界に類を見ない出来事として印象づけようとしている。
パリセイズパークを訪れ慰安婦碑を賞賛したwamの渡辺
確かに、関西ネットワークやwamは日本国内では影響力を失いつつある。彼女らは手紙/メールの中で「歴史を否定し、被害者を貶める『意見書』」が日本の各地で可決されたと訴えているが、彼女ら自身が認めているように、これは元々彼女らが始めたものである。それが問題化し、流れが逆転した。今さら勝手な言い草である。
今回の件では、地味ながらもキム・ミホ・リーや小山エミといった人々の貢献も小さくなかったと思われる。キム・リーがどういう人物か自分は知らないが、日本が憲法を「改悪」し「戦争国家」となるための準備段階にあると述べるなど、その主張はパン・チョンジャら日本の市民運動家とそっくりである。
アメリカでの慰安婦騒動は、中国系や日本の左派、在日系らしき人々まで巻き込み、益々複雑な様相を見せ始めている。 状況は、左派が無人の野を行くが如しだった10年前の日本に似ている。この状況を変えるのは容易ではない。しかし、不可能でもないだろう。
※ 関西ネットワークがサンフランシスコ市議会議員に送った賛同書(強調は引用者)
「決議案150764号(「慰安婦」記念碑建設要請)」への支持を求める賛同書
(組織名) 日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
Kansai Network for Justice of the Japanese Military “Comfort Women” Issue
XXXX議員殿
私たちのネットワークは2009年5月、日本軍による性暴力を受けた被害者に対して、日本政府が謝罪と補償を早期に実施することを求めて、大阪府、京都市、兵庫県、奈良県の団体・個人で結成しました。関西地方の各地方議会での意見書・決議の採択、署名運動の実施、集会や映画上映会などに取り組む一方、「日本軍『慰安婦』問題・解決全国行動2010」の関西ブロック担当として、全国集会や院内集会などでの行動を積み重ねてきました。とりわけ、2012年より続く橋下大阪市長の「慰安婦」問題への暴言に対し、一貫して抗議の声をあげ続けてきました。私たちは2010年、大阪市議会において日本政府に対する「慰安婦」問題の早期解決を求める意見書の採択を実現させました。しかし、2014年、橋下市長の下でこれを覆し、「慰安婦」問題を虚偽と決めつけ、不当に貶められた戦没者の名誉回復を求める意見書が可決されました。こうした「慰安婦」の歴史を否定し、被害者を貶める「意見書」は右派の人々によって各地の議会でも可決されてしまいました。
この度、サンフランシスコ市・郡議会が審議している「決議案150764号(「慰安婦」記念碑建設要請)」に対しても、様々な反対や妨害があることと思いますが、屈することなく決議されるよう、強く支持を表明します。
国際社会は、被害者の証言と歴史研究の結果をふまえ、性奴隷制度、強制連行の事実を確認し、被害者への謝罪・補償を求める勧告や決議を、日本政府に対して何度も提出しています。それにもかかわらず、日本政府は「慰安婦」制度に関する責任の所在を濁しており、さらには歴史歪曲活動をサンフランシスコを含む世界各地で展開していることがもはや明らかになっています。
日本政府は1990年代初頭に、当時の内閣官房長官、河野洋平を通じて、日本軍が慰安所の設置、管理また「慰安婦」の移送、募集に関与したこと、募集と慰安所での強制性を認め、「お詫びと反省」を表明しました。しかしながら、日本の一部に、「慰安婦」の存在を一貫して否定しようとする人々がいます。大阪市の橋下市長は、そのひとりです。橋下市長は2013年5月、「慰安婦」は兵士に「休息」を与えたもので、「必要」だと述べたことで、支持率が大きく低下しました。今年5月の「大阪都構想」をめぐる住民投票で敗北するや、任期切れとなる今年12月で「政界から引退」することを表明しています。
サンフランシスコにおいても、国際社会や日本の多くの市民同様に、真実を直視した歴史を捉え、このような行為が再度繰り返されることがないよう、次世代に継承する義務を全うし、私たちはその意図を共有するものとして、決議案が採択されることを強く願うばかりであります。「慰安婦」記念碑の建設は、サンフランシスコの市民と政府が、このような人道に反する行為、犯罪行為を再発させないという強い決意を示すものだと理解しています。日本の大多数の人々も、この決意を支持するでしょう。
したがって、私たちは、貴議員にこの決議を支持するよう要請します。
以上。