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「日本の世論が『解決しろ』との声になっていない」(政府関係者)という環境下では、安倍政権も容易には踏み込めない。(時事)
踏み込めないのか、あえて踏み込む必要を認めていないのか。時事は、匿名の外務省幹部が「この問題は無理して決着する必要はない」と述べたと報じている。これが外務省の本音ならいいのだが。
慰安婦問題、こう着も=世論の後押し乏しく
いわゆる従軍慰安婦問題などを議論する日韓局長級協議は継続となり、韓国側が当初、期待していた年内の決着は困難になった。双方の立場の開きが大きい上、歩み寄りに向けた両国世論の後押しにも乏しいことが進展を難しくしている。両国首脳間で加速化を確認した協議だが、こう着状態に陥る可能性もある。
15日の協議は予定された約3時間で終了。韓国外務省の李相徳東北アジア局長は記者団に、次回会合について「今年中は難しい」と述べ、あっさり白旗を揚げた。日本政府関係者は「平行線だった」と語った。
政府は韓国側に、在ソウル日本大使館前の慰安婦像の撤去を求めている。だが、像の撤去については、外務省にすら「韓国の国民感情が許さないだろう」(幹部)との見方が根強い。政府は、1965年の日韓請求権協定による「完全かつ最終的な解決」に基づき、問題を将来的に蒸し返さない確約も要求しているものの、朴政権が将来の政権まで縛ることには懐疑的だ。
一方、韓国側は被害者支援団体に法的責任の明確化を求める声があることを踏まえ、「被害者が納得できる解決」を要求している。日本政府内では、元慰安婦らへの人道支援を拡充する案が取り沙汰されているが、「日本の世論が『解決しろ』との声になっていない」(政府関係者)という環境下では、安倍政権も容易には踏み込めない。
日本側としては、17日に予定される、朴槿恵大統領への名誉毀損(きそん)で在宅起訴された産経新聞前ソウル支局長への判決も見極めたい考えだ。仮に有罪となれば、慰安婦問題解決の機運がそがれるのは必至。ある外務省幹部は「この問題は無理して決着する必要はない」と述べ、解決を急がない姿勢を示した。