安倍晋三はいわば、朝日新聞のペースにハマったわけだが、後にこの「狭義の強制性」発言で海外からもバッシングされる。政治家として、甘かったと言わざるを得ない。
○菅(直)委員
民主党の菅直人でございます。(中略)一昨日の国会の議論の中で、従軍慰安婦についての質問に対して、平成五年の河野官房長官談話を受け継いでいるというふうに答弁されております。この河野官房長官談話というのは、どういう中身で、どういう趣旨で受け継がれたんですか。
○安倍内閣総理大臣
河野官房長官談話におきまして、いわゆる従軍慰安婦問題について述べられた談話でございます。この談話におきまして、いわゆる従軍慰安婦の募集等々に国の関与等についての言及があるわけでございます。この河野官房長官談話は政府として出されたわけでありまして、現在の政府におきましてもこれは受け継がれているということでございます。
○菅(直)委員
現在の政府として受け継いでいるという言い方ですが、現在の政府の最高責任者はどなたですか。そして、最高責任者である総理自身が受け継いだということですか。そこをはっきりしてください。
○安倍内閣総理大臣
当然、私は内閣総理大臣でございますから、私を含めまして政府として受け継いでいる、こういうことでございます。
○菅(直)委員
そうしますと、安倍総理が、平成九年ですか、五月二十七日の国会の質疑の中で、この官房長官談話はその前提が崩れているから、そういうものは変えるべきだ、こういうふうに主張されていたのは、考え方を変えられたということですね。
○安倍内閣総理大臣
私がその際、これはしばらく前のことでありますが、それまでの議論の中で、いわば官房長官談話が出るに際して、いわゆる従軍慰安婦と言われた方々から事情を聞いたときの状況、あるいはまた、当時の石原官房副長官のお話を伺った結果、当初報道されていた中身とは違うのではないか、こういう疑問を持ったわけでございます。
しかし他方、政府としてこの官房長官談話を発出し、内外に対して政府としての姿勢を示した、これについては、私の内閣で変更するものではない、こういうことでございます。
○菅(直)委員 国民の皆さん、聞いておられてわかるんでしょうか。
安倍総理大臣としてどういうふうに言われているか。この質疑の中で、「河野官房長官の談話の前提がかなり崩れてきているという大きな問題点があると思うんですね。ですから、」云々と書いてあります。つまりは、官房長官談話は少なくとも正確ではない、間違っていたという趣旨のことがここで述べられております。
今の説明ですと、それはそのとおりだけれども、その考えは変わっていないけれども、自分が責任者である現在の内閣、政府では、しかしこの考え方をそのまま踏襲する、そういう意味なんですか。
○安倍内閣総理大臣
今、菅議員が御指摘をされているのは、そのときの官房長官談話が発出をされたときの意味、意義なんだろう、このように思うわけでございまして、韓国においていわゆる従軍慰安婦として心に傷を負った方々に対して、政府としての認識を示したものであるわけでありますが、そのときに、この問題に関しましていろいろな議論があったのは事実であります。
いわゆる狭義の上での強制性という問題がありました。それは狭義の強制性ではなくて、広義の意味での強制性について述べているという議論もあったわけでございますが、私が当時述べていたことについては、具体的に狭義の強制性が果たしてあったかどうかという確証については、いろいろな疑問点があるのではないかということを申し上げたわけでございます。
しかし、強制性という中にはいろいろな強制があるのではないか、直接の強制ではなくても、これは広義の意味でそういう状況に実は追い込まれていたのではないかという議論もあったのは確かであります。しかし、最初は狭義の強制性であったわけでありますが、それはその後、いわば広義の強制性ということに議論が変わっていったのも事実ではないかと思います。
(中略)
○菅(直)委員
これは大変重要なことなんですね。これから申し上げることにもつながってきますので、少し念を入れて聞かせていただきました。
安倍さんの総理になる前の発言の中では、従軍慰安婦については、少なくとも官房長官談話に対しては否定的であったし、また村山談話に対しても、個人の意見としては認められなかった、単に、新たな談話を出すつもりはないという極めて消極的なことしか言われていなかった、こう思いますから、それは少し変えられたのかな、そういうふうにお聞きをいたしました。
第165回国会 衆議院予算委員会 第2号平成十八年(2008年)十月五日