2015/09/02

ストラスフィールド 「慰安婦像失敗、豪州の民主主義が勝利」

「三姉妹像」
姿に惑わされてはいけない

オーストラリアのストラスフィールド市を一年以上悩ませていた慰安婦像設置を巡る騒ぎに、先月漸く終止符が打たれた(たまには、英字新聞も翻訳してみた)。

地元紙がタイトルに使った「オーストラリアのデモクラシーの勝利」、これはVaccari市長の言葉らしいのだが、実はこの市長が慰安婦像推進派に取り込まれており、インタビューに決着に15ヶ月も要した言い訳をしているが、長引いた原因の一つはこの人物らしい。彼としては、こう言う他なかったのだろう。前市長の息子は、問題を大きくしてしまった市を批判している。Vaccari市長周辺の動きは、現地で反対運動を行っているAustralia-Japan Community Networkのウェブサイトに詳しい。もしも像の設置が決まっていたら、市長はどう言ったろう?新聞はどんなタイトルをつけたろう?やはり「オーストラリアのデモクラシーの勝利」と言ったろうか?新聞はともかく、市長はこうは言わなかったような気がする。

確かに、慰安婦像のオーストラリア大陸進出はひとまず阻止された。しかし、誤解が解けたわけではない。カナダやオーストラリアは慰安婦像の設置を食い止めたが、現地の日本人は、歴史論争には踏み込まず、モニュメント設置(既成事実作り)を阻止することに専念する、いわば言いたいことも言わず我慢する作戦を取っているからである。

それでも、なんとなくオーストラリアの雰囲気が微妙に変わって来てはいまいか?住民へのアンケートの結果、慰安婦像を支持する声は少数で連邦政府も像の設置にいい顔をしていなかったようである。これは、像のテーマが市の規定に適っていないというだけの理由だろうか?議員の中には、市が反日団体に嵌められたとハッキリと言う者までいた。

それにしても、「オーストラリアの勝利!」・・・こういうのがウケるのは、やはり移民国家だからなのだろうか?

※Ourstrathfieldの記事は江川さんから

慰安婦像の挫折、デモクラシーの勝利

国際社会が見つめる中でのオーストラリア・デモクラシーの勝利というのが衆目の一致するところだった。ストラスフィールド議会は今夜、第二次大戦中のいわゆる慰安婦を追悼するモニュメント(像)の設置を見送ることを票決した。

この決定により、ストラスフィールドの広場がこのような記念碑に相応しいかどうかについて、長く、時に感情的となった議論に終止符を打たれると見られている。

この問題は、70年前、20万人の若い女性が朝鮮や中国やその他のアジアの国々から日本兵の性奴隷として連れ去られたという主張を巡る議論の渦中にある二つの国--日本と韓国でニュースになっていた。

この問題は大きな歴史論争となり、昨夜、この問題の為だけの特別議会が開かれたストラスフィールドの公民館にへと流れ込んだのである。

入り口を警備員が固める中、日本人と韓国人を主体とした160人を超える人々が、あるいは意見を表明する為に、あるいは聴衆となる為に集まった。

テレビの画面では三ヶ国語の実況解説が流れ、日英韓国語によるストラスフィールド・シーン(ローカル紙)の特別版が配られた。

一部で懸念されたような抗議活動には発展せず、討論は繊細にかつそつなく進められ、文明的だった。

議長を務めたVaccari市長は、三人の外国メディアのレポーターに向かい、「オーストラリアのデモクラシーの勝利です。オーストラリアのデモクラシーが生きていることを知りました」と語った。

結論が出るまでに15ヶ月を要したことについて長過ぎたと思うかと問われ、市長は「もっと早く片付けば良かったと思う。・・・だけど、キチンとする必要があったので」と答えた。

住民の意識調査の結果、過半数が碑に反対と分った。そして、オーストラリアの首相府と外務省に問い合わせた結果も。

6人の議員は無記名投票で、碑が市の方針に反すると言う議会のスタッフたちの勧告通り、設置の提案について実行しない方向に票を投じた。

記念碑は、地域住民の献身を記念する物であるべきだと議会スタッフらは報告していた。本件は、「市の記念碑の基準に合致しない」と。

Sang Ok議員は、自分は日本の戦争犯罪を追及する全豪州中韓連合の前(? passed)議長だったという理由で議事には参加しなかった。

賛成反対双方から4名ずつ、8名の演説者が意見表明の為に5分ずつ時間を与えられた。退席する際、全員に拍手が送られた。

慰安婦問題はオーストラリアと日米の関係を不安定化させる陰謀であるという主張もあった。また、歴史の過ちを正すために像を建てて欲しいという訴えもあった。

日本人の妻が最近子供を出産した南アフリカ生まれのGlenn McRaeは、碑は「人道問題とも女性の人権問題とも関係ない」と主張した。

Peter Wertheimは会場に向かい、「多文化社会であるストラスフィールドで記念出来ずに、どこでやるのか?」と問うた。

McRae氏は、一部の移住者のコミュニティーは、オーストラリアに移民して来ても歴史的敵意を徹底していると主張した。「彼らは、我がオーストラリアの価値観を受け入れるべきだし、尊重すべきなのです」。

シドニー工科大でジェノサイドを教えるPanayiotis Diamadis博士は、イスラム国(ISS)が女性や若い娘を人身売買しているという話は、慰安婦問題によって提起された問題は今も生きている。碑は全ての民族の女性の為の物だと主張した。

前市長の息子でありストラスフィールド市のalderman(参事会員?市会議員?)でもある元新聞販売業Geoff Boyceは、記念碑に関する市議会のポリシーは地域の英霊の為の物というものであって、この碑には無理があると述べた。

「ここはオーストラリアであって・・・ここには韓国人や中国人やアメリカ市民の支部は存在しません。我々は皆オーストラリア人なのです」

彼は、議会の「幾分不注意」がこの問題をここまで大きくしてしまったと付け加えた。

シドニー・インナーウェスト区中華ビジネス連合と「日本の戦争犯罪を追及する全豪州中韓連合」のDong Dong Yang氏は、「この碑は・・・戦時下で苦しんだ全ての民族の女性を象徴する物です」と述べた。

しかし、ゴトウ・メイコは、この碑がオーストラリアの国家安全保障を損なう(?compromise)、日本は慰安婦問題について何度も謝罪して来たと主張した。

最後に21歳のYeo Ji Yanは、碑が全ての女性に対する暴力を抑止する役に立つと述べた。

Helen McLucas議員は、会場の人々に、これは市で扱うべき問題ではなかったのに「反日」組織によって「我々に押し付けられた」と話した。

地元のコミュニティからは碑に対する支持は無かったし、(オーストラリアの)ANZACデーに絡め、この碑が全ての女性に対する暴力を防止するなどと主張するのは「侮辱だ」と彼女は述べた。

「この碑は、地域に大きな分裂をもたらしている」と彼女は付け加えた。

Daniel Bott議員は、これは外務省が扱うべき問題であり、ストラスフィールド市の問題ではないと主張した。

Stephanie Kokkolis議員は、自分は、過半数が碑を支持しないと言っている住民の見解に従うことに決めたと述べた。Andrew Soulos議員は、これに同意し、時期的に不適当だと述べた。

Vaccari議員は、会場に向かってこう述べた。「戦争に勝者はない。男にとっても女にとっても、人間にとって悲劇なのです」。

「この話には二つの側面がある」ことを認めつつ、彼もまた、この問題は「ストラスフィールド市の手に余り」連邦政府が扱うべき問題だと主張した。

最後にRaj Datta議員が、このような討論の場が設けられることは、オーストラリアの勲章(オーストラリアへの贈り物)であると述べた。結局は、殆どの者が決定を受け入れ、「オーストラリア人として家路に着くのです」。

そういうわけで、集会は平和裏に解散となり、どうやらその通りになったようだ。


12 件のコメント:

  1. 9月1日発売の「正論」にAJCN代表がもっと生々しい運動の状況をレポートしています。シドニー方式(門前払いj方式):歴史論争に踏み込まず、ただひたすら像が立つことをコミュニティのハーモニーを守る観点から止める、その目的に向かってどんな具体的な戦術がとられたのか、国内の保守の人たちが陥りがちな神学論、観念論から目を転じ、運動の具体論について議論して欲しいと思います。ぜひ手にとってお読みください。今回の結果は、当事者としては手弁当、膨大な時間をかけて、頭脳をフル回転させ戦った結果、やっと得た「心の勲章」です。

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    1. 正論は明日買って読むつもりです。

      そうですか、「門前払い方式」というのですか。有効性を実証したわけですから、海外の各地でこれに学ぼうという動きが増えそうですね。お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

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  2. 初期に、私の個人的顧問のようなな、日本で弁護士をしていた方と下記議論をしていました。彼は職業上の経験から下記のようなコメントをくれました。(彼は今シドニー在住でAplacという仕事をしています。該博な知識には驚かされます。http://aplac.info/。)このコメントはAJCNの活動方針に大きな影響を与えました。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    これは基本スタンスに関わることだけど、実体論には立ち入らないで形式論でハネる方がいいからです。戦略的にも。
    従軍慰安婦がどうしたこうしたってエリアそのものが日本にとっては絶対不利な
    んです。過去の歴史でどうしたこうしたって細かな真実を暴こうともなんだろう
    とも、こっちが加害者であっちが被害者という大きな図式は絶対に変わらないわけですよ。
    相手が検察官でこっちが被告人だという図式そのものが不利。そこでいくら弁護活動をしても、被告人が被告人から免れるわけではない、最大で無罪どまり。
    だから裁判でいえば「実体審理」に入る前の、いわゆる「門前払い」で済ませて
    しまった方が100倍楽です。
    実際の訴訟でいえば、裁判の形式が間違っているとか、時効でダメとか、管轄違いとか。
    ここでいえば「管轄違い」です。ここは十二分に戦えるんですよ。

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    1. 正論、読ませて頂きました。部分的にでも、このブログで紹介させていただこうと思っています。

      >実体論には立ち入らないで形式論でハネる

      しかし、このやり方に納得してくれない日本人もいますね?オーストラリアの事は分りませんが、あくまで歴史的事実で挑むのだとはやる人がいた場合、やはりリーダーシップが問われます。AJCNの皆さんはよくやられたと思います。

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    2. 私もプロパガンダ戦の場合、議論の俎上に乗せないは有効な戦術だと思います。

      かつて、ブエナパークで、当時の市長であるエリザベス・スイフト女史のコメントは、考え方として素晴らしいと思いましたが、彼女は強制連行の有無に関しては有無にこだわっていないというか、むしろあったという推定のもとでコメントしています。

      特に移民国家で無理に白黒つけようとすると対立を生むので、いやな顔されますからね。

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  3. 実体論に入らない方法は巨大な敵と戦う時に有効です。
    慰安婦問題の最大の問題は韓国側ではなく日本側にあります。
    タブーとなっている日弁連の性奴隷声明が問題です。
    会長声明は弁護士法第45条違反です。前にも
    書いたが反応なしだった。

    京都の弁護士が地裁に訴えた。
    http://www.sankei.com/affairs/news/150701/afr1507010030-n1.html
    慰安婦問題に関わる全ての団体はこれに参加して支援するべきです。

    慰安婦が性奴隷だという会長声明に対して実体論に踏み込まず、会長声明そのものの違法性を問い、日弁連の活動を凍結させれば、ほとんど問題は解決します。国内で策動する連中の背後には巨大な権力日弁連がいます。後ろ盾を失えば無力化されます。そうなれば韓国が外で何を騒いでもたいした影響はありません。

    ちなみに、朝日新聞を名誉毀損で提訴した裁判。すっかり話題にならなくなったがどうなった?
    名誉毀損は私人間の問題です。法人は私人ですが、日本国民全体が私人ですか?門前払いの裁判に熱狂して、肝心の裁判には無関心。どうにかならないか。

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    1. 慰安婦会長声明の削除と損害賠償を求めて提訴する弁護士はいないんですか?弁護士は入会を法で義務付けられているので一般人が訴えて門前払いになるような事はありません。各地で訴訟を起こすべきです。
      弁護士法を読んでください。司法権の西の横綱が違法行為を繰り返して既得権化しています。慰安婦問題を度外視しても正すべきです。信じられない違法行為です。
        第六章 日本弁護士連合会

      (設立、目的及び法人格)
      第四十五条  全国の弁護士会は、日本弁護士連合会を設立しなければならない。
      2  日本弁護士連合会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士、弁護士法人及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。
      3  日本弁護士連合会は、法人とする。
      -----------
      要約すると弁護士法第45条に規定された日弁連の目的は
      (1)弁護士(及び弁護士法人)の品位を保持し、
      (2)弁護士指導・連絡・監督に関する事務を行う
      こと。

      弁護士を対象にした業務を目的として設立された日弁連が国民や社会や政府や国会を相手にした声明や勧告をする事は出来ない。弁護士や弁護士会の業務にもない。弁護士は弁護士ではない個人として 思想信条の自由、表現の自由はあるが、弁護士法人、弁護士会、日弁連にはない。



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    2. 安保法制会長声明を訴えた弁護士は聖戦完遂とか戸塚ヨットスクール支持とかちょっととんでる方のようなので乗る人が出ないようです。それでこの件が話題にならないのなら悲しい限り。判例は出るのですから、仕切り直しの提訴をして欲しい。

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  4. AJCN代表の山岡です。いつもありがとうございます。若干の訂正をさせて頂きます。我々は防衛二元論と呼んでいるのですが、多文化主義社会におけるコミュニティのあり方を主の議論としながら、歴史認識論や事実の検証もサブの議論として市や市議会、さらにメディアにもかなり投げかけました。ただ、究極の目的を「慰安婦像阻止」と定め、それを完遂するために最も有効な戦略として、コミュニティ融和論を前面にたてた、ということで、それだけで戦ったわけではありません。8月11日の最後のスピーチにも、慰安婦像推進の目的は日豪関係の分断という主張を盛り込み、メディアでも伝えられました。和訳を掲載頂いているStrathfield Sceneの記事のいいところは、AJCNの名称が全く出てこないことです。それは、中韓対コミュニティ全体という構図に持ち込む我々の戦略が功を奏したということです。コミュニティの勝利だから、民主主義の勝利と言えるわけです。AJCNは目立たない方が望ましいのです。しかし、歴史上の事実をめぐる議論が続いているという記述や、市長のコメントとして、この問題には二面性の解釈がある、とあったように、事実関係に関してもかなりの量をインプットしています。その結果が現れています。ただ、何をメインとし、何をサブとするか、ということを戦略的に考えて展開したということです。この点ご理解頂けますと幸いです。(防衛二元論)

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    1. ご指摘ありがとうございます。「何をメインとし、何をサブとするか、ということを戦略的に考え」る。これは、その土地土地の事情と状況を考慮して計画的に敵に当れ、という意味でもあると受け取りました。

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    2. その通りです。これが北米なら北米の文化に適応した戦略を考える必要があります。その際は、やはり、日本人だけで考えずに、現地のアメリカ人とよく話し合って戦略を決めることが大切です。ちなみに、AJCNは、代表の私と事務局長は日本人男性ですが、基本的には日本人女性と、その彼女たちを助ける白人男性が中心であることを付け加えておきます。

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    3. 大変参考になりました。女性やネイティブの理解を得られない反対運動ではダメなのだろうと思います。この問題は、ドイツやフランスにも飛び火しつつあります。そこでも新しいモデルが生み出される必要がありそうですね。

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