2011/05/21

風刺画家橋本勝、韓国の学生と交流


橋本勝といえば、安倍首相の失言騒動の時、右上のイラストと共にこのように書いた(日刊ベリタ 2007.3.12)。

「『河野談話』の中でも、軍の関与は認めていた。だが今回、首相が、軍は直接的な強制連行などはしていないと、姑息なことを言い出したのだ。...安倍首相の本音としては、すべては民間業者がやったこと、誇り高き日本軍がそんな破廉恥なことはやっていないとしたいのだろう。...慰安婦にされた女性の痛み、苦しみを、鋭敏に感じ取り、そして、そんな制度を作ることをよしとした侵略戦争を始めた日本帝国、その軍隊、そんな歴史への想像力を巡らすならば、この問題の本質が分かるはずだ」

政府はAを認めた、それなのにBはないと安倍総理は言い張る!と橋本は憤る。ここでA≠Bなのがミソなのだろうが、それはともかく、橋本は今回水曜デモに参加し、渡韓の機会を利用して韓国の学生たちと交流を持った。もっとも、テーマは慰安婦問題ではなく、風刺漫画についてであった。

憲法九条の理念を韓国人に伝えるという試みもあって良かったかもしれない。韓国はまだ終戦を迎えていないのだから。


イラストレーター(風刺マンガ家)の橋本勝さんが、韓国の祥明大学・天安キャンパスで特別授業を行った...

同校の高慶日教授は正義感が強く「風刺マンガ」で有名で、京都精華大学に留学体験があり日本語も流暢で、留学当時、橋本さんの「風刺マンガ」に接し関心を持ち、約600人が参加している「韓国時事(風刺)マンガ協会」にも所属している。この度、橋本さんが日本軍慰安婦の『水曜デモ』に参加のため訪韓する事を知り招待された。

5月12日の午前中にはプロジェクターを使い、橋本さんの経歴や作品の紹介をしながら、100人ほどの学生の前で「風刺マンガ」の意義や発想などについて話した。...

橋本さんの絵は「一口風刺マンガ」で言葉が要らず、国境を超え絵だけで理解でき好評であった。大凡7割程度が女子学生で、高教授は学生たちに大変な人気である。

講演後、橋本さんが持参した本や9条「ハンカチ」などを抽選で学生20名ほどにプレゼントした処、サイン責めにあっていた。

帰路のソウルで韓国の週刊誌『時事IN』のインタビューを受けて帰国した...

JANJAN 2011.5.15 (一部)


小泉首相に「鈍感力で行け」とアドバイスされたからでもないだろうが、安倍首相の鈍感力には呆れた。先の戦争で日本軍の兵士の性欲を発散させるための相手として苦役を強いられた女性たち、いわゆる「従軍慰安婦」問題に対する首相の発言が物議をかもしている。1993年の慰安婦への謝罪と反省を表明した「河野談話」の中でも、軍の関与は認めていた。だが今回、首相が、軍は直接的な強制連行などはしていないと、姑息なことを言い出したのだ。これに対し当然、韓国も中国も反発、米紙NYタイムズは改めて元慰安婦の証言を載せ、「慰安婦問題」の非人道性を訴えた。安倍首相の本音としては、すべては民間業者がやったこと、誇り高き日本軍がそんな破廉恥なことはやっていないとしたいのだろう。かつて「河野談話」を批判し「慰安婦」が教科書に載ることに猛反対した議員グループの先頭に立っていた安倍さんだ。慰安婦にされた女性の痛み、苦しみを、鋭敏に感じ取り、そして、そんな制度を作ることをよしとした侵略戦争を始めた日本帝国、その軍隊、そんな歴史への想像力を巡らすならば、この問題の本質が分かるはずだ。安倍首相のそんな「美事な鈍感力」では、「美しい国」のトップをとてもまかすわけにはいかない。