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2014/09/19

朝日のスクープで国会の雰囲気一変? (92年)

国は関与を否定していたわけではなかったが

朝鮮人女性が国家総動員法に基づき「強制連行(徴用)」されたのではないかという社会党の本岡昭次議員の質問から始まった国会での一連のやり取りだったが、1992年になると議論が一変する。何があったのか。この年の1月、朝日新聞が「関与の証拠」が発見されたと報じて大混乱になっていた。二ヶ月後の清水澄子議員の質問は、「国の関与」をテーマに始まる。今度は外務省、防衛庁、警察、文部省などが労働省(総動員法業務を担当)に加わり答弁に立つ。議論は強制連行の有無から完全に国の各機関が慰安婦とどう関わっていたかに移っているが、それでも清水の頭には依然として慰安婦の強制連行(徴用)という先入観があるようで、「朝鮮での強制的に徴募」とか「なぜ朝鮮の女性が選ばれたのか」、その「法的根拠」明らかにするよう政府に迫っている。彼女が有名な詐話師吉田清治を参考人として国会に呼ぼうとしたことも分かる。清水が、朝鮮での募集の際に軍と警察が動員されたと言っているのは、吉田の本(私の戦争犯罪)や証言がネタ元と思われる。

私はきょう、朝鮮女性を強制的に駆り出す役割を果たした元山口県労務報国会動員部長だった方を、こちらでその実態をお聞きしたいと思って参考人として要請しましたけれども、それが実現しなかったことは非常に残念です。

国側は、軍が何らかの形で関与していたらしいとは認めるものの(これまでも、国は軍の関与は否定していなかった)、「従軍という名のもとで強制的に連れていかれたのか」については「実態よくわかりません」と答える。俗に言う「強制連行」を裏付ける確たる証拠がないからだ。そんな政府を、清水は吉田清治が「非常に具体的な体験を持っているっしゃる」と政府の調査が不十分だと批判している。今から考えてショッキングなのは、加藤紘一官房長官が事実関係がよく分かっていないにも関わらず「我々は、この間総理の訪韓によって謝罪の気持ちをあらわした」と告白している点だろうか。

まず、事実関係を誠心誠意調べていかなければならないと思っております。・・・我々は、この間総理の訪韓によって謝罪の気持ちをあらわしたわけでございますし、また当時の方々の筆舌に尽くしがたい辛苦というものを考えれば何らかの措置というものを考えられないか、そういう骨組みで考えていきたいと思っております。(加藤紘一

渡辺美智雄外相も、政治問題化している以上何らかの謝罪が必要という認識を示している。結果論だが、こういった甘さが命取りになった。

従軍という名のもとで強制的に連れていかれたのかどうか実態はよくわかりませんが・・・政治問題になっていることは事実ですから・・・実態をまずきちっとつかんだ上で・・・何かおわびのしるしというか、そういうことは何か考えなければなるまい

慰安婦問題が外交問題化すると「警告」したり「心配しております」などと清水が言うのを、今となっては苦々しい思いで読む人も多いのではないか。彼女が日本人慰安婦の存在にも触れながら、朝鮮人慰安婦だけを問題にしているのは、やはり「強制連行の有無」と見ていいだろう。

日本人の女性を慰安婦にしたことにも私は非常に大きな問題があると思っております。しかし、朝鮮の女性たちにはさらに植民地支配という、そういうやはり民族的な支配と差別があった

かなり長いやり取りを思い切って省略した。日本政府の補償に対する考え方、訴訟に対する考えなど色々な情報が含まれているが、ブログの性質上ここはあえて内容を絞ることにした。



○清水澄子君 私は、昨年(注:一昨年の間違いか)十二月の本予算委員会におきまして、従軍慰安婦問題について質問いたしました。その際に、政府がこの問題に誠実に対応しなければ、必ず日韓、日朝間の外交問題に発展するということを警告しておきました

その後、いろんな発展があったわけですけれども、現在、政府は調査をされておると思いますけれども、その進展状況と、今後の見通しについてお聞かせください。

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは今、軍がある程度関与したということですね。はっきりしてきておりますが、どの程度のものであるか、地区によってもかなり違うような気がする。それに、従軍慰安婦になられた方々の中にも、千差万別のような状況があって、実態がわかっていない。したがって、今実態上では各省庁、できるだけの実態的な把握に一生懸命努めているというところであります。

○清水澄子君 六省庁ですから、じゃ一つずつおっしゃってください、どういう段階で何が出てきたかということを。

○政府委員(谷野作太郎君) それではまず、外務省の方からお答え申し上げます。

このいわゆる従軍慰安婦の問題につきましては、昨年末、内閣官房の調整のもとに、関係省庁におきまして事実関係を調査せよというお達しかございました。そこで、私ども外務省といたしましても、保管中の文書について、ただいま誠心誠意、大臣から申し上げましたように、調査を実施しておるところでございます。

何分、膨大な調査でございますので、いま少しお時間をいただきたいと思います。調査の結果が判明次第、内閣官房に御報告申し上げたいと存じます。

○政府委員(村田直昭君) お答えさせていただきます。

防衛庁におきましても、昨年末、内閣官房の方からの調査依頼に基づきまして、防衛研究所を初め陸上、海上、航空の各自衛隊あるいは防衛大学校等の各機関等において、関係資料の有無について鋭意調査をしているところでございます。

なお、これまでに新聞等で報道されたものを含めまして六十九件の資料が発見されておりまして、これらの資料につきましては、内閣官房の方に直ちに送付しておるという状況でございます。

○政府委員(多田宏君) 私どもの方も膨大な資料を念には念を入れて今さらに点検をいたしておりますので、まとまり次第、また内閣官房の方に提出したいと思っております。

○政府委員(井上幸彦君) お答えいたします。

私どもの方でも、昨年末に内閣の方針を受けまして、警察庁はもとより全国都道府県警察に対しまして、関連の資料があるやなしやの調査を現在行っているところであります。現在のところ、これはという情報には接到していないところでありますが、なお念を入れて調査を続けているところでございます。

○政府委員(野崎弘君) お答え申し上げます。

文部省におきましては、全国の公立図書館、国公立、私立大学の附属図書館に調査を依頼いたしました。現在も継続中でございますけれども、現在のところ、公立図書館関係で、沖縄県教育委員会から、同県の浦添市立図書館所蔵資料の中に当時の資料が転載されている旨の報告がございます。この件につきましては、内閣官房外政審議室の方に報告をしているところでございます。

以上でございます。

○政府委員(佐藤勝美君) 労働省の状況でございますが、現在までのところ、省内関係部局及び関係機関におきまして所管する倉庫、書庫等を調査いたしましたが、朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦に関します公的資料は発見されておりません。

当時の事情に詳しい行政関係者からもヒアリングを行いましたけれども、当該行政機関それから関係機関は、朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦については関与しなかったということを聞いておるところでございます。

[...]

○清水澄子君 次に、名簿についてですけれども、あの資料を見まして、あれほど明確に各部隊の支隊まで、末端にまで何人と名前も全部名簿がございます。そういうことになれば、非常に名簿というのがはっきりしていたのではないかと思うわけですが、朝鮮での強制的に徴募した際の名簿というものは残っているのでしょうか。

そしてもう一つは、慰安所の設置場所で憲兵隊がきちんと名簿を作成しているという報告が出てまいります。それは、性病を予防し管理するために非常に厳重な管理をしているために逆に名簿は明らかであったと思いますけれども、その点いかがですか。

○政府委員(村田直昭君) その全体の名簿がどのように管理されておったかということは、私どもが持っている防衛研究所の資料だけではわからないわけでございまして、それについてはさらにいろいろな方法で調べるということが必要じゃなかろうかと思いますけれども、私どもああいう報告書というか、昔の旧公文書等だけでなかなかわからないのではないか、事実私は承知しておりません。

[...]

○清水澄子君 [...]いろんな記録によりますと、慰安婦の大半は朝鮮の若い女性たちですけれども、なぜ朝鮮の女性が選ばれたのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。

○政府委員(有馬龍夫君) 構成の比率等は正確にわかっておりません

○清水澄子君 それでは、どこの国の女性が資料の中から出てきたか、国別に御報告ください。

○政府委員(村田直昭君) 資料に基づいて、この資料からそういうのが出てきたものとしましては、朝鮮の方、それから台湾の方、それから半島の方と書いてあるのもあるんですが、等でございます。

○清水澄子君 またごまかされます中国ともありましたし、フィリピンというのもあります。いろいろあるわけです。ですから、そういうお尋ねをしたときにはあくまでも資料に忠実にお答えいただきたいと思います。

次に、朝鮮で若い女性たちを強制的に集めた、その場合の募集方法というのを明らかにしてください。そして、そのときに日本軍、警察が多数動員されておりますけれども、それらを動員するための法的根拠は何であったのかお聞かせください。

○政府委員(有馬龍夫君) 募集の実態についての資料は見つかっておりません。それから、法的な根拠というものもわかっておりません。

○清水澄子君 私はきょう、朝鮮女性を強制的に駆り出す役割を果たした元山口県労務報国会動員部長だった方を、こちらでその実態をお聞きしたいと思って参考人として要請しましたけれども、それが実現しなかったことは非常に残念です。

私たちはみずからの過去の歴史というものについて、みんなが本当に謙虚に事実を認識するということが大事だと思うわけですが、これまで質問した中では、本当にこれが実態調査、鋭意調査をしているという中身であろうか。全体像はおぼろげにわかりましたけれども、今までの資料の中でも、私たち素人がやってももっと正確なある程度の全体像が出てまいります。そういうものを今後も徹底して調査をしていただきたい、これでは調査だと言えないと私は思うわけです。

そこで、私は官房長官にお尋ねしますけれども、今お答えいただきました事実から、従軍慰安婦というのはやはりかつてのいわゆる帝国政府及び軍当局が戦争を遂行するための手段として、日本軍の軍人、兵士に性的慰安、これは旧軍隊が使っている言葉ですけれども、そういう性的慰安を与えるために朝鮮の女性を駆り出したものと見られますが、政府はこの事実をお認めになりますね

○国務大臣(加藤紘一君) 政府が集めました資料につきましては、それが明確になったものから今先生のお手元にあるように公表いたしたりしておるわけでございますけれども、累次御答弁申し上げておりますように、いわゆる朝鮮半島出身の慰安婦の問題につきましては、かつての日本軍が何らかの形で関与していたということは確かなことのように思います。したがいまして、その旨政府としても従来からお答えいたしておりますし、またそういう認識を今も持っております。

[...]

○清水澄子君 外務大臣、私どもはいろいろ新聞等でお見受けしているわけですけれども、衆議院の方でもこの問題が論議されて、非常に前向きな発言をされていらっしゃるわけですけれども、補償の必要性は考えていらっしゃるでしょうか。そのしかるべき措置というのはどういう方法で、何らかの誠意を示さなきゃならないという点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、この問題は法律論争を幾らやっておっても、これはもう平行線である、補償問題はこれは請求権は放棄、これは両国政府は取り合わない、したがって国際法上は決着済み、これが政府の基本的立場だろうと思います。

しかしながら、現実の政治問題として、そういうような慰安婦問題というのが新しく出てきて、それで非常な悲惨なことではあるが、戦争というものは常にそういうものがつきもので、殺された人もあれば、まことに残念なことだが、片手をとられたとか傷ついた人とかいろいろある。しかしながら、そういう方々には、軍人軍属の場合は相手国政府が何らかの措置をとってありますと。たまたま同じ従軍という名のもとで強制的に連れていかれたのかどうか実態よくわかりませんが、軍が関与をして、そういうような今いろいろお話があったようないきさつの中で慰安所というものがあった、従軍をしてきた人もいた。これもいろいろ本当に何といいますか、先ほど日本の吉原がどうとかこうとかという読み上げた中にもありましたが、当時は売春防止法もありませんから、そういうようなところから連れていかれた方とそうでない方があるいはあるのかもしらぬ。それらは実態を見なければよくわからないんです、実際のところが。

しかし、これは何か解決をしたければ、政治問題になっていることは事実ですから、事実は事実、しかし個々にやるといってもこれもまた非常に難しい問題だと私は思います。人を特定するということが非常に困難。じゃ三人とか五人とかという訴え出た人はそれはわかるかもしらぬけれども、それ以外の人は、訴えたい人はわからないからいいということにはなかなかこれはもう難しい問題だなと。だから何とか実態をまずきちっとつかんだ上で、何か慰安といいますか慰霊といいますか、何かおわびのしるしというか、そういうことは何か考えなければなるまい(ママ)という感じですかねという話を衆議院でしたんです。

[...]

○清水澄子君 [...]これまでの調査の仕方は非常に不十分だと思います。

それから、旧朝鮮総督府関係の資料とか旧内務省関係の資料、憲兵隊関係の資料などがまだ調査をされておりません。

そしてまた、きょう参考人としてお願いをした元山口県労務報国会動員部長の吉田清治さんなどは、本当に非常に具体的な体験を持っていらっしゃるわけです。それからまた、今名のり出ている元従軍慰安婦の方々からの事実関係というのは参考になります。その方々の話を聞きますと、まるで私どもは慰安婦という仕事だけかなと思っていましたけれども、お伺いしますと看護婦の仕事もさせられた、しかも赤十字の帽子をつけて、それをかぶらされて一カ月間いろんな訓練を受けて看護婦もやらされたという報告も聞いております。ですから、そういう実際に体験した方から事実関係のヒアリングを私は積極的に行っていく、そういう姿勢がなければ本当の実態は解明できないと思うわけです。

ですから、ぜひ今後の調査の中で、この従軍慰安婦や強制運(ママ)に関する政府所管資料をもっと全面的に調査され、体験者からもお話を聞かれて、そしてその資料を全面的に私は公開をしていただきたいと思いますし、またこの事実関係を徹底的に明らかにしていく、そういう真剣な取り組みに努力した上で、私は被害者の心に届くような謝罪とそして補償、救済措置を講じてほしいと思いますけれども、官房長官はその責任者ですが、その御決意いかがでございますか。

○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど外務大臣から御答弁いただいたとおりでございます。

まず、事実関係を誠心誠意調べていかなければならないと思っております。そしてまた法的措置の問題、補償の問題は、総理大臣が申されましたように、これは法的には決着済みですが、しかしそれは訴権を害するものではありませんから、それの訴訟の成り行きを見ていかなければならない。しかし同時に我々は、この間総理の訪韓によって謝罪の気持ちをあらわしたわけでございますし、また当時の方々の筆舌に尽くしがたい辛苦というものを考えれば何らかの措置というものを考えられないか、そういう骨組みで考えていきたいと思っております。そのためにも当時の事情がどうであったのか、そしてそれにかわる何らかの措置というものをどう考えていったらいいのか、それについて真剣に検討していきたいと思っております。

[...]

次に、今ジュネーブで開かれております国連人権委員会で、NGOの国際教育開発協会の代表の方が、二月十七日にこの慰安婦問題を取り上げておりますし、それから二月二十五日には、韓国の女性団体が国連人権委員会にこの問題について申し立てをしております。また、今韓国内での従軍慰安婦の申告されている数が三月二日現在で百九十四人申告をされております。元慰安婦という方は六十八人、勤労挺身隊という方が八十六人、行方不明が四十人という、これは三月二日の数字ですけれども、こういうふうにまだ韓国の中でだんだん広がりが出てまいります

そこに加えて、今度台湾からやはり私は女性団体の訪問を受けたわけですが、そしてここに慰安婦の「慰」を入れ墨されたという女性にも会っているわけですけれども、そういう台湾、フィリピンの女性団体も今共同して国連人権委員会に提起をするという動きが出ているわけでございます。今や従軍慰安婦問題というのは、韓国、朝鮮との外交問題だけではなくなりつつある。世界は今、日本がさきの戦争で犯した、そしていまだに償おうとしない戦争と植民地支配の被害者、特に慰安婦にされた女性への深刻な生命と人権の侵害に対してみんなが注目をしております。

総理は、国際的な女性の人権問題に発展をしてきた従軍慰安婦問題をどう見ておられるのか、先ほどのお考えで私は国際的に通用しなくなるんじゃないか、このことを心配しておりますけれども、どうぞ御見解をお述べいただきたいと思います。

[..]

○清水澄子君 時間がなくて論争できませんけれども、日本人の女性を慰安婦にしたことにも私は非常に大きな問題があると思っております。しかし、朝鮮の女性たちにはさらに植民地支配という、そういうやはり民族的な支配と差別があったという、この問題は私たちはやっぱり反省しなきゃいけないと思うわけですね。それが、何か戦争一般論でこのお話をしていらっしゃるところに、私は、この問題の深刻な取り組みなり事態の受けとめ方がやっぱり弱いんじゃないかと非常に心配をしております。

[...]

2014/09/05

挺対協の前で日本政府を嘘吐きと呼んだ社会党(91年)日韓関係崩壊へ

慰安婦は国家総動員法で徴用されたと清水

さて、清水澄子議員二度目の登場。この時は、前年の11月に旗揚げした韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の会長(ユン・ジョンオクか?)が来日して見守る中での国会質疑であった。ユン・ジョンオクらは、やはり前年の10月、海部総理宛の公開書簡の中で、90年6月6日の政府答弁を問題視、

清水傳雄氏は、「徴用の対象業務は国家総動員法に基づく総動員業務であり[...]従軍慰安婦の業務とは関係ない」[...]と述べております。[...]”天皇”直属の日本軍の要請で慰安婦用に「朝鮮人女子挺身隊」の動員を命ぜられ、済州島や下関の朝鮮人女性を徴用したという元労務報国会の動員責任者(吉田清治)の証言もあります。[...]また、上の証言や元慰安婦の話によれば[...]このような強制連行総動員業務として記されていなかったとすれば、それこそ日本軍がこの蛮行を隠蔽しようとした証拠ではないでしょうか。

海部俊樹総理宛の公開書簡 1990.10.17
と批判。「日本政府は朝鮮人女性たちを従軍慰安婦として強制連行した事実を認めること」などとする6つの要求を日本政府に突きつけていた(挺対協が設立される一月前)。

清水澄子は、前回(1990.12.18)の質疑で何度説明されても理解出来ず、「同じことをお答えして恐縮なんですけれども(国民勤労動員署関係は関与していなかった)」と答弁者をウンザリさせていたが、今回も出だしから「政府は、今でも、従軍慰安婦問題に国は関与していないという認識でいらっしゃいますか」と再び無限ループを開始(わざとやっていた可能性もある)。公開書簡に見えるように、ユン・ジョンオクらの方がまだ政府の説明を正確に理解していた。答弁者は辛抱強く清水に同じ説明を繰り返してやったが、今回も右の耳から左の耳へ抜けたようで、政府が「傲慢でうそつきだ」と逆ギレしている。「と申しますのは、国家総動員法に基づいて挺身隊(清水は慰安婦が挺身隊という名目で動員されたと信じている)というのは徴用を受けたわけです」、と清水。

それにしても、本文ではカットしたが、質疑の中で当時外務大臣であった中山太郎が韓国の外務省の次官の「今日ほど日韓関係が円満にいっていることはない」という言葉を紹介している。

来日中の韓国の外務次官と約四十分間会談をいたしましたが、政府間の関係は、韓国の外務省の次官のな(ママ)言葉をかりれば、今日ほど日韓関係が円満にいっていることはないという御意見でございました。

それが四半世紀経った現在、円満だった日韓関係は落ちる所まで落ちた。慰安婦問題だけが原因ではないが、教科書問題でも靖国問題でも、構図は慰安婦騒動と変わらなかった。「良心的」な日本人が韓国の反日勢力を焚きつけることを繰り返した結果が現在の状況だろう。つまり、清水らの社会党(や朝日新聞)的なものが、二十年で日韓関係を破壊したのである(それを彼らは、安倍総理のせいにしている)。



○清水澄子君 意見がありますが、ちょっと先へ行きます。

きょうは、韓国の挺身隊問題対策協議会の会長もそちらに来て傍聴をしております。この会は、昨年の六月、この予算委員会におきまして(の)、政府答弁が非常に納得できないということで三十五万人の韓国の女性たちの怒りの中で組織された会であります。

そして、私は今ここで御質問したいんですが、総理にお伺いします。政府は、今でも、従軍慰安婦問題に国は関与していないという認識でいらっしゃいますか。――いや、総理にお伺いいたします。

○政府委員(若林之矩君) ただいまの御質問は、通常国会におきます私の答弁との関係での御質問だと存じます。

私ども、従軍慰安婦の問題につきましては、労働本省でいろいろ調査をいたしましたけれども、資料等がございませんでした。さらに、当時の勤労局あるいは勤労動員署で働いていた人につきましてもいろいろと聞いてみましたけれども、こういった方々の話でございますと、全く従軍慰安婦問題というものにはこれらの機関は関与していなかったということでございまして、私ども、そういうことになりますと、全くこの状況を把握する手だてがないということでございまして、政府が関与していたか否かを含めて状況を把握できないということでございます。

○清水澄子君 まことに論弁というよりも、日本政府というのがこれほど傲慢でうそつきだということに今本当に私も心から怒りを覚えております。

と申しますのは、国家総動員法に基づいて挺身隊というのは徴用を受けたわけです。それと、今これだけ情報を持っている社会、前の体制と違うことは事実です。しかし、それは本当に誠意があれば調べる方法はいっぱいあります。私は今、時間がなくて持ってきませんでしたけれども、たくさんの手紙が来ています。自分は元軍人でこうしたという、本当にたくさんの資料を持ち出されて、日本政府がこういう答弁をしていることに自分たちも責任を感ずる、我慢できないという、そういう多くの日本の生存する実行行為者の皆さんからの資料さえ集まっているわけです。ですから、政府が本当にこれを集める気があればできると思います。

最近、ソウルで元慰安婦の方が、今おっしゃったような答弁にもう我慢ができないということで名のり出られました。そして今、秋にやはり法廷に出て日本の蛮行を証言したいと言っているわけです。そしてまた、韓国の女性団体からもこの問題を韓国の国会で取り上げるよう要求が始まりまして、秋の国会の議題になるということを聞いているわけです。

総理、日本政府の皆さん方の発言によって日韓の間の民間の友好ですら壊されていく、このことについて、これは大きな政治問題になる、外交問題になると思いますが、これは総理はどのように解決をされようとなさいますか、お答えいただきます。

○国務大臣(海部俊樹君) 日韓の問題につきましては、私自身も二度にわたる首脳会談で歴史の反省の上に立った認識を述べるとともに、未来志向型の日韓関係を築かなければならないということを盧泰愚大統領とも確認をし、また国会をお訪ねして与野党の指導者の皆さんともその問題については率直に話をしてきたところでありまして、厳しい反省に立った対応というものと、もう一つ、昨年五月二十五日の外相会談の際に、いわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿入手についての協力要請があったことは、これは労働省を中心に名簿調査を行っておるところでありますし、その結果、これまで九万人分の名簿を確認し、そのうち韓国政府への提出について保有者の了解が得られたものの写しを、本年三月五日、外務省が韓国側に提出したどころでありますが、政府は、こうした名簿の調査に専念したいと考えており、今後とも引き続いて労働省を中心として関係省庁が協力して誠意を持って対応してまいる所存でありますので、御理解をいただきたいと思います。

また、冒頭にお尋ねありました朝鮮人従軍慰安婦の問題については、先ほど関係省庁で調査の結果を申し上げたとおりでありまして、全く状況がつかめない状況であるということでありますので、私もそのような報告を受け、今後とも努力をあらゆる面で考えていかなければならぬと思いますが、実情についてはでき得る限りの調査をさかのぼってしてきたということでございます。御理解をいただきたいと思います。

○清水澄子君 納得できません。

アメリカやカナダは、日系人強制収容者の人権を回復するために四十年目からでも事実を調査する機関をつくって、そしてその実態を調査し、補償いたしました。私は、こうしたアメリカの民主主義を日本は見習うべきだと思います。

ですから、日本でもぜひそういう調査委員会を設置していただきたい、そして今、御理解くださいじゃなくて、徹底して調査をするということをお約束いただきたいと思います。総理、御答弁お願いします。

○国務大臣(海部俊樹君) 今申し上げましたように、既に関係省庁で協力をしながら、引き続き調査を続けてまいります。

○清水澄子君 改めて質問いたします。

ありがとうございました。(拍手)

○前畑幸子君 改めて調査するのではなく、日本に最も近い韓国、朝鮮のことを一番最初に考えて政治というものに取り組んでいただきたいと思います。


2014/08/25

軍は関与していない事にしてしまった清水澄子議員 (1990年)

後に日本政府が国(軍)の関与を否定したと世界中に中傷して回られるネタ元になった6月6日(1990年)の政府答弁、本岡昭次議員の質疑を引き継いだのは、同僚の清水澄子であった。軍の関与を否定したと彼女らは言うが、議事録を読み返せば、社会党の議員たちが説明をまともに聞かず、政府の答弁を強引に曲げていく様子が分かる。清水澄子も、故意か頭が悪いのか、まるで話が噛み合わない。朝日新聞だけではない。社会党の議員たちも慰安婦問題を混乱させた主犯である。1990年12月18日の参議院外務委員会での質疑から。

清水澄子は議員引退後も相変わらず

前回、本岡議員の質問に対し政府は
総動員法に基づく業務としてはそういうこと(慰安婦の徴用)は行っていなかった」「民間の業者がそうした方々(慰安婦)を軍とともに連れて歩いているとか、そういうふうな状況のようでございまして・・・(労働省)として調査して結果を出すことは、率直に申しましてできかねる」
と答えていた。したがって、「従軍慰安婦は軍、国家と関係なく民間の業者が勝手に連れてきたものというふうな趣旨の回答をなされておりますけれども」という清水は、出だしからズレているのだが、この後さらに頓珍漢を繰り返す。

「厚生省関係ではやっていなかった」→「そういうことは聞いていません・・・国と軍は関係していなかったのか、いたのかということだけです」→「厚生省関係は関与していなかった、それ以上はちょっと調べられなかったということでございます」→「前の答弁がそのまま政府の見解として残っていると受けとめてよろしいですね」

違うだろ!

「国家も軍も関与していなかったという、それをそのままお認めになるわけですね」→「何度も同じことをお答えして恐縮なんですけれども、・・・厚生省関係それから国民勤労動員署関係は関与していなかった」

「何度も同じことをお答えして恐縮なんですけれども」・・・答える方も、内心呆れたろう。

清水澄子は2007年にこの時の事を振り返って、「一九九○年から、当時参議院議員だった私は『従軍慰安婦』問題で政府を追及してきました。しかし、政府の態度は『解決済み』、『資料が見当たらない』という不誠実なものでした」と書いている。自分の頓珍漢は棚に上げて。



○清水澄子君 [...]六月六日の参議院の予算委員会で同僚議員の本岡議員が朝鮮人の強制連行の調査に関連しまして従軍慰安婦の問題をただしたのに対しまして、労働省清水職業安定局長が政府答弁として、従軍慰安婦は軍、国家と関係なく民間の業者が勝手に連れてきたものというふうな趣旨の回答をなされておりますけれども、これは大臣お答えください。政府の認識にこのことは変わりありませんか。私はそこだけ確認させていただきたいわけです。

○説明員(戸刈利和君) お答え申し上げます。朝鮮人の従軍慰安婦問題につきましてですが、これにつきましてその後労働省でも調査をいたしてみたわけでございますけれども、実は労働省関係では資料が残されておりませんでした。それから、当時厚生省の勤労局でありますとか国民勤労動員署でありますとか、そういったところに勤務しておられた方から事情を伺ったわけでございますけれども、これも当時そういった役所関係では朝鮮人の方の従軍慰安婦については関与していなかったというふうなことでございまして、労働省として朝鮮人の方の従軍慰安婦についての経緯等全く状況がつかめなかったということでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、厚生省関係ではやっていなかったということは……

○清水澄子君 

そういうことは聞いていません。私の質問にだけ答えてください。国と軍は関係していなかったのか、いたのかということだけです。いなかったというお答えでしたから、それをもう一度確認しておきたいんです。

○説明員(戸刈利和君) 

少なくとも私ども調べた範囲では、先ほど申し上げましたように、厚生省関係は関与していなかった、それ以上はちょっと調べられなかったということでございます。調べたけれどもわからなかったということでございます。

○清水澄子君 

それでは、前の答弁がそのまま政府の見解として残っていると受けとめてよろしいですね。大臣、よろしいですか、そういうふうにそのまま残っていると。

○国務大臣(中山太郎君) 

政府といたしましては、労働省の国会での答弁を尊重したいと思います。

○清水澄子君 

では、従軍慰安婦という、強制連行の中で女子挺身隊として強制連行された朝鮮の女性たちの問題は国家も軍も関与していなかったという、それをそのままお認めになるわけですね

○説明員(戸刈利和君) 

それにつきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、当時私どもの局長がお答え申し上げた後の状況でございまして、何度も同じことをお答えして恐縮なんですけれども、私どもはそこまで調べ切れなかった、少なくとも厚生省関係それから国民勤労動員署関係は関与していなかったと。それ以上のことになりますとちょっと確認のしようもなかったということで、調査ができなかったということです。

[...]

○清水澄子君 

[...]二つ目ですけれども、もう御存じのように、軍人軍属あるいは強制連行されたまま生死の確認ができないという遺族や家族の皆さん方が、戸籍上死亡通告がないためにそのまま戸籍に残されたままで生死がわからないんだと、そのことをぜひ確認をしたいというふうなことで先日も太平洋戦争犠牲者遺族会の皆さんがおいでになりまして、そしてやはりこれも各省、労働省にも行ったと思いますけれども、労働省が持っている強制連行者名簿を遺族会にも公開してください、照会をしたいのだ、それから会員の生死を確認をさせてください、そしてまたそういう強制連行者の家族が調査を求めたときにはどこか政府の中で受け付けの窓口をつくってください、こういう要請が来ていると思うわけですけれども、これらについてどのように今後対処なさいますか。これはどこの責任でなさいますか。

2013/05/31

「従軍慰安婦を否定する安倍首相」 清水澄子(2007年)

「従軍慰安婦」を否定する安倍首相

元参議院議員  清水 澄子

国会で「従軍慰安婦」問題追及

「従軍慰安婦」について「狭義の意味で強制を証明する事実はなかった」という安倍首相の発言は、一九九三年の「河野談話」(資料参照)を真っ向から否定するものです。

戦後五十年を目前にした一九九○年から、当時参議院議員だった私は「従軍慰安婦」問題で政府を追及してきました。しかし、政府の態度は「解決済み」、「資料が見当たらない」という不誠実なものでした。

「政府は『解決済み』と言うが、それは国家間で約束したことで、これは個人の人権回復の要求だ。個人の人権回復の請求権を消滅させた国家があるのか」と追及したら、政府は「それはない」と答えざるを得ませんでした。一九九一年に、金学順(キム・ハクスン)さんが「従軍慰安婦」だったことを公表し、日本国を相手に提訴しました。日本政府は「個人の人権回復を国家に請求する権利はいかなる理由があろうと消滅させることはできない」ことを認めざるを得ませんでした。

政府は「朝鮮に関する資料がない」と答弁しましたが、敗戦直後、軍から二週間以内に都合の悪い役所の資料は焼却せよ、という指令が出されていました。この指令で他の必要な資料まで燃やしてしまったと、岩波から出ている本に書かれています。戦後調査したものも焼却していたようです。私は「徹底して真相解明すべきだ」と要求しました。

そうした追及をしている時に、中央大学の吉見義明教授が防衛庁研究所図書館で「従軍慰安婦」に関する軍の資料を発見し、九二年に発表しました。「南支派遣軍ノ慰安所設置ノ為」「醜業ヲ目的トスル婦女約四百名」を送れなどとあります。陸軍省が中支派遣軍参謀長に出した通牒には、軍の威信を傷つけないように、「募集ニ当リテハ、派遣軍ニ於テ統制シ、之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ、其ノ実施ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニ」せよと書かれています。私はこの資料で事実を政府に確認しました。

「強制とは何か」という質問に対して、政府は「単に物理的に強制を加えることのみならず、脅してといいますか畏怖させて、本人の自由な意思に反してある種の行為をさせた、そういう場合も広く含むというふうに私どもは考えています」(一九九三年三月二三日参議院予算委員会)と答弁しました。つまり、だましたり脅したりして本人の意思に反して慰安婦にした場合も、強制だとはっきり答弁しています。

私はさらに、どんな経過、どんな方法で連れていかれたのか、「慰安婦」にされた本人たちからの聞き取り調査を要求し、政府に実行させました。この時、A級戦犯で絞首刑になった板垣征四郎の息子である板垣正議員らが「いまさら、恥をさらして何になる」と、ものすごい野次を飛ばしていました。
この問題で政府を徹底して追及してきた一人として、こうした事実をくつがえそうとしている安倍首相の言動は絶対許せない思いです。

市民運動と世論が政府を動かす

一九九〇年代から、市民運動の側でもアジア各国からの戦争被害者を招き、証言してもらう取り組みがさかんに行われ、「従軍慰安婦」問題など戦後補償の問題が国民の中に広まりました。これに火をつけたのは国会の活動だったと思います。戦後五十年をひかえ、遅くなったけれども過去の歴史を見直し、反省しなければならないという認識で、当時の社会党が頑張ったのです。

韓国の被害者たち、フィリピンや台湾などアジア各地の被害者も立ち上がり、女性を中心にして国際的な世論にもなりました。国会と市民の運動と大きな世論が、政府を動かしました。「従軍慰安婦」問題では、不充分にしても政府が軍の関与を認めて謝罪しました。それが九三年八月の「河野談話」です。そこで「われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい」と述べています。だから、私たちは次の世代に引き継いでいくために、教科書に掲載するよう要求しました。宮沢首相も「教科書に載せていく」と答弁し、「従軍慰安婦」問題が教科書に掲載されるようになりました。

その後、女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)ができました。この基金については批判もありました。国が三百万円、民間が二百万円出し、アジア女性基金を通じて申請のあった元「慰安婦」の方に償い金を渡したのですが、政府の責任において謝罪し、補償するという形をとらなかったからです。政府は他の戦後補償に波及することを恐れたのです。韓国では受け取りを拒否する運動が起こりました。しかし、被害者は戦後も大変な苦労をしてきたわけですから、せめて生きているうちに償い金をもらって、自分の身内に少しでも配りたいという人もいました。私たちは首相の謝罪文をつけるよう要求し、償い金と首相の謝罪文が渡されることになりました。

「従軍慰安婦」は、国際的には「日本軍性奴隷」という表現が使われています。とくに奴隷制度のあったアメリカでは、奴隷ということについてものすごく敏感なのです。国連人権委員会でも「日本軍による性奴隷」という表現になっています。「河野談話」を発表するとき、軍の命令があったのだから「性奴隷」という表現を使うべきだと主張しましたが、「日本で奴隷という言葉はなじまない」と拒否されました。強制についても結果的には「本人たちの意思に反して」とか「軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」という表現になりました。

歴史的事実の否定

「河野談話」は自民党の右翼的な人たちには我慢できないことでした。彼らは「河野談話」の数日後に、「自民党歴史・検討委員会」をつくって動き始めました。九三年七月に初当選したばかりの安倍議員は、すぐこれに参加しました。「大東亜戦争」は侵略戦争ではなかった、南京大虐殺や「従軍慰安婦」は事実ではなかった、というのが歴史・検討委員会の総括でした。

教科書に「従軍慰安婦」問題が載るようになり、九七年に「新しい歴史教科書をつくる会」が発足すると、安倍議員はこれを支援する「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を結成し、事務局長に就任しました。「若手議員の会」は、「確たる根拠もなく『強制性』を先方に求められるままに認めた」と「河野談話」を非難し、河野元官房長官を呼びつけて撤回を迫りました。安倍首相はこうした動きの中心人物でした。

「狭義の強制性はなかった」という問題の立て方そのものが、「従軍慰安婦」の存在を否定しようという安倍首相の本音を表しています。狭義だろうと広義だろうと、何十万という人たちの人権を侵害したことに変わりはありません。これは性犯罪、戦争犯罪、人道に対する罪です。

世界各地で批判の世論が盛り上がりました。ようやく外交関係を回復した韓国や中国でも大きな問題になっています。特にアメリカの反応は、安倍首相にとっては意外だったのでしょう。訪米前でもあり、「河野談話」を継承すると言いました。しかし、強制を否定した発言を撤回せず口をつぐんだだけで、本音は何も変わっていません。

日本は「従軍慰安婦」だけでなく、たくさんの朝鮮人を強制連行して強制労働をさせましたが、政府は認めていません。徴用した軍人・軍属の遺骨問題もずさんなままで、遺族に生死すら伝えていません。強制連行した労働者の遺骨問題は放置したままです。

安倍首相は北朝鮮の拉致問題だけが人権問題のようです。「従軍慰安婦」問題など過去の人権問題を認めていません。現に起こっている被差別部落問題など日本人に対する差別・人権問題、また在日の人たちに対する差別・人権問題については何もしません。人権条約の大事なところは批准を保留したままです。国際社会に向かって人権外交だと威張るのは矛盾しています。

みんなが立ち上がらなくては

「従軍慰安婦」の存在を否定することは、あの戦争は間違っていなかったと、過去の侵略戦争や植民地支配を正当化することです。安倍首相に、過去の歴史を本当に反省して新しいアジアの友好的な関係を作ろうという意思のないことは、見え見えです。これらはみな、憲法を改悪すること、日本を軍事大国にすることにつながっていると思います。

アメリカやよその国に批判されて、安倍首相はやむを得ず修正のふりをしていますが、これでは何も解決しません。日本の中でもっと大きな運動を起こすときです。その場合、意見の違いはいろいろあっても、「河野談話」の誠実な実行を求めて、みんなで力をあわせなければ状況を変えることはできません。国会の中でもワーワー騒いで追及するべきです。日本の将来のために、日本の良心的な部分の姿勢が見えるようにするべきだと思います。


2013/03/01

慰安婦騒動を煽った政治家--清水澄子


現在の日韓両国に祟り神のように取りついている河野談話。当時の外交当局者らの善意は信じたいが、当時からあの内容では後で必ず災いの元になると警告していた人もいた。にも関わらず、ああいう形の談話が出来上がったのには、幾つか要因があったのだろう。最大の原因は河野洋平という「まっすぐ君」の存在だが、横から煽った人もいた。社会党の議員たちである。彼女たちは、意図的であっただけに河野洋平より悪質であった。

「外交的問題になると警告」する裏で、清水澄子議員はせっせと慰安婦問題を炎上させていたのである。この21年後、彼女の後輩である福島瑞穂も、政府がちゃんと対応しないと慰安婦問題はより拗れるとしたり顔で忠告したが(録音 0:45)、彼女もまた慰安婦騒動の火つけ役の一人であった。これらのマッチポンプER達が日韓関係の正常化を邪魔してきたのである。

当時社会党の議員たちは、慰安婦が戦時徴用者に含まれていたのではないかと質問し、それに対し、政府は民間業者の従業員であると答弁していたのである(Wikipedia参照)。90年代のこのインタビューでも、清水は読者をミスリードしようとしている。彼女はさらに、慰安婦の強制連行(?)が軍による組織的な行為であり、性奴隷という言葉と共にその事を河野談話に明記させようとしたが、河野洋平もそこまでは認めなかったということだろう。

対談相手は和田春樹。この人についても、いずれ取り上げなければならない。



「従軍慰安婦」問題は韓国の方から問題になったんでしょうか。それが日本の中に反響をよんできたんでしょうか。

「一番最初は90年6月の参議院予算委員会で強制連行との関連で、質問があり、厚生省が「民間業者がやったことと答弁したが、その場での追及はなく素通りしていたらしいのです。ですから「慰安婦」に関しては報道もされず、予算委員会メンバー以外は分かりませんでした。

ところが、その年の90年10月29日に沖縄の渡嘉敷島で韓国の「従軍慰安婦」の慰霊祭があり、そこに参加した「韓国協会女性連合」尹栄愛さんから私に電話が入ったのです。6月の政府答弁に抗議したい。公開書簡を総理に渡せるようにしてほしい。そして女性議員との懇談の場をつくれないか---。私は早速、女性議員懇談会と外務省の交渉をセットしましたが、これが事のはじまりになりました[...]

韓国では10月17日に8団体が声明を出していますね。6月6日 元岡議員が『朝鮮人強制連行の中に慰安婦はいなかったのか』と質問されて、これに厚生省が答えているんです。国会でご質問になったのはいつでしたか。

「90年の12月18日の外務委員会で取り上げたのが最初です。『国と軍は慰安所に関係していないという政府の認識は変わりはないか』と尋ねました。政府は『変わらない』と言い切り、『関与していなかった』と繰り返すばかりでした。

[...]私は政府の認識と対応の修正しなければ大きな政治的・外交問題になることを警告し、調査の実施と、担当する責任所在の窓口の設置を要求しました。91年にようやく調査は4省庁から6省庁に拡大し、責任行政機関は内閣外政審議室になりました。(以下略)」

(中略)

「こうして93年8月4日、政府の第二回調査報告とともに河野内閣官房長官の談話となるわけです。
その談話の文面についてずいぶん注文をつけました。例えば『軍による組織的、強制的な行為であった』と記入すべきと主張しましたが、組織的とは言えないと『旧日本軍が直接あるいは間接的に関与した』となり、強制的であったはずだと主張したことには『本人たちの意思に反して集められた』とやわらかい表現に変えてきました。
また『軍は女性を性的奴隷として人権を侵害した』と書くべきだと言うと、日本には奴隷制度はなかったから、そういう表現は馴染まないと言う。それならば『女性の名誉と尊厳を著しく侵害した』と書きなさいと要求し、公式の場で初めて女性の尊厳という言葉が使われたのです」


和田が言うように、社会党の本岡の質問は、「朝鮮人強制連行の中に慰安婦はいなかったのか」というのが主意だったにも関わらず、清水は「国と軍は慰安所に関係していないという政府の認識は変わりはないか」と相手が言ってもいない事を言い出し、話をすり替えたのである。

それに対する政府の答えは「少なくとも厚生省関係それから国民勤労動員署関係は関与していなかったと。それ以上のことになりますとちょっと確認のしようもなかった参議院外務委員会H.2.12.18」というものだった。

「(国や軍は)『関与していなかった』と繰り返すばかりでした」・・・嘘つき。