2012/02/15

強制連行という言葉が死語になりつつある?



テレビで強制連行のウソというようなタイトルの特集を見た記憶がないので、強制連行の神話の崩壊にはネットがかなり貢献したのではないかと思うのだが、真相はどうなのだろう。ところで、朝鮮学校に対する教育の無償化が在日に対する差別問題と関連があるのか否かはともかく、日本生まれである事が差別の理由になる社会もあるらしいのだが?

「高校無償化」 ハルモニたちが文科省に要請
”差別はもうたくさん”〝孫を苦しめないで〟

朝鮮学校に孫を通わせているハルモニ(祖母)の会のメンバーら8人が13日、文科省を訪れ、朝鮮学校に対し「高校無償化」制度を早急に適用することを求めた。一行は、野田佳彦首相と平野文博文科相あての要請書を提出した。

朝鮮学校に孫を送る1、2世のハルモニたちは、植民地時代に渡日し差別を受けてきた体験や、日本で生まれ日本学校に通い、祖国解放後に初めて自国の存在を知ったという悲しい経験などについて述べながら、日本当局の在日朝鮮人に対する差別政策は当時から何も変わっていないと指摘。このような非情なことが、自身の親の時代から孫の代に渡るまでまかり通っていることに、憤りを禁じえないと訴えた。

金貞花さん(千葉県在住)は、「日本政府をはじめ一部の知事たちは、在日朝鮮人たちの然るべき権利に対して、いつも『やってあげる』という言い方でものを言う。21世紀になった今もそれを通そうとする卑怯さに胸がえぐられる思いだ」と厳しく指摘した。

康敬順さん(東京都在住)は、これまでも在日朝鮮人は中・高体連やJR定期券問題、大学受験資格など民族教育と朝鮮学校生徒の権利をたたかって勝ち取ってきた。朝鮮学校の子どもたちはラグビーで全国大会に出場したり、作文コンテストで内閣総理大臣賞を受賞したりと、立派に育ち日本学校の生徒と比べても何らそん色なく普通に学校生活を送っているのに、なぜ「無償化」の対象から外されなければならないのか理解ができないと述べた。また、「みんな納税義務を等しくしっかりと果たしているのに、教育の現場で得られる権利が私たちだけ違うのか。明らかに差別だ」と訴えた。

埼玉県在住の金福連さんは、自身が日本学校に通っていた頃は毎日つらいいじめを受けていたが、わが子も幼稚園の頃、心ない友だちから暴言を浴びせられることがあった。それは大人の考えや発言が影響しているとしながら、「私たちが子どもや孫を朝鮮学校に通わせているのは、朝鮮人としての自覚を持ってほしいから。日本学校では、それはできない」と話した。

幼い頃、日本に渡ってきたという金永愛さん(東京都在住)は、植民地時代に受けた差別を70年が経った今も忘れられないと訴えながら、「日本政府には人権平等の思想が根付いていない。過去清算もできておらず、差別政策は変わっていない。しっかりと、心ある対応をすべきだ。孫たちは朝鮮人としてのアイデンティティーを持つことだけでなく、いかに日本や世界に貢献し生きていくかを朝鮮学校で学んでいる」と語った。

(姜裕香)朝鮮新報 2012.2.14

参考までに・・・

北朝鮮、日本で生まれた金正恩の生母の出生地を“すり替え”

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長には決定的な障害物が一つあった。生母・高英姫(コ・ヨンヒ)の出身地だ。「喜び組」の舞踊家として活動し、金正日(キム・ジョンイル)総書記の目に留まった高英姫は、北朝鮮で蔑視される在日同胞出身だった。

その間、北朝鮮当局は金正恩が後継者になっても生母への言及を避けてきた。しかし最近、高英姫を「平壌(ピョンヤン)の母」と呼び始めたのだ。

13日の労働新聞は2月16日の金正日の70回目の誕生日を控え、朝鮮作家同盟詩文学分科委員会の叙事詩「永遠なる先軍の太陽、金正日」を掲載した。「偉大な金正日の誕生70周年に捧げる」という説明とともに、金正日に対する称賛を込めた長文だった。

この長文では日本で生まれた高英姫が平壌出身になっていた。「今日も馴染みの野戦服を着て明るく笑っていらっしゃる(中略)」などの内容とともに「きらきら輝く星の光を踏まれながら、静かな月の光を踏まれながら、庭を散策された平壌のお母様の足音、金正恩同志の足音」という表現が使われたのだ。

「戦線にいる将軍様を待ちながら、お母様と一緒に明かした2月のその夜を私は忘れることができません」という金正恩の言葉と、「平壌の家族が受けるべき父の情と愛を私たちがみんな受けたんだ。私たち人民がみんな受けてきたんだ」などの内容も続く。北朝鮮が高英姫に堂々と「平壌の母」という呼称を使ったのは今回が初めて。

高英姫の偶像化作業は金正恩の誕生日と知られた1月8日に本格的に始まった。この日、朝鮮中央テレビが放送した金正恩の記録映画で「いつだったか、2月16日(金正日の誕生日)にも現地指導から帰らない将軍様(金正日)をお母様(高英姫)と一緒に夜通し待ったこともある」という解説者の説明が伝えられた。公式メディアを通して金正恩の生母に言及したのは初めてだったが、何気なく流れる短い説明という程度にとどまった。

間接的な方法も使われた。8日の労働新聞には、在日同胞女性が北朝鮮に移住してきた過程と、金正日の体制下で恩を受けて暮らしてきたという記事が掲載されたりもした。北朝鮮社会で「チェッポ」と呼ばれるほど蔑視された在日同胞が官営メディアに堂々と登場したのだ。高英姫の出身に関して沈黙してきた北朝鮮は結局、出身地を操作する方法を選んだとみられる。今後、北朝鮮の住民に高英姫についてどう説明していくかが注目される。

北朝鮮は金正日が現地指導に行く列車で亡くなったという事実を改めて強調した。今回の叙事詩には「私たち人民との約束を守るために強行軍列車を一瞬も止めずに走ってこられた方が、このように列車に乗った」とし「行ってはならぬ道と引き止める医者たちよりもよく知りながらも、将軍様が乗った12月の野戦列車」という文句が含まれた。