[資料]
2010年5月13日の参議院院内集会(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動2010と、戦時性暴力問題連絡協議会の共催)から。
慰安婦の証言は、証言者による個人差もあろうが、時期によってトーンも変わっているような気がする。 もはや強制連行の話はなくなり、平和を訴える使者のような役割になっている。長い期間「運動家」たちと行動を伴ううちに、言葉にもその影響が見られるような印象。
韓国からは「慰安婦」被害者として吉元玉(キル・ウォノク)ハルモニが来日されました。吉元玉ハルモニのお話はいつもながら本当に素晴らしく、参加した多くの国会議員の心にも響いたことでしょう。
83歳になられて、お身体も辛い中、来日されたハルモニの言葉には、重みがあります。・・・私たちに残された時間が本当に少ないのだと実感します。そういう思いを込めて、ハルモニの全発言を掲載します。
「皆さんの前に余りだしたくない顔なんですけれども、吉元玉という人間がこのように姿を現しました。ほんのちょっと辛いだけだったら皆様の前に顔を出そうとは思わなかったでしょう。あまりにも辛かったので出てきました。70年間生きていても、普通に生きられた日が一日もないくらい、本当に辛かったのです。ですから再びこのようなことがあってはならないと思って、戦争のない国、本当に平和な国を作らなくてはいけないと思って、皆様の前に出したくはない顔をこのように出しています。私は辛い辛いとお話ししますが、皆さんは同じような傷みを経験したことがないので、分からないと思います。
戦争というものは人を殺すだけではありません。生きて残った人間も、一日一日辛くない日のない人生を過ごさせられることになります。ですから戦争は絶対にやってはいけないんです。私のような人間を作らないためには、戦争をなくさなくてはいけないんです。
お金があるからといって、戦争下で私のような犠牲者が生まれないということはありません。たとえお金がある国だったとしても、ひとたび戦争が起きれば、私のような犠牲者は必ず生まれます。
一言でいって、戦争をなくすためには、過去を清算しなければならないと信じています。日常時を考えてみてください。誰かが罪を犯した場合、その罪を犯した人が反省しなければ、罪はなくなりません。口を閉ざし耳を閉ざして、自分が犯した罪に対して知らんぷりをしていたのでは、罪は決してなくならないんです。ところが何の解答もないまま、私たちは65年も放置されてしまいました。これは本当にとんでもないことです。
皆さん、この問題を解決するためにご尽力下さっていることは分かっていますが、もうちょっとだけ力を貸してください。罪を早く明らかにして、私たちの世代でこのようなことがなくなるように、次の世代に残すようなことがないようにしたいと思います。あまり余生は残っていませんが、少しでも心が安らかに眼を閉じることが出来るように、この問題を一日でも早く解決していただきたいと思います。
皆さん、これは「慰安婦」に起きたこととは思わずに、自分の親、姉妹や、知人に起きたことと想像して、気持ちを変えてみてください。そのように周囲の人に伝えていただけたら、本当にありがたいと思います。」 (2010.5)