避難所の女性守れ 10日からホットライン
東日本大震災の被災地の避難所について、性的被害を防ぐ視点での運営を求める声が女性団体などから上がっている。各団体は「阪神大震災などの際も性犯罪が起きているが、ほとんど明るみに出ない」と指摘。今回も非公式で被害が報告されており、十日から被災女性対象の電話相談「パープル・ホットライン」を開設する。 (佐藤直子)
「内容は明かせないが、今回の震災でも避難所でレイプ被害などが起きている」と指摘するのは、NPO法人「全国女性シェルターネット」の近藤恵子共同代表。「阪神や中越の震災では、被害者が訴えても『こんな時に何を言うのか。加害者も被災者だ』と逆に叱られ、闇に葬られた例は少なくない」と事態の深刻さを訴える。
集団生活ではプライバシーがなくなり、女性や子どもは性被害の危険にさらされやすい。環境の変化で配偶者などからの暴力(DV)や子どもへの虐待も増えるとされる。
女性支援情報を発信するウェブサイト「災害と女性情報ネットワーク」を運営するNPO法人「女性と子ども支援センター(ウィメンズネット・こうべ)」の正井礼子代表理事は「今回も避難所の運営を見直さなければ、深刻な被害が起こり得る」とし、単身女性などが安心して眠れる女性専用室を設けるなどの配慮を求める。
同サイトは今回の震災後にアクセス件数が急増しており、正井理事は「米国には災害時に女性への暴力が増えたという報告がある」とし日本でも公式調査の必要性を強調した。ボランティアも含めて単独行動は避けた方がいいと助言する。
かつて神戸で震災支援ボランティアをした経験がある東京都内の女性会社員(38)は「『女性は気を付けて』と言われた。ストレスの多い生活で、男性も望まずして加害者になってしまう側面があるのかなと思った」と話す。
「被災地NGO恊働センター」(兵庫)の村井雅清代表は「避難所の居室を仕切ることなどはできる方策のはずだ」と指摘する。
東京新聞2011.4.7
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011040702000182.html