慰安婦像の撤去について、時期を約束したわけではないと萩生田官房副長官。彼はこの4月、財団の設立式の日に像がそのままになっているのは見たくないとも言っていたから半歩後退というところだが、今の状況なら止むを得まい。
合意文書に像の撤去は明記されていない。その事を心配する向きも多いが、適切に処理すると約束している以上、韓国政府が何もしないわけにはいかない(萩生田官房副長官は像の撤去はパッケージの一部という言い方をしていた)。今のところパク政権は合意の履行に真面目に取り組んでいる様子なので、日本政府はさっさと10億を渡して、あとは高見の見物を決め込めばいい。
慰安婦像の撤去については、武藤前駐韓大使が合意履行の入り口でなく出口にすべきだと言っている。ネチズンには不評だが、彼の言うことが正しいと思う。
少女像移転「韓国政府の努力に期待」 萩生田官房副長官
■萩生田光一・官房副長官
(日本政府が求めているソウルの日本大使館前の「少女像」の移転について)時期については、特別、前提条件として約束をしたわけではない。しかし、昨年暮れに岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相との共同記者会見で発表したのは、まさに未来志向で日韓関係を進めていこうということ。
そのための完全かつ不可逆的解決ということだから、全てを引きずらずに前に進んでいこうという中には、日本政府として懸念を申し上げていた少女像に対しては、韓国政府として適切に解決をされる努力をして頂けるものだと期待している。(13日、記者会見で)
朝日 2016.5.13
参考: 武藤正敏・前駐韓大使「まず10億円を供出すべき。慰安婦像撤去はその後求めればよい」 産経 2016.5.5
--慰安婦像の撤去ではなく、移転でも難しいか
「世論調査をみると、慰安婦像の撤去については、韓国人の7割以上が反対している。韓国政府にとって、合意の受け入れと慰安婦像撤去という二正面作戦での説得となると難しくなる。慰安婦像の撤去は入り口では難しい。遺憾ではあるが、出口にせざるを得ない。つまり、慰安婦問題が解決したとき、『問題が片付いたのに日本大使館前に置いておくのはおかしい』という雰囲気に韓国全体がなれば、韓国政府も撤去しやすくなる」
--自民党内では、慰安婦像が撤去されない限り、10億円を拠出すべきでないという意見も出ているが…
「そういった発言は、慰安婦像の価値を高めているとしか思えない。慰安婦像などあまり騒ぎたてなければ、人々の関心は薄れていく。関心のなくなったものは、問題解決したときにも撤去しやすくなる。日本が慰安婦像に敏感に反応していると、問題が解決しても慰安婦像を置くべきだと話になってしまう。日本は慰安婦像ごときで騒ぎ立てないほうがいい」
--どうすれば日本の国益に利するか
「もし慰安婦像のために日本が10億円を供出しなければ、恐らく合意はつぶれる。そうなれば挺対協の人たちは喜ぶだろう。自分たちがこの合意をつぶしたと批判されなくてすむからだ。そうなれば挺対協は、全世界のあちことに慰安婦像をつくってまわるだろう。日本は感情的に反発してはいけない。それをやることで日本はどれだけ損をしてきたか」
産経(一部) 2016.5.5