「慰安婦問題を大きく」し、日韓関係を今のようにしてしまった当の朝日新聞。少しぐらい後ろめたい気持ちはないのだろうか?・・・ないんだろうなぁ、当時を知らない世代の記者には。
日中当局、慰安婦取り上げぬ合意 92年の天皇訪中前
【佐藤純、板橋洋佳】日中外交当局が1992年、旧日本軍の慰安婦問題を大きくしないよう互いに抑制的に対応すると合意していたことが、朝日新聞が情報公開で入手した外交文書や政府関係者の証言で分かった。日中国交正常化20周年の同年秋に予定されていた初の天皇訪中などへの影響を懸念したためとみられる。
日本外務省中国課長と在京中国大使館の担当者との会話を記録した同年2月19日付極秘文書によると、日本側は「慰安婦の問題が韓国から中国にも飛び火して頭を悩ませている。重要な要人往来を控え、この話が日中関係の大局に影響を及ぼさないようにしたい」と伝えた。中国側は「プレー・アップを望まないのは中国側も同様。中国の国民感情に直接響いてくる問題であるので、慎重に取り扱う必要があろう」と答えた。
この10日余前、中国人慰安婦がいたことを示す資料が旧防衛庁で見つかったことが報道されていた。「プレー・アップ」は外交官らが「大きく扱う」「強調する」といった意味で使う。
江沢民・中国共産党総書記(当時)が同年春に訪日し、秋には天皇が初訪中する方向が固まっていた。中国側は天皇訪中を、89年の天安門事件以降続いていた国際的孤立を解消していく好機ととらえていた。
天皇訪中を約1カ月後に控えた9月25日付公電によれば、駐日カナダ公使から「天皇訪中時に本件(慰安婦問題)は取り上げられるか」と問われた外務省アジア局審議官が「我が方から取り上げる意向はない。先方(中国側)からも取り上げられないであろう」と答えていた。
当時の宮沢内閣の首脳は「(慰安婦問題が)プレー・アップにならないようにというのは、日中両国の合意があってのことだ」と取材に証言。官房副長官だった石原信雄氏(87)も「訪中時にもしものことがあったら内閣が吹き飛ぶ。ネガティブな話を出されたら内閣の立場がないから、外務省を通じて何度も念を押した」と証言し、中国側が慰安婦問題を含む戦争関連の問題を取り上げないことを、事前に慎重に確かめたことを明らかにした。
90年代半ば以降は様相が変わり、中国側は日本側の歴史認識に厳しい態度を取るようになった。慰安婦問題では、92~93年に韓国で関心が高まる中、日本政府が東南アジアへの波及を防ぐため水面下で動いていたことが判明している。
【中国の慰安婦問題をめぐる外交文書の主な記述】
(日付は文書の日付で、いずれも1992年。■は開示に当たって黒塗りにされた部分)
◆2月13日〈駐中国日本公使に伝えられた中国側の反応〉
中国側には本件問題が中日関係を悪化させることは得策ではないとの認識はある(略)。
◆2月19日〈外務省中国課長と在日中国大使館関係者との意見交換〉
課長より、従軍慰安婦の問題が韓国から中国にも飛び火して頭を悩ませている。江沢民総書記の訪日をはじめとする20周年の重要な要人往来を控え、この話が日中関係の大局に影響を及ぼさないようにしたいと考えている(略)旨述べた。
■(中国側)より、本件についてプレー・アップを望まないのは現段階において中国側としても同様(略)。本件は中国の国民感情に直接響いてくる問題であるので慎重に取り扱う必要があろう(と述べた)。
◆3月6日〈中国出張から戻った中国課長の説明〉
■との非公式やりとり 江沢民訪日時に中国より本件を取り上げることはない。
◆4月20日〈内閣官房との協議での外務省側発言〉
本件(慰安婦問題をめぐる今後の措置)については中国との関係も念頭において慎重に考えたい。
◆6月25日〈外務省の対外応答要領〉
中国の立場は(略)引き続きロー・キー(大きくしない)で対処していくものと見られる。
◆9月25日〈駐日カナダ公使からの照会と外務省の回答〉
天皇訪中時に本件はとりあげられるか。
我が方からは取り上げる意向はない。先方からも取り上げられないであろう。
◆10月14日〈外務省アジア局長から国会議員への説明〉
中国など本件をあまり取り上げないよう希望している国との関係もある。
朝日 2013.12.10
朝日新聞のこの報道は、早速韓国のメディアに取り上げられた("中日 '위안부 문제 삼지 말자' 1992년 비밀합의")。