2012/11/24

[参考] 韓国が「極右」を連発するわけ


自ら招いた「日本の右傾化」 ソウル・黒田勝弘

先日、韓国の新聞に「極右・野田が極右に警告」という記事が東京発で出ていた。野田佳彦首相が米紙とのインタビューで領土問題に関連し「健康な民族主義は必須だが極端に傾けば排外主義になりうる。(日本には)極端な雰囲気が広がっている」と語ったと紹介していた。

 野田首相はこれまで「領土問題では不退転の覚悟」を語り、武器輸出三原則の緩和や集団的自衛権の行使容認検討などを主張していたのに、選挙を意識し姿勢を変えているというのだ。

 それにしても野田首相まで「極右」とは、首相自身も苦笑いだろう。

 韓国で、気に食わない日本の動きをやたら「極右」と言い出したのは1990年代中ごろからだろうか。当初は石原慎太郎氏など右派、保守派の政治家や知識人、産経新聞や「文芸春秋」などに“極右レッテル”を貼っていたが、対象は広がる一方だ。

 最も新しいところでは「安倍総裁が極右の本性」「安倍、無法な極右公約」などと安倍自民党にホコ先が向いている。

 筆者も「極右言論人」にされて久しい。当初は韓国メディアとのインタビューなどで「何でもかんでも極右とはおかしいのでは。韓国社会が昔に比べ左傾化したから日本の保守派や右派が“極右”に見えるのじゃないか」と反論していたが、今や領土問題や安全保障、教科書記述など「普通の国家」としての日本の当たり前の自己主張はみんな極右になっている。

単に右派とか右翼ではなく「極右」という極端な表現を使うのは、韓国では右派とか右翼には肯定的な意味があるからだ。

 インタビューでは「産経新聞が極右なら朝日新聞など“極左”じゃないのか」とからかったこともあるが、朝日新聞は「良心的新聞」という。その朝日新聞も李明博大統領の竹島上陸や天皇発言では韓国批判に転じたため、韓国のメディアや知識人は大いに戸惑っている。

 最近、ソウルであった日韓関係セミナーの席で「李明博ショックのおかげで日本では朝日新聞はじめみんな産経新聞になりました」と冗談を言ったのだが、韓国における執拗(しつよう)な反日-日本たたきは日本の国民感情を刺激し続けた。

 それが、韓国で盛んに非難される「日本の保守化、右傾化」につながった、少なくともその一要因になっている、という分析が語られることは残念ながらほとんどない

 語られるのは日本経済の沈滞、国力低下、自信喪失、閉塞(へいそく)感…などいつも日本側の背景説明だけだ。韓国(や中国)の民族主義、あるいは極端な反日愛国主義の影響、それへの反省や自制の声はまったくといっていいほど聞かれない

 以前は韓国でも知日派の長老政治家が「こんなに長年、謝れ、反省しろと言い続けられては、日本でなくてもイヤになり怒るだろう」と公開の席で自制論を語ることがあったが、今やそんな風景など見当たらない。

 竹島問題も当初、日本は国交正常化の際の“棚上げ”論で比較的静かだった。しかし韓国は「これでもか、これでもか」と支配強化を続け、挙国的な日本非難キャンペーンで愛国シンボルにしてしまった。「自分のモノを何が悪い」というが、相手がある問題だから相手を刺激するのは当然なのに。

産経 2012.11.24   

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