2013/10/05

生まれながらの売春婦 (インド)


「生まれながらの売春婦」インドの現実 豊かになっても児童売春は増加の一途

インドの他の多くの少女と同様、同国北部バラトプルに住むスチトラさんの進路は一つだけだった。思春期になる前にスチトラさんは、将来に備えて母親から性行為でのさまざまな体位や顧客を喜ばせる方法を教えられた。

14歳のある日、面識のない男が家に現れた。スチトラさんは車に乗せられ、6時間後に到着したのはニューデリーの売春宿だった。

・ 「他に道がなかった」

20歳になったスチトラさんは「これは私の宿命。家族が暮らしていくには他に道がなかった」と語る。

スチトラさんの故郷を含む何百もの村では何世紀にもわたり、少女のほとんどが売春の道に入る。世界第2の人口を有するこの国では、豊かになっても児童売春の数が増加の一途をたどっており、売春を始める年齢も9~12歳に低下している。

インドの性目的の人身売買産業は40億ドル(約3920億円)規模。バラトプルなど、女性の半分が読み書きのできない地域がその温床となっている。同国の売春婦は300万人。うち120万人は18歳未満だ。南アジアは、世界で一番、性の人身売買が多い地域だ。

過去10年間、国内総生産(GDP)が毎年平均約8%上昇しているような国での未成年売春の増加は、世界最大の民主国家での女性の扱いやカースト制度の威力を物語っている。インドでは、全世界で実施される女性の不妊手術の約40%が行われており、平均21分に1人の女性がレイプされ、全女性の3分の1は読み書きができないでいる。女性の地位がいまなお低く見られているのだ。

最下層のカーストに属する家庭はすべて、娘が売春で得る収入を頼りにしており、そういった家庭では往々にして父親や男兄弟が売春を斡旋(あっせん)している。少女は思春期に達すると、初めての相手がオークションで決まることが多い。

カースト最下級のベディア族出身のスチトラさんを見ていると、カースト制度がいかに職業や社会的地位を決定するかが分かる。宗教に基づき何千年も続いてきた構造が、特定の集団を過小評価し、女性を孤立と虐待のサイクルに閉じ込めている。

約2000人のベディア族の女性の多くは「自分たちはのけ者のように扱われる」と語る。売春をしていると結婚はできず、店では接客を断られ、「娼婦」と呼ばれ、レイプをされても警察は無関心だ。

スチトラさんの部屋を照らすのは裸電球が1つだけ。床には使用済みのコンドームが散らばり、尿や汗の染みがある。部屋には安物の香水の香りが立ち込め、廊下にはごみが山積みになりネズミがたかっている。

スチトラさんによると、1回わずか100ルピー(約160円)で、1日に数多くの男性と性行為をするという。部屋のほとんどを占領するコンクリート板がベッドとなり、そこで寝たり仕事をしたりする。顧客にナイフや銃、ビール瓶で脅されることもあるという。

生まれながらの売春婦という習慣の打破に取り組む政府関係者や活動家の話では、高い非識字率とカーストに基づく偏見により、女性が他の手段で生計を立てることが難しくなっている。

・ 家族からの圧力受け

バラトプルの政府トップでベディア族の習慣に立ち向かうニラジ・パワン氏は「スキルがなく、売春婦になれという家族の大きな圧力を受けている読み書きができない少女に、どうやって今の10分の1しか稼げない職に就くように説得すればいいのか」と苦悩を打ち明けた。

ベディア族の女性は、売春婦として1日1000~2000ルピー稼ぐことができるという。一方、インドの平均日給は188ルピーにすぎない。

売春婦として育つ少女の多くは胸を早く大きくするために、子宮を収縮させる作用もあるオキシトシンというホルモンを打たれるという。他のカーストでは男の子が生まれることが好まれるが、ベディア族では収入源になることから女の子が好まれる。

バラトプルのベディア族出身のスワティ・クマリさん(25)は男の子を産んだがために、何カ月も夫や義理の両親から虐待を受けた。

代わりに売春をするよう言われたが断るとひどくなり、何度も髪を引っ張られ、顔を殴られ、物を投げられた。その後、自分の両親の家に逃げた。息子も夫や家族から身体的虐待を受けたということだった。

国連の2013年の報告書によると、ベディアやナット、カンジャール族は収入を支えるために、他族から子供を誘拐する人身売買組織に関わり、誘拐した子供を自分たちの村で育てているという。中にはムンバイや中東諸国へ送られる少女もおり、ダンスバーで働いたりエスコートサービスに従事したりしているという。

一方、米国務省は13年人身売買報告書のインドの章で「人身売買への政府関係者の関与は深刻な問題であり、政府はほぼ放置状態だ。腐敗を取り締まる側に、性目的の人身売買の犠牲者の移動に手を貸したり、人身売買の容疑者を保護したり、賄賂を受け取ったりしている者がいる」と報告した。

デリーの売春街を管轄するデリー警察の副長官によると、警察は定期的な強制捜査により、売春宿に売られた女性や少女を助けている。同副長官は、警察官が人身売買に関わっているかについては知らないという。(ブルームバーグ Andrew MacAskill、Bibhudatta Pradhan)

産経ビズ 2013.10.3 

5 件のコメント:

  1. 自らすすんで慰安婦になった女性達

    http://agasatea.seesaa.net/article/253633551.html

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    1. ありがとうございます。

      「これは私の宿命。家族が暮らしていくには他に道がなかった」・・・インドにも日本にも中国にも朝鮮にも、同じような女性たちがたくさんいたのでしょうね。

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  2. インドのカースト制度は朝鮮半島の両班とその他の区別・差別をさらに極端にしたもので、以前インド人に聞いた話では、遺体を清めて洗ったり遺灰を流す聖なるガンジス川の水よりも、下のカーストの人間が汲んでくれた一杯の飲料水を飲むことの方が抵抗を感じる・・・というように、われわれの感覚では想像できないものがあるみたいです。山羊のミルクを絞る人の子孫はずーっと山羊のミルクを絞るわけで。人身売買の問題は社会文化的に非常に複雑な背景を伴っていますね。違うカースト同志の結婚を周囲から反対されて駆け落ちした若い男女が、けっきょくは袋だたきにあって2人ともそれぞれが属するカーストの人間に殺されたというニュースは今でもときどき流れてきます・・・ 

    日本が朝鮮半島から極端な身分差別を取り除こうと努力したのは、植民地政策としてはマレなケースだと思います。だからこそ併合なのですけど・・ そしてその影で東北が見捨てられていったのも事実です。

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    1. 「加害者と被害者の関係は千年変わらない」というのも、一種の差別(の制度化)かなっとふと思ったりもしました。

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  3. 匿名とよばれた男2015年3月15日 15:07

    「加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わることがない」という言葉を「加害者と被害者の関係は千年変わらない」に変えてしまっている。
    ”歴史的立場”が変わらないのは当たり前。

    100年くらい経てば「大日本帝国は、むしろ韓国に侵略された被害者であった。」と世界史に書かれるようになるわけがない。


    「昔、徳川家康は、「国家安泰」の文字から豊臣方を滅亡に追いやった」という事実は、今後1000年経っても、変わらないだろうなー

    「明治維新の時、何者かが坂本龍馬を暗殺した」という事実も、1000年経っても、変わらない。

    「日本が真珠湾を戦宣布告前に攻撃した」のも、1000年経っても変わらない。

    「加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わることがない」・・・・何の問題もない発言だが、ウヨだけが難癖をつけている・・・

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