2013/08/20

朝日記者が歩く「慰安婦の碑」の町

碑の両側に米国旗
お馴染みの韓国旗が無くなってる!?

最後の地元議員の話。読むに値するのは、日本は謝りました補償を申し出ましたといったメールだけで、彼女たちは売春婦だった、意に反して連れて行かれた人などいないというメールは「素直に言って、不適切」・・・不適切と彼は言っているが、本当は「言語道断」と言いたかったのだろう。

そういう雰囲気を察しているから、日本政府はひたすら「謝りました賠償済み」を繰り返しているわけだが、たぶんこれがアメリカ人の平均的な反応。被害者(?)を売春婦と言った時点で、読むに値しないと判断されてしまう。

たぶん抗議している側は、強制連行(徴用)はなかった事、慰安婦は奴隷でなく対価を受け取っていたことを(不慣れな外国語で)訴えたかったのだろうが、それをストレートに言うと反発される。

慰安婦は単なる売春婦言説は、数の力(抗議メールが数百通)こそ発揮するが、説得力はあまり期待できないようである。かと言って、謝りましただけで済ませてしまっては、いつまで経っても誤解は解けない。やはり、もう一工夫必要なようだ。

ところで、朝日の大島記者といえば国務省の報道官とのやり取りを以前取り上げたが、米軍が日本人女性の性を利用していた事についての質問は、あのままウヤムヤにしてしまったのか?沖縄の被害についてはあまり気にならない?

(@ニュージャージー)「慰安婦の碑」の町を歩く

ニューヨーク・マンハッタンの西側を流れるハドソン川。ジョージ・ワシントン橋を渡ってニュージャージー州に入ると、道の両側にハングルの看板が続く地域に入る。マンハッタンにも小さなコリアン・タウンはあるが、ここは町全体がコリアン・タウンといった趣だ。このパリセイズパーク市は人口2万人のうち1万人強を韓国系アメリカ人が占め、全米で最も韓国系の割合が多い自治体の一つと言われている。

慰安婦の碑は、町の図書館の建物脇にあった。「みんな言うんですよ。思っていたより小さいんですねって」。地元の画家スティーブ・カバロさんが案内をしてくれた。

カバロさんは、記念碑の建立で中心的な役割を果たした一人だ。社会問題をテーマにした絵を多く描いていたカバロさんは、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)や日系人の強制収容所など戦争の被害者をテーマにした作品を構想する過程で、慰安婦問題を知った。2009年には韓国を訪れて元慰安婦にも会い、この問題をテーマにした絵を描き、企画展も開いていた。

「当時、韓国系アメリカ人の団体が慰安婦の記念碑を建てようとしたが、場所が見つからなかった。そこで私が旧知の市長に話してみたところ、市長も『そんな問題があったとは知らなかった』と関心を示したのです」。カバロさんはこう経緯を振り返る。

当初は韓国系アメリカ人社会の間でも、必ずしも大きな注目を集めたわけではなかったという。慰安婦の碑が日本国内や米国の韓国系社会で大きく注目されるようになったのは、現国家公安委員長の古屋圭司氏ら、日本の国会議員4人が12年にパリセイズパークを訪れてからだった。古屋氏ら日本の議員側は「20万人以上が強制連行された」などとある文言について「事実ではない」と指摘して碑の撤去を求めたが、市側は応じなかった。

この件以来、パリセイズパークに日本から寄せられる抗議のメールが急増し、数百件に及んだという。一方で、地元の韓国系コミュニティー向けの新聞がこの問題を大きく報じたことで、韓国系社会の間でも碑の存在が広く知られることになった。カバロさんは「この問題がこれほど大きな出来事になるとは思っていませんでした。日本の友人たちも特に不満を口にしなかったし、慰安婦の問題は日本でも認知されていることだと思っていました」と振り返る。

パリセイズパークは、韓国系が5割を占めるという意味では、特殊な町だ。一方で、マイノリティーの人口が増えて政治的にも社会的にも影響力を増している、現在のアメリカ社会の変容を象徴する町でもある。

韓国系アメリカ人は、日系や中国系に比べて歴史こそ浅いが、現在に至るまで移民の波が続いているうえ、積極的に政治に関わる姿勢が目立つ。移民は世代を重ねるにつれ母国とのつながりが薄れるのが常だが、韓国系の場合は1980年代以降に移民した人が多いため、移民1世や2世が中心で母国とのつながりが強いのも特徴だ。

パリセイズパークの慰安婦の碑建立を推進した団体「コリアン・アメリカン・シビック・エンパワーメント」のドンチャン・キム代表は、「私たちにとっては92年のロサンゼルス暴動が転機でした」と語る。

スピード違反を犯したアフリカ系の男性に対して白人警察官が集団で暴行を加えたことが暴動の発端だったが、暴動の中では韓国系の商店街も襲撃された。「警察は韓国系の商店街を守ってくれなかった。我々が団結して声を上げなければダメだと思った」と話す。

団体の活動は多岐にわたる。米国では投票するためには、まず有権者登録が必要だ。この団体は韓国系アメリカ人にターゲットを絞り、有権者登録を働きかけて投票するよう促している。さらに、立候補をした政治家にインタビューをしてウェブサイトで公開したり、韓国系アメリカ人が多く住む地域が一つの選挙区になるよう区割りの見直しを働きかけたりと、あの手この手で韓国系の政治的なプレゼンスを高める取り組みをしている。

日本では「地元への利益誘導」と言うと否定的な響きがあるが、米国では必ずしもそうではない。政治家、特に下院議員の発言を聞いていると、地元の利益を代弁することこそが自分たちの仕事だと考えている節すらある。「アメリカの政治家を動かすことができるのは地元の有権者だけだ」。最近ある日本人外交官からこんな言葉を聞いたときに、真っ先に頭に浮かんだのが、この韓国系団体の活動内容だった。

パリセイズパークを含むバーゲン郡の議員、ジョン・ミッチェルさんは、筆者にこう言った。「米国は移民社会です。韓国系は確かに人口増で政治的影響力を強めている。ただ、自分たちの重要課題を支持する政治家に投票するのは、皆同じです。韓国系だけではありません。アフリカ系や、ヒスパニック系社会と何ら変わりはないのです」

共和党員のミッチェルさんは「同盟国日本を傷つける意図はない」と何度も繰り返したが、日本から自分の元に寄せられたメールの話になると、表情が険しくなった。示唆に富む言葉なので、最後にそのまま紹介したい。

「日本からのメールはおおむね2種類に分けられます。一方は読むに値するもので、日本が補償を申し出たことや、日本政府が謝罪をしたことが書かれてありました」。日本の補償とは、アジア女性基金のことを指しているのだろう。「もう一種類は、彼女たちを売春婦と呼び、自分の意思に反して連れ去られた女性などいないと主張するメールです。率直に言って、不適切だと思いました」

朝日 2013.8.20

ロス暴動が韓国人の意識を変えたように、今回の慰安婦の碑騒動が日本人の意識を変える事になるのだろうか?