2017/08/12

ミンディ・カトラーの「血の中傷」

慰安婦決議6周年イベントでのカトラー

キム・ヒョンジョンらが、アトランタで一度は失敗した「少女像」をブルックヘブン市に持ち込むことに成功したが、日本からの抗議に加え、周辺住民にまで顰蹙を買ってしまった。そこへアメリカ下院決議の頃からこの問題に関わっている反日屋ミンディ・カトラーが登場。市はこの像を誇りに思うべきだという意見を新聞に寄稿した。ところが、コメント欄にはカトラーに賛同する声は殆どなく、反論の方が目につく。もっとも、Reporter Newspapers 紙は、これまでにも何度かこの問題を取り上げておりマイケル・ヨンがフェイスブックで紹介したから、マイケル・ヨン経由の論者が集まった(そして一般のアメリカ人は、この問題に興味がない)という事情もあったかもしれない。日本擁護がコメント欄の多数派という例は珍しい。

幾つかあった反論の中で、ユダヤ系アメリカ人が、カトラーの「血の中傷」だと批判していたのが興味深かった。血の中傷とは、ユダヤ人に対する迷信的なデマで、ユダヤ人がキリスト教徒の子供を攫い、その血を儀式に使うなどという、最も深刻な民族的偏見であり中傷である。反ユダヤキャンペーンは、「キリスト教徒の子供の安全」という口実で行われたとこのユダヤ人は言う。人身売買防止を口実にするカトラーのやり方は、まさしくこれだと。

私は、第二次世界大戦の歴史について連邦議員などにアドバイスを行うワシントンDCの学者です。

私は、2014年にニューヨークタイムズに書いた「慰安婦と、事実を巡る日本の戦い」の中で、日本帝国に性奴隷として使役された慰安婦女性(と少年)は、戦争における人身売買と性暴力犯罪という、より大きな問題の象徴であるという事を明らかにしようと試みました。

ブルックヘブンのメモリアル(訳注:慰安婦像)は、時代を超越したこの終わりなき戦争の悲劇のシンボルなのです。事実として、第二次世界大戦中、日本帝国は合法的な売春の枠外に、国家が認可し管理した戦時性奴隷システムというユニークなシステムを持っていたのです。

あなた方に聞こえてくる反対意見のほぼ全ては、日本の右翼と嫌韓集団によって仕組まれたものなのです。彼らは人種差別と戦時中の日本の栄光に対する妄想という有毒な化合物に突き動かされているのです。これらのグループとそのスポンサーは、日本の首相と彼の党の政治的基盤でもあるのです。

こういうわけで、あなた方のブルックヘブン市で、日本の外交官たちがホロコースト否定論者のようにコソコソと歴史を否定し恥を晒しているのです。だから注目されるのは韓国ばかりで、オランダ人の母親だったり、ドイツの宣教師だったりフィリピンの農家の娘だったり、台湾の原住民だったり、インドネシアの村人だったり、ベトナムの女学生だったり、タミール人労働者の妻だったり、オーストラリア人の遭難者だったり、はたまた上海で徴発された売春宿のフランス人やイギリス人娼婦が注目されないのです。

何人が慰安婦システムに放り込まれたのか、誰にも分かりません。安全の為に村の大人たちによって提供された者だろうと、自分の子供を飢えさせまいと我が身を犠牲にした者だろうと、路上で拉致された者だろうと、望んで慰安婦になった者はいません。太平洋の島々や中国や西洋人の抑留所での数千にも及ぶ「機会」を計算に入れれば、その数は、20万を軽く超えます

戦地へ「売買」された女性の多くは朝鮮人のようですが、基本的な事実として、日本帝国の陸海軍の若い士官たちは、「慰安所」を設置し「支給品」を徴発する訓練を受けていました。

第二次世界大戦中にアジア(とアジア人)に限定されない、少女と女性たちに対する犯罪の記念碑を設置しようというのは、ブルックヘブン市にとって名誉であるはずです。これは滅多にないことです。ブルックヘブンの皆さんは、日本の右翼集団のレイシズムに屈してはいけません。ホロコースト記念碑に反対する組織に屈してはいけないのと同様に

これは(訳注:日本人)差別ではありません。アメリカ市民の過去から学び、それを称えることがアメリカなのです。

ミンディ・カトラー

アジア・ポリシー・ポイント代表

ワシントンDC

Reporter Newspapers 2017.7.23(原文[2]

「カトラーのやり方は、血の中傷

カトラーは、左派系?の日本人や外国人(非日本人)からもコメント欄で批判されている。その中から一つだけ、ユダヤ系アメリカ人であるスティーブン・ゴードン氏のコメントを紹介する。ゴードンは、人身売買問題を隠れ蓑にする事を思いついたのはカトラーではなくアナベル・パクだと言っている。慰安婦問題に詳しい人物のようである。この指摘は正しいと思う。

カトラー氏は事実に関していい加減で、情に訴える彼女のやり方は説得力がない。

2007年の下院決議のキャンペーンの為に(慰安婦問題を)普遍的な人身売買の話に拡大したのは彼女ではなく、パク氏(訳注:アナベル・パクか)だった。カトラーは自分の反日キャンペーンに夢中で、(マイク)ホンダの計画の役に立たなかった。

アメリカにおいて注目を集めるには、慰安婦詐欺を人身売買と戦時性暴力の防止の為と誤魔化せばいいと理解し、真の意図をカモフラージュしたのはパク氏に外ならなかった。ミンディ・カトラーは、その事実を自分の手柄にしようとしているだけだ。

付け加えるならば、彼女は、G8最大の女性の人権侵害国である共産中国に対する自分の支援と深いつながり伏せている。彼女は、現在の中国の人口統計上の時限爆弾を作った強制堕胎などによる女性虐殺(一人っ子政策)に起因する3千万から4千万の伴侶のいない男の需要を満たす為に、中国の「独身村」に誘拐され性の提供を強制されている数十万人の東南アジアの女性については触れない

最後に、彼女は反ユダヤ主義者らが、バカげた血の中傷の中で使ったのとそっくり同じ手法を慰安婦問題で使っている。この問題はとても良く似ている。「血の中傷」といった多くの反ユダヤキャンペーンは、「キリスト教徒の子供たちの安全を守る為」という建前で、情に訴え嘘を押し通した。

カトラーは、先入観のない学者からはほど遠い年季の入った反日屋で、反ユダヤ主義者の同類だ。アトランタは(訳注:南北戦争の経験から?)、このレイシズムに基づく嘘に騙されることは決してない土地だと私は思っていた。

私は「日本の右翼」から最も遠い存在だ。お蔭様で、私は前世紀と今世紀にユダヤ人に向けられたlashon haraというか中傷を憎むとても進歩的なユダヤ系アメリカ人なのだ。

コメント欄より




2017/08/08

韓国「慰安婦の服、修復保存」の怪しさ

国家記録院院長(左)と慰安婦の服?
重要文化財?実はただの作業着の可能性

韓国の国家記録院が、日本軍の慰安所で使われていた建物から見つかった衣服2点を修復し、これを世界慰安婦デー(8月14日)に国立日帝強制動員歴史館で公開するというニュース。普通に聞くと慰安婦縁の品が見つかったのかと思うが(それのどこがニュースか、という突っ込みはとりあえず置いておくとして)、よく読むととんだ羊頭狗肉。まず、「慰安所として使われていた建物」で見つかったとはあるが、KBSも慰安婦の衣類であるとは書いていない。ただ「慰安婦デー」に公開すると言うから、思わず錯覚してしまうだけのことである。わざとだろう。

強制連行や慰安所について書かれていた案内板(1995-2014)
誤解の恐れありとして撤去された

発見場所が軍の慰安所であったかからして疑わしい。奈良県の柳本飛行場(大和海軍航空隊基地)に関しては、90年代に設置された説明版の「強制連行」記述が問題視され、数年前に天理市が撤去して日本の市民運動家らが騒いでいた。それに触発されたか、韓国の慰安婦運動家ソン・ドジャが1万人の署名を持って天理市に抗議に押し掛ける一幕もあったのだが、強制連行はともかくとして、ソン・ドジャと共に韓国で記者会見を行った「撤去について考える会」の川瀬俊治も、慰安所を軍人が利用していたという証拠はなく労働者が利用していたと結論づけていたはずなのだが・・・。

韓国で記者会見した「考える会」の川瀬(右)は、
(朝鮮人)労働者用の施設だとしていた(2015.4)
※後ろの写真にも注目

つまり労務者(日本人&朝鮮人?)が利用した建物から発見された服というのが実際で、そもそも、現在、防空壕や朝鮮人労働者の宿舎と”見られる”建物が残っているというが、慰安所の建物については「天理・柳本飛行場跡の説明板撤去について考える会」も確認していないようなのである。天理市人権教育研究会のサイトにもそれらしい物は紹介されていない。

もちろん労働者の福利厚生の一環として軍が娼婦を手配した(戦争や軍と関係なく、当時炭鉱や工場でもそうした事は行われていた)可能性はあるが、兵隊が利用するでもないこんな物を、日本軍の慰安所と呼べるか疑問である。実際に高野真幸なる人物(『朝鮮人強制連行・強制労働ガイドブック』などの著作がある)が作成したメモには「大林組?慰安所」の文字が見える(メモには無印の慰安所も記載されている)。

韓国メディアに川瀬が提供したメモ(高野真幸作成

ただの作業着に過ぎないかもしれない物を慰安婦縁の品と有難がっているのだから、実にカルトな世界である。イ・サンジン国会記録院は、対日抗争期の資料として後世に伝えるというような事を言っている。保存処理に5か月をかけたこの逸品は、今後は国立日帝強制動員歴史館で大切に保存される。その前に「なんでも鑑定団」で鑑定してもらった方がいいかも。

慰安所で使われた衣服2点 国家記録院が公開

行政自治部の国家記録院は2日、太平洋戦争当時に旧日本軍慰安所として使われていた建物から見つかった衣服2点を公開しました。

今回公開された衣服は作業着と和装下着の2点で、2007年に奈良県の柳本飛行場内の慰安所跡地から見つかり、去年、釜山の国立日帝強制動員歴史館に寄贈されたものです。国家記録院は歴史館側からの依頼を受け、5か月間にわたって破れていた衣服の修復・保存処理をしていました。

国家記録院は、このうち作業着は、1942年に旧日本陸軍被服廠が製造したことを意味する検定印が残されており、旧日本軍が公式に使用していたものであることが確認されたと説明しています。

衣服は国立日帝強制動員歴史館に戻され、今月14日の世界慰安婦の日に一般に公開される予定です。

国立日帝強制動員歴史館は、2015年暮れに釜山市南区に開館しています。

KBS 2017.8.3[2]




2017/08/03

日韓合意検証、河野談話検証を真似たところで・・・

TFのオ・テギュ委員長

ムン政権が日韓合意を検証すると聞いて、すぐに安倍政権による河野談話検証(2014年)を真似たかなと思った。河野談話検証は、なぜ行われたのか。リチャード・アーミテージが当時、関係者からガス抜きだと聞いたと言っていた記憶があるが、現在の韓国政府が日韓合意を破棄出来ないように、当時の日本政府にも河野談話の撤回は政治的に不可能だった。ところが、安倍政権を支持する保守層は、安倍晋三が総理になった暁には談話を撤回してくれると期待していたので、ああいう形で決着させたのだろう。

もっとも、河野談話は反日勢力に悪用されていたので、実際、談話作成の経緯を明かにするのは一定の意味もあった。就任したばかりのオ・テギュ委員長が、河野談話の検証報告書の形式や活動を参考にすると話したのでやはりと思ったが、河野談話検証を真似をしたところで、韓国政府は何を得られるのだろうか?合意の「不当性」が証明されても(やり様によって、そういう結論に持って行くのは難しくないはずだが)、韓国世論は増々おさまりがつかなくなるだけで、各国政府は、日米が韓国政府を恫喝して無理矢理合意を実現させたというのでなければ、韓国の「国民情緒」に同調はしないだろう。反対に検証の結果問題なしという結論が出たら?・・・これまた韓国世論は一層燃えたぎるだろう。安倍首相は、河野談話継承を明言したが、ムン大統領が日韓合意継承を宣言出来るとは思えない。韓国政府は更に苦しい立場に立たされることになる。検証チームも、「被害者中心の考え方」で検証に当たるなどとふざけた事を言っているから、とんだ茶番に終わりそうである。韓国メディアは、合意見直しに向け韓国政府が一歩踏み出したと喜んでいるむきが多いが・・・。

韓国政府「慰安婦TF」の検証スタート 対日関係への影響必至

韓国政府は31日に外交部長官直属のタスクフォース(TF、特別チーム)を立ち上げ、旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の韓日合意の交渉過程や合意内容などの検証に乗り出した。[...]TFの検証作業は合意と関連した韓日間協議の経過と合意内容、合意事項の履行過程について事実関係を確認することに焦点が合わせられる見通しだ。

[...]TFは膨大な外交文書の確認や合意当事者への聞き取りなどを通じ、これら疑問に対する答えを出すことになる。ただ、水面下で交渉に関わった李丙ギ(イ・ビョンギ)元青瓦台(大統領府)室長や最終決定権者の朴槿恵(パク・クネ)前大統領、尹炳世(ユン・ビョンセ)前外交部長官らは聞き取りに応じない可能性があり、限界が指摘される。

TFはこの日、「被害者中心主義」に基づき、被害者と関係者の意見を聴くと発表しており、被害者の声が合意にどれだけ反映されたかについても明らかにする方針だ。日本側に求めていた「法的責任を認めた上での賠償」が日本政府の予算からの10億円拠出に変わったいきさつも検証対象となる。

聯合ニュース日本語版(一部) 2017.7.31