慰安婦はどのように集められたと思うかの問いに、日本の大学生の67.5%が「
日本軍が拉致・誘拐した」と答えた。韓国の学生の49.8%より多いという少々驚きのアンケート結果。
「慰安婦の女性たちはどのように集められたと思うか」という質問に対し、日本の学生で最も多かった回答は「日本軍が拉致・誘拐した」で67・5%。「日本軍の命令で民間業者たちが人身売買や詐欺などの手段で集めた」が53・7%で次いで多かった。慰安婦は日本軍が関与し、強制的に集められたと考える学生が多数を占めた。
アンケートを主催したのは
バウラック、過去に慰安婦問題で
NHKと訴訟沙汰になった旧バウネットである。
最初に報じられた時点では、シンポジウムに集めた学生にアンケートを取ったのだろうと無視していたのだが、3000人の日本の大学生(122校)と1100人の韓国人学生のデータを集計した思ったより大掛かりな調査だったようである。このアンケート結果は多くの韓国メディアでも取り上げられていた(ソース:自分)。あの
バウラックだから信用しないというのも自由だが、日本の若者が慰安婦問題について知らないというのは、あながちウソではないだろう。韓国では挺対協が
小学生にまで慰安婦問題を「正しく」学ばせようとしているが・・・(
留学生にも)。
日本の学生たちからは「もっと詳しく知りたい」という回答が多かったという。
西野瑠美子は、学びたいという学生の思いを尊重しろと主張している。確かに7割の学生が「慰安婦の募集=日本軍による拉致」と信じている現状をこのままにしておいていいはずはない。とはいえ、「慰安所は日本軍が・・・意志に反して女性を集め、継続して性暴力を振るった(
小野沢あかね)」というのは論外であって、学校では客観的に事実を教えればいいだけの話である。詳しく知りたいという学生側の要求には、そちらの意味も含まれていたのだろう
(バウラックのウェブサイトが見られない状態なので、詳細は未確認)。
しかし、改めてアンケート結果を眺めてみると(生データを見たわけではないが)西野も言うように「学生の多くが
高校生のときに使った日本史や世界史の教科書には、慰安婦問題が丁寧に記述されていた」・・・その記述のされ方がこうしたアンケート結果の一因なのかもしれない。当然、教科書から慰安婦の記述を削除せよという声も高まるだろうが(ただし、情報源として最も多かった回答はテレビ)。これほど大きな国際問題になった以上、少なくとも高校生以上には悪質なプロパガンダから身を守る為の最低限の知識は与えておくべきだろう。
回答から、日本の多くの学生が拉致や誘拐という手段で被害者が集められたと考えていることが分かった。・・・国会でも強制性を否定する政治家の発言が相次ぐ社会状況でも、こうした言説に同調していない。(西野瑠美子)
神奈川新聞は、日本の学生が慰安婦問題を人権問題として認識出来ずにいる一方で韓国の学生は人権問題と(正しく)捉えていると分析したようだが、韓国の学生が人権問題だと言っているのはあくまで日本軍慰安婦限定であろうし、それは彼らを教育する側が女子挺身隊としての動員(強制連行=徴用)から女性の人権に話をすり替えたことの反映でしかないのではないか?
中西新太郎も「社会状況が変われば簡単に転換するだろう」と認めざるをえないように、客観的な情報さえ与えれば日本の学生の意識も転換しうる。神奈川新聞は「歴史的現実」やら「性の尊厳」などと小難しいことを言っているが、そういう価値観の押し付けは
水曜デモでやればいい。学校では御免こうむる。
時代の正体(33)慰安婦問題 日韓学生アンケート 目立つ「今更」 歴史への距離感なぜ
旧日本軍の従軍慰安婦の調査研究に取り組む市民団体「『戦争と女性への暴力』リサーチ・アクションセンター」は日韓の大学生約4千人を対象に慰安婦問題について意識調査を行った。それによると、被害者への謝罪と補償が必要と考える学生は日本でも6割を超えていた。慰安婦問題を教え伝えることを求める声も同程度ある。一方で、「そうは考えない層は3割に上る。社会状況が変われば多数意識は簡単に転換する」との指摘が識者から出ている。
従軍慰安婦問題で「今後、日本政府は被害者に対する謝罪と補償を行うべきだと思うか」と聞いたところ、日本の学生の66・4%は「行うべきだ」と回答した。「行う必要はない」は12・1%で、「すでに謝罪・補償は終わっている」は21・3%だった。
一方、韓国では謝罪・補償を「行うべきだ」が、98・2%で多数を占めた。「必要はない」は0・6%、「すでに終わっている」は1・2%といずれもわずかだった。
謝罪・補償を「行うべきだ」と回答した学生には「日本政府はどのようなことを行うべきだと思うか」と質問した(複数回答可)。
日本では「教科書などに『慰安婦』問題を記載して、若い人たちに事実を教えるべきだ」という選択肢を選んだ学生が66・7%で最も多く、「国家の法的責任を認め、国家として被害者全員に謝罪・補償すべきだ」が55・1%で続いた。
韓国では「国家の法的責任を認め、国家として被害者全員に謝罪・補償すべきだ」が87・5%、「教科書などに『慰安婦』問題を記載して、若い人たちに事実を教えるべきだ」が81・5%、「資料をすべて開示し、真相を究明すべきだ」は75・3%だった。
謝罪・補償は「すでに終わっている」と回答した日本の学生に理由を聞いたところ、1965年に戦後賠償などをめぐり日韓が結んだ「日韓基本条約」を理由とした学生が58・9%で最も多く、次いで第2次世界大戦の戦争犯罪を裁いた「東京裁判」という回答が24・3%で多かった。
慰安婦問題をめぐっては、朝鮮人女性を強制連行したとした「吉田証言」についての記事を朝日新聞が取り消したことをきっかけに、問題の存在自体を否定する言説が一部メディアで繰り返される状況になっている。
今回調査を行った「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター共同代表の西野瑠美子さんは「問題自体を捏造と主張する事実を無視した論調は、人権侵害としての慰安婦問題に向き合わず、強制連行を否定してきた日本政府の姿勢が生み出している」と指摘し、「人権の視点を持たずして慰安婦問題の解決はない。謝罪と補償をするべきだという若者の声を安倍政権は重く受け止めるべきだ」と話している。
◇「メディアに同調せず」
日韓の学生のアンケートから和解への道筋をどう描くか。横浜市立大の中西新太郎・名誉教授(社会学)は人権の問題として慰安婦問題を捉え直す必要性を説く。
若者の右傾化が指摘されているが、6割を超える学生が「謝罪・補償を行うべきだ」と回答しており、近年の歴史修正主義的な政治やメディアの動向に必ずしも同調していないことがうかがえる。
ただし「すでに謝罪・補償は終わっている」「行う必要はない」という回答を合わせると3割強になる。相当の厚みがあり、多数に転じ得る意識といえる。社会状況が変われば簡単に転換するだろう。
自由記述をみると、謝罪・補償に否定的な声として「いまさら、何が本当か、はっきり分からない」「いまさら過ぎる」「いまさら謝っても遅い」などと書かれ「いまさら」という記述が多かった。「慰安婦は過ぎたこと」「過去を制限なく掘り起こして問題を挙げるのはいかがなものか」と、過去や歴史から心理的な距離感を持っていると考えられる。
歴史的現実と自分を関係させる視点を持ち得ず、慰安婦問題を過ぎたことと捉えるのはなぜか。
「戦争に慰安婦問題はつきもの」「戦争なら許される」と、戦争時の行為について善悪は論じられないと考える記述が多い。被害者の苦難を人権侵害とみる視点が乏しかった。戦後の日本が戦争責任と向き合ってこなかったことが理由の一つにあり、若者だけではなく日本社会全体の問題といえる。
韓国の学生の自由記述からは、被害者の人権が侵害されたことを問題視していることがうかがえる。例えば「慰安婦の方々が現実にこうむった性暴力や被害をしっかりと受け止め、考えたい」という記述がそうだ。
日本では性暴力や性の尊厳が奪われるような人権侵害と闘っていくという理念が成り立っていない。慰安婦問題を人権侵害の問題という枠組みで捉え直すことが必要だろう。
◇「正しい情報を学びたい」
従軍慰安婦の調査研究に取り組む市民団体「『戦争と女性への暴力』リサーチ・アクションセンター」が日韓の大学生約4千人を対象に行った意識調査。慰安婦が集められた状況についての認識を日本の学生に聞いたところ、「日本軍が拉致・誘拐した」との回答が67.5%に上った。自由記述欄には「もっと詳しく知りたい」という記載が多く、学ぶ機会が求められている実態も明らかになった。
「慰安婦の女性たちはどのように集められたと思うか」という質問に対し、日本の学生で最も多かった回答は「日本軍が拉致・誘拐した」で67・5%。「日本軍の命令で民間業者たちが人身売買や詐欺などの手段で集めた」が53・7%で次いで多かった。慰安婦は日本軍が関与し、強制的に集められたと考える学生が多数を占めた。
「借金の肩代わりとして、親に売られた」が43・6%、「公(こう)娼(しょう)であり、自ら募集に応じた」は36・5%、「民間業者が日本軍とは関係なく、女性たちを集めた」は21・5%だった。
韓国での調査では、「日本軍の命令で民間業者が人身売買や詐欺などの手段で集めた」が73・0%、「日本軍が拉致・誘拐した」は49・8%だった。
慰安所での境遇については、「1日何十人もの相手をさせられることがあった」という回答が日韓ともに最も多く、日本は72・7%、韓国は90・9%。「日本軍の管理下で自由は厳しく制限されていた」(日本63・3%、韓国88・5%)「監禁され、逃亡することができなかった」(日本61・2%、韓国88・9%)と答えた学生も多かった。
一方で、「ほとんどの慰安婦はお金をもらい、かなりもうけた」(日本18・2%、韓国0・9%)「自由に外出したり、やめたりできた」(日本9・8%、韓国3・3%)という回答は、日韓ともに少なかった。
慰安婦問題の情報源として、日本の回答で最も多かったのはテレビで59・6%。韓国では、インターネットが最も多く67・1%だった。日本の大学生の自由記述欄には「知る機会がなく、何が事実か分からない」「正しい情報を学びたい」という記載も多く見られた。
◇学生の思いに応えよ
調査を実施した「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター共同代表の西野瑠美子さんは、慰安婦問題を学ぶ機会の重要性を指摘する。
『回答から、日本の多くの学生が拉致や誘拐という手段で被害者が集められたと考えていることが分かった。「慰安婦は売春婦だ」「公娼だった」「性奴隷ではない」という言説がインターネット上にあふれ、女性たちが集められた際の強制性が否定されている。国会でも強制性を否定する政治家の発言が相次ぐ社会状況でも、こうした言説に同調していない。
自由記述欄には、さまざまな意見が書かれ、学生の本音をうかがい知ることができる。印象的だったのは、「もっと詳しく知りたい」という回答が多かったことだ。
学生の多くが高校生のときに使った日本史や世界史の教科書には、慰安婦問題が丁寧に記述されていた。それでも、学ぶ機会を求めている。
こうした学生の姿勢とは異なり、安倍政権は女性の人権を侵害した慰安婦問題に向き合おうとしていない。2007年の第1次政権では強制連行を否定する閣議決定を行っている。
慰安婦を強制連行したとした「吉田証言」を朝日新聞が虚偽と判断したことで、強制連行自体が虚偽だったかのような言説が一部メディアで繰り返されているが、もともと吉田証言は河野談話でも歴史研究でも根拠として採用されてきたわけではない。
それなのに、慰安婦の記述がある高校の日本史教科書への攻撃が始まっており、教育現場の萎縮も懸念される。授業で取り上げられなくなれば、若い世代が学ぶ機会を狭めることになる。事実をもっと知りたいという学生の思いに応えることは日本社会の責務だ』
◇強制性認識が多数
慰安婦を集める際に強制性があったと認識している学生が多数派だったことに立教大の小野沢あかね教授は市民や研究者の成果を強調する。
『当事者の訴えを含めた発掘活動で明らかになってきた被害の実態についての情報が広がり、それが学生の認識に定着しつつあるといえる。
一方で「公娼であり、自ら募集に応じた」「ほとんどはお金をもらい、かなりもうけた」と回答する学生が相当数いた。これは、被害者に謝罪や補償をしなくてよいという認識を形成する有力な要素になっている。
慰安所は日本軍が設置し、意志に反して女性を集め、継続して性暴力を振るった。これは、当時でもやってはいけないことで、さまざまな法規に違反する。被害者がお金をもらっていたとしても、法に反することは変わらない。このことは、しっかり伝えていかなければならない』
◆調査の方法
「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンターが日韓の大学教員らを通じて調査用紙を配布し、回収する方法で行った。日本の大学生3007人と韓国の大学生1126人が対象。日本国内での調査は2013年7月から12月までに延べ122大学の授業で実施。韓国では13年3、4月に14大学で実施した。9月27日に都内で開いたシンポジウムで結果を公表した。