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2015/01/24

多様な意見はダメ、林博史ら朝日に要望


朝日新聞社に「良心的」な学者らが乗り込んで来た。同社が昨年末、謹んでお受けした第三者委員会の報告書について、一部の政治勢力の見解に沿った物だと苦情を言いに来たそうである。彼らは、報告書が出る前から自分たちにとって望ましい人間が委員に選ばれなかったことに不平を言っていた。ところで、彼らが言う「政治勢力」とは誰のことなのか。報告書は、朝日の吉田証言報道が国際社会に影響を及ぼしたかについて肯定的ではなかった。少なくとも彼らが目の仇にする右派の見解とは必ずしも一致していないのだが・・・。

林博史らは、朝日新聞が多様な意見を紙面で取り上げることを警戒している。つまりは、これまでの通りの朝日新聞でいてくれということらしい。朝日新聞は、こういう連中と縁を切らねば健全な報道機関には戻れないだろう。しかし、検証委員会からこういった「プロ」を排除するといった英断を下して見せた朝日だったが、写真入りで記事にするあたり、まだ未練があるようである。

第三者委報告書、研究者ら批判 慰安婦問題「本質否定」

慰安婦問題に取り組む研究者や弁護士らのグループ(呼びかけ人=林博史・関東学院大教授ら8人)が22日、朝日新聞東京本社を訪れた。朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会の報告書と、報告書を受け朝日新聞社が発表した「改革の取り組み」に対し「重大な問題がある」と批判。「人権侵害である慰安婦制度の研究成果を踏まえ、正面から報道してほしい」と申し入れた。報告書に対する編集部門の見解や今後の慰安婦報道のあり方について、文書で回答を求めた。

第三者委の報告書について「『強制性』を強調する朝日新聞の議論を『議論のすりかえ』と否定することは、慰安婦問題の本質を否定し、一部政治的勢力の見解にそった結論」と批判した。報告書を受けた朝日新聞社の対応について「女性の人権の視点を欠落させ、ただ多様な意見を紹介するのでは、むしろ問題の本質から目を背けようとするもの」と懸念を示した。

このグループは第三者委が発足した昨年10月、慰安婦問題に専門的な学識のある研究者らを委員に加えるよう求める要望書を朝日新聞社社長や第三者委の委員長あてに提出している。

朝日 2015.1.22

追記: 「テープもとらずメモもたいしてとっていなかった。あれできちんと報告できるのか」朝日新聞側の対応は冷たかったようである。

「慰安婦第三者委」報告に「重大な問題」――『朝日』に研究者ら申し入れ

日本軍「慰安婦」問題に取り組む研究者や弁護士ら8人が呼びかけ人となり1月22日午前、『朝日新聞』東京本社を訪れた。昨年12月22日に同社が発表した〈「慰安婦」報道に関する朝日新聞社第三者委員会報告書〉に「重大な問題」があるとして申し入れたのである。

午後の会見で林博史・関東学院大学教授は「国際法の専門家がいない」「委員が特定の政治的な主張をしている」「人権侵害された『慰安婦』が攻撃され否定されようとしている」などと指摘。このほか「アジア太平洋に慰安所は置かれた。『慰安婦』問題は日韓の問題だけという狭い視野で絞らないでほしい。女性の人権を侵害する制度をつくって日本軍が運営した責任が問われている」(大森典子弁護士)。「安倍(晋三)首相は国連安保理常任理事国になりたいと言ったが、国連の委員会で議論されている人権問題を無視している。人権の切り口からの批判を『朝日』は今後踏まえてほしい」(田中宏・一橋大学名誉教授)。「(慰安婦)当事者はまだ健在。聞き書きは続いている。第三者委はこの意味を考えてほしい」(内海愛子・恵泉女学園大学名誉教授)。「『慰安婦』問題について授業をすると新聞が取り上げ、文科省が動き大学の授業に介入するという回路が今できかねない状況」(中野敏男・東京外国語大学教授)。「『朝日』の紙面で吉見義明さんや林博史さんの研究がとりあげられなくなり、秦郁彦さんの研究やコメントが全面化することを懸念」(金富子・東京外国語大学教授)。歴史学研究会の久保亨委員長は「(慰安婦が)強制的になされたことは歴史学の常識」「一部のメディアや政府関係者の発言は憂慮に堪えない」と述べた。

また、「編集局の人の同席はかなわず、対応は広報の二人。テープもとらずメモもたいしてとっていなかった。あれできちんと報告できるのか」(大森弁護士)と『朝日』の対応も説明された。

2014/10/25

[資料]

「朝日新聞の慰安婦報道について検証する第三者委員会」についての研究者・弁護士による朝日新聞への申し入れ行動

記者会見のご案内

ご存知のように、朝日新聞が去る8月5-6日付で掲載した慰安婦問題の特集記事中、いわゆる「吉田証言」を虚偽と判断し、関連記事を取り下げたことを機に、日本軍慰安婦問題は、朝日新聞が作った捏造だとして、従軍慰安婦問題そのものを否定しようとするキャンペーンがメディアを中心に嵐のようになされています。
それに対して、朝日新聞の木村伊量社長は、9月11日、「吉田証言」が虚偽であったこととその訂正が遅きに失したことについて謝罪し、さらに、過去の報道の経緯や、国際社会に与えた影響、特集紙面の妥当性などを検証する第三者委員会を立ち上げるとしました。その第三者委員会による検証結果、および今後の朝日新聞の慰安婦問題に対する報道姿勢は国内外が注視するところですが、10月3日付紙面で、第三者委員会の内容が発表され、私たち研究者・弁護士は、慰安婦問題に対する十分な理解のないまま結論を出されることがないかと、危惧を抱きました。
委員には、慰安婦問題に関して学術的研究を重ねてきた研究者、法律家が入っておらず、国際人権機関に関わってきた法律家や人権NGOも入っていません。また有識者7人のうち男性が6人とジェンダーバランスにも欠いています。
そこで、急遽ですが、歴史や人権問題に関わる研究者・弁護士が中心となり、要望書を作成し、第三者委員会の第一回会合を前に、10月9日(木)午前、朝日新聞社木村伊量社長、および第三者委員会に申し入れることにしました。
同要望書には、10月8日現在、歴史、人権、女性問題、国際関係、メディア論などを研究する全国の研究者・弁護士100人以上から、賛同が寄せられております。
申し入れ後、以下のとおり記者会見を行いますので、ご取材くださるようお願いします。



時間:10月9日(木) 午後2時から
場所:衆議院第2議員会館 第8会議室 *通行証配布は、午後1時30分?
記者会見参加者:林博史(関東学院大学教授)  
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授) 
田中 宏(一橋大学名誉教授) 
大森典子弁護士
中野敏男(東京外国語大学教授)
金 富子(東京外国語大学教授)

*要望書、賛同者一覧などの資料は当日発表します。

以上

第三者委員会から排除された「慰安婦問題のプロ」 同志ねじ込もうと


過去の報道を検証する為に朝日新聞が立ち上げた第三者委員会。そこには、運動家たちの気に入る人間は含まれていなかった。運動家たちが同志と頼りにする朝日新聞であるが、「慰安婦問題のプロ」をメンバーに入れるほど愚かではない。そこで彼らは仲間を集めてアピールすることにした。大森典子は「第三者委員会は国際社会の観点を意識して議論するべきだ」と言い、林博史は「最新の研究成果を検証に盛り込むことができない」とケチをつけている。

大森典子

彼らの言い分はようするに、東電社員が福島第一原発から逃げ出したという(誤)報道を検証するのに、脱原発を意識して議論すべきだなどと言っているようなものである。こんな連中の言うことをNHKが報じる必要はあるのだろうか?彼らの為に大きなスペースを割いた神奈川新聞は彼らのシンパである。

朝日新聞の第三者委員会は国際社会の観点を意識して議論するべきだ。なのに、国際的な人権問題に関わった法律家や人権団体の専門家がいない。・・・7人の委員のうち女性が1人しかいないのもアンバランスだ。(大森典子

朝日新聞の慰安婦報道を検証する第三者委員会に、慰安婦問題の調査研究を正確に把握している専門家を加えることが必要だ。7人の委員はそれぞれの分野の専門家だが、慰安婦問題への研究業績のある人がいない。なぜ入れていないのか不思議に感じている。これでは最新の研究成果を検証に盛り込むことができない。(林博史

朝日が第三者委員会に要請したのは、〈1〉吉田証言をはじめとする過去の記事の作成経緯と、記事取り消しまでに長い時間を要した理由〈2〉記事を取り消した8月5、6日の特集記事の評価と、ジャーナリストの池上彰氏のコラム掲載を見送った問題への対応〈3〉国際社会に対する報道の影響・・・の3点。これに、女性メンバーが1人しかいないことがどう関係するというのか。「慰安婦問題のプロ」を排除した朝日新聞だが、彼らが「今後も慰安婦問題を報じ続けるとした朝日新聞の姿勢を評価した」と書くあたり、四面楚歌の中、それでもちょっぴり嬉しかったのかもしれない。7名の委員以外にも秦郁彦木村幹が専門家としてアドバイザーに指名されているのだが、排除された林らのグループは、彼らの存在を認めるつもりはないのだろう。

研究者らの団体、第三者委に要望 朝日新聞の慰安婦報道検証めぐり

朝日新聞が慰安婦報道について検証する第三者委員会を設置したことについて、慰安婦問題に取り組んできた研究者や弁護士の有志グループ(呼びかけ人=林博史・関東学院大教授ら7人)が9日、慰安婦問題について専門的な学識のある研究者らを委員に加えるよう求める要望書を提出した。要望書の宛先は、朝日新聞社の木村伊量社長と、同委員会の中込秀樹委員長。今後も慰安婦問題を報じ続けるとした朝日新聞の姿勢を評価したうえで、第三者委員会の女性委員を増やすことや、国際人権機関に関わった法律家の提言を聞くことを求めている。

朝日 2014.10.10



時代の正体(35) 歴史と向き合う 慰安婦報道問題

朝日新聞が旧日本軍の従軍慰安婦に関する一部記事を撤回した問題が波紋を広げている。研究者からは「慰安婦を強制連行したとする『吉田証言』が虚偽だったとしたことで『慰安婦問題自体が朝日の捏造(ねつぞう)だった』という誤った主張が広がっている」との懸念が示される。一方、自社報道の検証のため設置した第三者委員会のあり方にも疑問の声が寄せられ、「近年見つかった資料も踏まえて検証し、報道してほしい」との指摘がなされている。研究者らが開いた会見の発言を紹介する。

◆国際社会と認識にずれ 大森典子・弁護士

吉田証言に関する記事の取り消しは国際社会の慰安婦問題に対する認識に影響を与えていない。強制連行があったかは関心の外だからだ。国際社会は強制連行の有無ではなく、連行後に女性たちがどう扱われたかを重視している。

慰安所に入れられた女性は、日本軍の管理下で監禁状態にされた性奴隷であり、深刻な人権侵害を受けたことが問題であると受け止められている。

そうした認識に基づいてさまざまな人権機関が日本政府に対して謝罪と賠償を求める勧告を行い、米下院やEU議会でも決議がなされた。強制連行があったか否かが議論されてきた日本と国際社会の間には認識の大きなずれがある。

戦時下の性暴力については、国際社会で関心の高いテーマになっている。安倍晋三首相も9月に国連で行った演説で「女性に対する人権侵害のない世界にしていく。日本は紛争下での性的暴力をなくすため、国際社会の先頭に立ってリードしていく」と演説した。国際社会は慰安婦問題に対して、日本がどう対応していくのかを注視している。

朝日新聞の第三者委員会は国際社会の観点を意識して議論するべきだ。なのに、国際的な人権問題に関わった法律家や人権団体の専門家がいない。慰安婦問題がいくつもの国際法・国内法に違反し、国際人権機関で取り上げられていることを考えると、この顔触れは問題。7人の委員のうち女性が1人しかいないのもアンバランスだ

◆教育や研究、行いにくく 中野敏男・東京外国語大学大学院教授

いま、慰安婦問題を考えるため被害者を招いて話を聞く機会を設けようと思っている。どんな問題でも当事者から直接話を聞くことが重要だと考えるからだ。だが、朝日新聞が慰安婦に関する記事を取り消してから、社会の雰囲気ががらりと変わった。慰安婦に関する教育や研究自体が行いにくくなっている。

理由は、さまざまなバッシングが慰安婦問題そのものがなかったかのような誤った認識に基づいてなされているためだ。特に朝日が記事を取り消してから激しくなり、その矛先は慰安婦問題に詳しい研究者にも向けられている。

朝日の問題が持ち上がっていなかった4月にも兆候はあった。広島大の授業で慰安婦問題を扱うドキュメンタリー映画を題材にした授業が行われた。学外から「内容が一方的だ」と抗議が相次ぎ、インターネット上には教員への中傷が相次いだ。

こうしたことが続けば、慰安婦問題を研究し、教育することに抑制がかかりかねない。大学は真実を追究する場だ。

慰安婦問題そのものがなかったかのような言葉はあちこちで発信されており、このままでは事実に基づかない認識が学生の常識のベースになりかねない。

専門的な研究成果が世の中に知られていないのは残念だ。研究者ももっと事実を発信しなければならないと感じている。研究に基づいた正しい認識が社会に共有されてほしい。

◆検証に研究成果 反映を 林博史・関東学院大教授

吉田証言は虚偽だということは研究者の間では常識だった。だから報道が取り消されたことに何の驚きもない。

慰安婦の研究者は、河野談話が出された1993年以降もさまざまな資料を発掘し、集めてきた。日本軍や日本政府の文書、被害者の証言、兵士がつづった戦記や回想録、各国政府の文書もあり、その数は500点にも上る。

慰安婦に対して、暴力的な連行を示す文書が数多く発見され、慰安所に入れられた女性たちが深刻な性暴力にさらされ、重大な人権侵害があったことが明らかになっている。これらの研究は吉田証言に全く依拠していない。

重視すべきは、被害者が逃げることができず、毎日何十人もの相手をさせられたことで、人権の問題だ。

朝日新聞の検証記事では、20年来の研究で明らかになってきた事実への言及が断片的だった。慰安婦問題について正面から取り上げ、社としてどう考えているのか、積極的にきちんと示してほしい。そうしなければ、逃げ腰の報道になってしまう。

「慰安婦問題そのものが捏造」とする明らかな誤りの意見、「朝日バッシング」が続いている。こうした主張に毅然として対応し、誤解を生まないためにも、研究に基づく事実を報道してほしい。重大な人権侵害があった、ということを紙面で伝えるべきだ。

吉田証言は1982年に初めて朝日新聞で記事になった。30年前のことだけを検証するのでは不十分だ。

朝日新聞の慰安婦報道を検証する第三者委員会に、慰安婦問題の調査研究を正確に把握している専門家を加えることが必要だ。7人の委員はそれぞれの分野の専門家だが、慰安婦問題への研究業績のある人がいない。なぜ入れていないのか不思議に感じている。これでは最新の研究成果を検証に盛り込むことができない。

神奈川新聞 2014.10.21

2014/10/11

朝日報道検証第三者委員会

初会合の様子
本紙の慰安婦報道、第三者委員会7氏で検証 9日初会合

朝日新聞社の慰安婦報道について検証する第三者委員会の委員の方々が決まりました。弁護士や研究者、ジャーナリストら有識者7人で構成します。初会合は9日午後、東京都内で開きます。

委員長には、元名古屋高裁長官で弁護士の中込秀樹氏(73)に就任をお願いしました。委員は、外交評論家の岡本行夫氏(68)、国際大学学長の北岡伸一氏(66)、ジャーナリストの田原総一朗氏(80)、筑波大学名誉教授の波多野澄雄氏(67)、東京大学大学院情報学環教授の林香里氏(51)、ノンフィクション作家の保阪正康氏(74)の6人です。

また、朝日新聞が8月5、6日付朝刊に掲載した特集「慰安婦問題を考える」でもコメントを寄せていただいた現代史家の秦郁彦氏(81)のほか、神戸大学教授の木村幹氏(48)ら慰安婦問題に詳しい有識者をはじめ、委員会が必要と認めるテーマについて専門家をお招きし、ご意見やご提言をいただきます。

委員会では、これまでの朝日新聞の慰安婦報道をめぐる記事作成の背景や今回の記事取り消しにいたる経緯のほか、特集「慰安婦問題を考える」の妥当性、日韓関係はじめ国際社会への報道の影響などについて検証し、2カ月程度をめどに具体的な提言を盛り込んだ報告をまとめていただきます。

朝日 2014.10.2

朝日第三者委が初会合…慰安婦報道の影響検証

いわゆる従軍慰安婦問題を巡る朝日新聞社の報道を検証するため、同社が設置した第三者委員会(委員長=元名古屋高裁長官・中込秀樹弁護士)の初会合が9日、都内で開かれた。

今後、同社の報道が日韓関係を含む国際社会に与えた影響などについて、約2か月間をかけて検証を進めるとしている。

会合の冒頭、中込委員長は「(検証の結果)場合によっては、新聞社を解体して出直せということになるかもしれない」とあいさつ。その後は非公開で約1時間の会合が行われた。

会合では、「委員のみなさまへ」と題した木村伊量ただかず社長名の文書が配布され、その中で第三者委に検証してもらいたい事項として、〈1〉吉田証言をはじめとする過去の記事の作成経緯と、記事取り消しまでに長い時間を要した理由〈2〉記事を取り消した8月5、6日の特集記事の評価と、ジャーナリストの池上彰氏のコラム掲載を見送った問題への対応〈3〉国際社会に対する報道の影響―などを挙げた。

読売 2014.10.10

2014/10/05

朝鮮日報、一転して吉田証言ロンダリング


あちこちで吉田証言ロンダリングが始まっている。朝鮮日報も、「『吉田証言』が虚構であることは、河野談話が発表されるよりも前に、韓国で暴露されていた」などと今さら力説してみせるのだが、二年前、「日本政府の関係者は、この(吉田清治の)本をしっかり読んでもらいたい」と説教していたのは誰あろう朝鮮日報である(崔さんに指摘してもらうまで自分も忘れてた)。

(強制動員を認めた)河野談話を発表することになったのは、旧日本軍が慰安所の設置や慰安婦の動員に直接・間接的に関与していたことを証明する公書が見つかったからで、日本政府は慰安婦問題をこれ以上否定することはできなくなった・・・。つまりこう。チャ氏(仮名)は、痴漢をしたことを否認していたが、被害者と知り合いであることが明らかになったので、痴漢の事実を認めざるを得なくなった・・・。そんな理屈で有罪にされたらたまらない。

「国連は旧日本軍の慰安婦強制動員を取り上げた96年の報告書で吉田氏の証言に言及したが、同証言について『信ぴょう性をめぐって論争がある』という点も指摘している」・・・で、朝鮮日報が吉田証言の信憑性について疑問を呈したことは、これまでにあったのか?

慰安婦:吉田証言の「作り話」、25年前に韓国で暴露済み

済州島の住民の証言で「本を売るための作り話」が明らかに
河野談話の根拠にはならず

日本の与党・自民党や閣僚たちは、朝日新聞が1982年9月に掲載した吉田清治氏(故人)へのインタビュー記事を取り消したことで、「河野談話」の根拠が崩れたと主張している。吉田氏は自らの体験を基にしたとして、1977年に『朝鮮人慰安婦と日本人』、83年に『私の戦争犯罪』という本を出版した。

だが日本政府は、慰安婦の強制動員を認め謝罪した河野談話(1993年8月)を作成する過程で、吉田氏の証言は参考にしなかったという。

同年8月、元慰安婦の金学順(キム・ハクスン)さん(故人)が初めて公の場で証言したのを皮切りに、韓国はもとより東南アジアでも被害者の証言が相次いだ。

「吉田証言」が虚構であることは、河野談話が発表されるよりも前に、韓国で暴露されていた。済州島の地元新聞は89年、吉田氏が本の中で「女性たちを(慰安婦として)狩り出した」と言及した地域の住民の証言を基に「吉田氏が金もうけのため、でたらめな内容の手記を出版した」と批判した。

日本の政治家たちは、国連や米国で慰安婦問題が提起されたことについても、朝日新聞の吉田氏へのインタビューのせいだという主張を繰り広げている。国連は旧日本軍の慰安婦強制動員を取り上げた96年の報告書で吉田氏の証言に言及したが、同証言について「信ぴょう性をめぐって論争がある」という点も指摘している

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員

2014/08/28

[資料]

「軍関与示す資料」 本紙報道前に政府も存在把握

〈疑問〉朝日新聞が1992年1月11日朝刊1面で報じた「慰安所 軍関与示す資料」の記事について、慰安婦問題を政治問題化するために、宮沢喜一首相が訪韓する直前のタイミングを狙った「意図的な報道」などという指摘があります。

この記事は、防衛庁防衛研究所図書館所蔵の公文書に、旧日本軍が戦時中、慰安所の設置や慰安婦の募集を監督、統制していたことや、現地の部隊が慰安所を設置するよう命じたことを示す文書があったとの内容だった。

慰安婦問題は90年以来、国会で繰り返し質問された。政府は「全く状況がつかめない状況」と答弁し、関与を認めなかった。朝日新聞の報道後、加藤紘一官房長官は「かつての日本の軍が関係していたことは否定できない」と表明。5日後の1月16日、宮沢首相は訪韓し、盧泰愚(ノテウ)大統領との首脳会談で「反省、謝罪という言葉を8回使った」(韓国側発表)。

文書は吉見義明・中央大教授が91年12月下旬、防衛研究所図書館で存在を確認し、面識があった朝日新聞の東京社会部記者(57)に概要を連絡した。記者は年末の記事化も検討したが、文書が手元になく、取材が足らないとして見送った。吉見教授は年末年始の休み明けの92年1月6日、図書館で別の文書も見つけ、記者に伝えた。記者は翌7日に図書館を訪れて文書を直接確認し、撮影。関係者や専門家に取材し、11日の紙面で掲載した。

政府の河野談話の作成過程の検証報告書によると、記者が図書館を訪れたのと同じ92年1月7日、軍関与を示す文書の存在が政府に報告されている。政府は91年12月以降、韓国側から「慰安婦問題が首相訪韓時に懸案化しないよう、事前に措置を講じるのが望ましい」と伝達され、関係省庁による調査を始めていた。

現代史家の秦郁彦氏は著書「慰安婦と戦場の性」で、この報道が首相訪韓直前の「奇襲」「不意打ち」だったと指摘。「情報を入手し、発表まで2週間以上も寝かされていたと推定される」と記している。一部新聞も、この報道が発端となり日韓間の外交問題に発展したと報じた。

しかし、記事が掲載されたのは、記者が詳しい情報を入手してから5日後だ。「国が関与を認めない中、軍の関与を示す資料の発見はニュースだと思い、取材してすぐ記事にした」と話す。また、政府は報道の前から文書の存在を把握し、慰安婦問題が訪韓時の懸案となる可能性についても対応を始めていた。

記事で紹介した文書の一つは、陸軍省副官名で38年に派遣軍に出された通達。日本国内で慰安婦を募集する際、業者が「軍部の了解がある」と言って軍の威信を傷つけ、警察に取り調べを受けたなどとして、業者を選ぶ際に、憲兵や警察と連絡を密にして軍の威信を守るよう求めていた。

西岡力・東京基督教大教授(韓国・北朝鮮地域研究)は著書「よくわかる慰安婦問題」で「業者に違法行為をやめさせようとしたもの。関与は関与でも『善意の関与』」との解釈を示した。

これに対し、永井和・京都大教授は「善意の関与」との見方を否定する。永井教授が着目するのは、同時期に内務省が警保局長名で出した文書。慰安婦の募集や渡航を認めたうえで、「軍の了解があるかのように言う者は厳重に取り締まること」という内容だった。

永井教授は、業者が軍との関係を口外しないよう取り締まることを警察に求めたものと指摘。そのうえで、朝日新聞が報じた陸軍省の文書については、著書「日中戦争から世界戦争へ」で「警察が打ち出した募集業者の規制方針、すなわち慰安所と軍=国家の関係の隠蔽(いんぺい)化方針を、軍司令部に周知徹底させる指示文書」との見方を示している。

92年1月11日の朝日新聞記事に関し、短文の用語説明で、慰安婦について「主として朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる」と記述したことにも、「挺身隊」と「慰安婦」を混同した、などの批判がある(両者の混同については「『挺身隊』との混同」で説明)。慰安婦の人数に関しても議論があるが、公式記録はなく、研究者の推計しかない(「慰安婦問題とは」の中で説明)。

■読者のみなさまへ

記事は記者が情報の詳細を知った5日後に掲載され、宮沢首相の訪韓時期を狙ったわけではありません。政府は報道の前から資料の存在の報告を受けていました。韓国側からは91年12月以降、慰安婦問題が首相訪韓時に懸案化しないよう事前に措置を講じるのが望ましいと伝えられ、政府は検討を始めていました。

朝日 2014.8.5