2012/01/02

天に唾した安倍元首相



言いたくはないが、外交敗北というべきは2007年のアメリカ下院決議の決定的な呼び水となった安倍の失言である。空母数隻を失ったに等しい安倍の失言に比べれば、日本大使館前に慰安婦像を建てられた事など物の数ではない。

運動家たちはアメリカで勝ち取った下院決議を御旗に各国で決議採択の成功に結びつけたし、国内でも慰安婦支援団体が地方自治体の議会を説得するのに利用している。アメリカの韓国系住民の政治意識を目覚めさせもした。国家イメージの損失を考えてもそのダメージは大きかったはずだ。

――重要な年となる2012年に向け、日本国内の懸念材料は?

安倍:本来ならば日米韓が緊密に連携し、中国を巻き込んで北朝鮮を安定化させるべきなのに、民主党政権は慰安婦問題で韓国ともめている。ソウルの大使館前に慰安婦碑が建てられたことは民主党の外交敗北であり、彼らがいかに無能であるかを証明している。
2012年は北朝鮮だけでなく米韓中など、この問題の当事国で指導者の交代や大統領選挙がある。大きなパラダイムシフトを迎える年、外交認識が根本的に間違っている民主党政権に日本の国益を守れるのか。今一度、外交とは何かを真摯に考えるべきだ。

SAPIO2012年1月11・18日号