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2012/06/21

変化に取り残された東郷和彦



自分は東郷和彦の考えに概ね賛成で来たし、アメリカの議員たちと話し合いを重ねた彼が一番アメリカでのこの問題の受け止められ方を理解していると思っている。しかし、ここに来て、少し考え方にズレが生じてきた。

「世界の潮流は...現在の視点から見ている。『自分の娘が慰安婦にされていたら』とのみ考える」

これは彼が著書の中でも主張して来たことで、基本的にはその通りだと思う。そして、それを理解できなかったデリカシーのない日本人が、事態を悪化させてきた。国際情報戦には勝つ為には「謙虚な姿勢の中から、真実を浮かび上がらす他の策はない」という東郷の主張にも賛成である(徹底的な再調査をして、英語で公開すればいい)。

しかし、アジア女性基金の延長上に新しい制度をつくる他ないというのはどうだろう?「道義的観点から謝罪と償いを行う」・・・韓国以外、どこの国もそんな事は要求していない。例えばフィリピンではこんな感じだ。その韓国政府も市民団体の圧力に押されてそう言わざるを得なくなっているだけで、時間が経てばガスは抜ける。

「今度は、政府の予算を使って償い金を払うことができるはず」・・・ここまで来ると、もうついて行けない。空襲被害者援護法や日本人慰安婦を差し置いて、いったい幾ら血税を特定のグループに流しこめば気が済むのか。おまけに挺対協は、そのお金を(自分たちの名前で)アフリカなどに配ると言っているのである(蝶々基金)。

先日の騒動で、慰安婦問題が再び海外から注目を集めた。「ニューヨークタイムズに...『慰安婦の碑、昔からの憎しみを深める』と題して大々的に報道された。...全米のジェンダー活動家、人権擁護派、そして日本関係者の間に、本件は再び知れ渡ることとなった」「アメリカの友人たちは...『慰安婦の真実』の広告が、収まりかけていた火種を爆発させ、結局下院の決議に突き進んでいった経緯を思い返しているようである。彼らは、『なぜ同じ間違いをくりかえすのか』と、日本関係者の対応に絶望感を隠していない」と東郷は言う。

説得には(良い)材料が不可欠
07年より状況は好転しているはず

日本人は自ら墓穴を掘っているという印象は確かにある。しかし、ジャパン・プローブのコメント欄に見られたように、少しずつだが状況は変化している。東郷が2007年に説得に使った理屈は古い。大きいのは、2007年以降、欧米(豪)を拠点に活動している学者らによって英語で書かれた慰安婦騒動に批判的な本が複数発売されているという事実。こういった本は、国際社会の理解を得る上で武器になるはずだ。東郷はその辺を織り込んで考え直した方がいい。

2007年まで東郷の分析は正確だった。しかし今は時代の変化について行けていない。


2012年、日本をとりまく各国は政権交代の年であり、台頭する中国とアジア太平洋に軸足を移しつつあるアメリカとの間で、日本外交は厳しいかじ取りを迫られる。


その中で、近隣国として地政学的条件を同じくし、民主主義・市場経済・ポップカルチャーを共有する韓国ほど今、日本が連携すべき国はない。歴史問題はあっても、李明博政権との間で、日韓両国は共通の絆を求めて努力してきた。

その両国関係に、慰安婦問題をめぐって異変がおきている。2011年8月、韓国憲法裁判所から、韓国政府は慰安婦の権利をまもっていないという判決がでた。12月18日に京都で行われた日韓首脳会談で、李明博大統領は全面的に本件を提起、首脳会談は緊迫した。北朝鮮の金正日総書記の死去によって本件は日本のマスコミから消えたが、事態の深刻さは深まっている

慰安婦問題の発端はすぐれて、日韓問題であった。20年前、冷戦後の新世界の中で、元慰安婦が謝罪と償いを求めて発言を始め、金永三大統領が宮澤喜一総理に問題を提起した。日本側は、1993年河野談話により謝罪し、「アジア女性基金」の償いの活動を誠意をもって行った。

しかし、1965年の日韓正常化の際、戦争に関するすべての問題は法的に決着積みという立場をとっていた日本政府は、償い金は民間拠出とした。韓国側は、日本が法的責任をとっていないとして、和解を拒否、問題は決着しなかった。

1990年代後半から舞台は国連の人権委員会における日本批判と、アメリカの国内での謝罪要求に移った。2007年安倍総理の「狭義の強制性はなかった」という発言がアメリカで大問題となり、ついに、下院本会議の日本非難決議となった。

それから4年、国際場裏で鎮静化していたかに見えた問題が、再び韓国で爆発したのである。

私は、アジア女性基金に基づく償いを受け入れようとした一部慰安婦を、国賊扱いした韓国側のやり方に強い批判をもっている。

けれども、欧米を中心とする世界の潮流は、慰安婦制度を当時の視点からではなく、「女性の尊厳」という現在の視点から見ている。「自分の娘が慰安婦にされていたら」とのみ考える。

アメリカでは今、在米韓国人により、慰安婦問題とユダヤ人虐殺をしたナチスのホロコーストは同質であるという運動が始まっている。韓国では大きく報道されているこの動きは、日本のマスコミでほとんど報道すらされない。

もとより、慰安婦制度は、「レイプ・センター」でもなければ、ましてや、ホロコーストではない。だが、国際的情報戦には勝たねばならない。そのためには、謙虚な姿勢の中から、真実を浮かび上がらす他の策はない。

解決の道筋は、一つしかないと思う。「アジア女性基金」の延長上に新しい制度をつくる。日本政府は道義的観点から謝罪と償いを行う。2007年の最高裁判決で日本の法廷では慰安婦問題を有罪にしないという判例がでている。日本政府は、今度は、政府の予算を使って償い金を払うことができるはずである。

(2012年1月30日『京都新聞夕刊』掲載)

<現在の視座から>

またたく間に半年近い時間が流れる中、事態は、更に悪い方向に流れているように見える。
まず日韓間の話し合いは、一向に進展しない。少なくとも、そう報道されている。

5月13日、北京で開催された日中韓首脳会議の際に開かれた野田総理と李明博大統領との会談で、進展は伝えられなかった。総理が「大統領と知恵をしぼっていきたい」と発言したと報ぜられ(産経新聞、5月14日)、「双方とも腫物に触るように深い議論を避けた」と論評されたのみである(朝日新聞、5月16日)。

一方アメリカでは、ひと騒ぎ持ち上がってしまった。

ニュージャージー州パリセイズパーク市の図書館横に、「日本帝国軍部に拉致された20万以上の女性を悼む」という慰安婦の碑が建てられた。2010年秋のことである。ところが本年5月1日、日本のニューヨーク総領事が市長を訪問、河野談話による日本政府の立場を説明、桜の寄贈などについて述べたあと、やんわりとこの碑の撤去を要請。「耳をうたがった」市の側は、これを拒否。5月6日には、自民党の議員4名が同市を訪問、明確に碑の撤去を要請、市の側は拒否。日本では、朝日、産経などが地味に扱っているこの件は、5月18日ニューヨークタイムズに写真入りで「慰安婦の碑、昔からの憎しみを深める」と題して大々的に報道された。いまや全米に、少なくとも、全米のジェンダー活動家、人権擁護派、そして日本関係者の間に、本件は再び知れ渡ることとなった。

この問題について何度も議論をしてきた私のアメリカの友人たちは、2007年「狭義の強制性なし」との安倍総理発言で全米の世論が硬化したあと、ワシントンポストに掲載された「慰安婦の真実」の広告が、収まりかけていた火種を爆発させ、結局下院の決議に突き進んでいった経緯を思い返しているようである。彼らは、「なぜ同じ間違いをくりかえすのか」と、日本関係者の対応に絶望感を隠していない。

5月の日韓首脳会談で、外務省の知恵者が何も策を講じていなかったとは、いささか信じがたいことである。決して事前に外にリークすることなく、水面下で日韓の話し合いが進捗し、合意に至ることを願うのみである。

魚の目 2012.6.20

2012/06/13

挺対協は「人道的解決」を許さない



両国の関係者(政治家や「市民」)は立法解決を諦めたようでもあり、依然建前を放棄出来ないようでもあり・・・。

李大統領 日本に慰安婦問題の人道的措置求める

【ソウル聯合ニュース】李明博(イ・ミョンバク)大統領は11日、青瓦台(大統領府)で国内外のメディアとの共同インタビューに応じ、旧日本軍の従軍慰安婦や植民地時代に強制徴用された被害者に対する補償問題について、日本政府に人道的な措置を取るよう促した。

李大統領は、昨年12月に京都で野田佳彦首相と会談した際、従軍慰安婦問題について提案したにもかかわらず、現在まで少しも進展していないと指摘。「日本政府は法律的でなくとも人道主義的な措置を必ず取るべき」と日本の対応を促した[...]

中央日報 2012.6.11

いずれにしろ、挺対協の方は相変わらずである。国家賠償!の一点張り。彼女たちは、老い先短いハルモニの代わりにその金を管理する気でいるのだから、いろいろ勘ぐられても仕方ないだろう。彼女たちの強硬な態度に気圧され、韓国政府も硬直した態度を崩せない。改めて「慰安婦問題の解決」の最大の障害は彼女たちなのだと思う。こうして時間だけが経っていく。

法的責任追及変わらず 慰安婦問題で韓国外交当局

韓国外交通商省報道官は12日、旧日本軍の従軍慰安婦問題に絡み、日本政府が国家の責任を認め賠償などの法的措置を取らなければならないとの韓国政府の立場は「全く変わっていない」と述べた。

同問題では、李明博大統領が11日、メディアの取材に日本が元慰安婦の女性に「法的なものでなくとも人道的な措置を必ず取らねばならない」と発言。大統領が3月に続いて「人道的措置」に言及したことで、日本に賠償を求める従来の立場を変え、法的に解決済みとする日本政府の立場に歩み寄る意図があるのではないかとの見方が出ている。

報道官発言はこうした見方を否定する内容。昨年ソウルの日本大使館前に慰安婦問題を象徴する少女像を設置した市民団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」は、あくまで賠償を求めるべきだとして大統領への抗議を表明、反発している。(共同)

産経 2012.6.13

2012/04/21

「強制」に換えて「人道」で決着を狙う?日韓両政府


かつて韓国内の世論に手を焼いた日本政府と韓国政府は、「(強制連行でなく)強制性を認める」という妥協策で慰安婦騒動を切り抜けようとした。かくして産まれたのが河野談話である。しかし結果的に、日本側は韓国政府に裏切られて終わる。

石原信雄元官房副長官は、後にこのように振り返っている。

「われわれはあの(河野)談話によって、国家賠償の問題が出てくるとは全く想定していなかった。当然、当時の韓国側も、あの談話をもとに政府として要求するということはまったくありえなかった。(中略)慰安婦問題はすべて強制だとか、日本政府として強制したことを認めたとか、誇大に宣伝して使われるのはまことに苦々しくて仕方ない。もちろん、こういうものをいったん出すと悪用される危険はある。外交関係とはそういうものだから。だけど、あまりにもひどいと思う」 阿比留瑠比ブログ

あれから20年が経った。日本政府と韓国政府は、今度は「強制(性)」に換えて「人道的解決」というキーワードで問題を切り抜けようとしているようだが、外交の冷酷さがどういったものか、日本政府は痛い思いをして学んだのではなかったのか?

朝日新聞は「日本と韓国--人道的打開策を探ろう」と、早くもこの新しいキーワードに大乗り気である。「強制性」はもう古い、これからは「人道的解決」がトレンド・ワードであると、朝日新聞もウキウキが止まらない様子。この一連のニュースを見ても、慰安婦騒動がいかに日韓外交の障害になっているか分かりそうなものだが、朝日新聞はあまり良心の呵責は感じていないのではないか?

なお、TBSによると、野田首相の信書には慰安婦に関する内容は含まれていなかったらしい。

野田首相が韓国大統領に親書
慰安婦問題で

韓国訪問中の斎藤勁官房副長官は20日、ソウルでの韓国国会議員との会合で、旧日本軍の従軍慰安婦問題などに言及した野田佳彦首相の李明博大統領宛ての親書を持参したことを明らかにした。

斎藤氏は親書の目的について、5月に北京で開かれる日中韓首脳会談の成功を図るためと述べた。

同氏は記者団に、具体的な内容は把握していないと説明。同日中に韓国大統領府高官に親書を渡すと話した。

共同 2012.4.20
「慰安婦」問題で検討継続、韓国大統領あて首相親書

【ソウル=加藤達也】韓国訪問中の斎藤勁官房副長官は20日、青瓦台(大統領府)で千英宇(チョン・ヨンウ)外交安全保障首席秘書官と会談、いわゆる「従軍慰安婦」をめぐる問題について両国で何ができるかを引き続き検討していくことで一致した。

斎藤氏は同日午前にはソウルの国会議事堂内で韓国の与野党議員と懇談。この際、「野田首相の指示で(大統領に)親書を届けるために来た」と説明した。その後、記者団の取材に対し、親書について「(人道的な見地からの慰安婦問題解決を目指す)思いが込められたものとして大統領に伝えたい」と述べたが、内容については「具体的には把握していない」とした。

野田首相は5月の日中韓首脳会談で北朝鮮の挑発阻止や3カ国の経済協力推進などを協議する予定だが、日韓関係は李大統領が慰安婦問題の解決を迫った昨年12月の会談以来、冷えこんだままだ。親書は野田首相が日韓関係改善に努力している姿勢を強調し、3カ国会談での成果につなげる狙いとみられる。

産経 2012.4.20
慰安婦問題で李大統領あて首相親書 斎藤官房副長官明かす


【ソウル=加藤達也】韓国訪問中の斎藤勁官房副長官は20日午前、ソウルの国会議事堂内で韓国側国会議員団と懇談し、野田佳彦首相から李明博大統領にあてた親書を持参したことを明らかにした。

官房副長官を招請した韓国与野党の議員団体「韓日平和議員会議」所属の議員によると、斎藤氏は野田首相の特使として訪韓。親書はいわゆる「従軍慰安婦」問題など日韓間の懸案について言及したものだという。

一方、斎藤氏は親書の内容について「具体的には把握していない」とした上で、5月に北京で開かれる日中韓首脳会談に向け、成功を図るためのものだと述べた。

斎藤氏は20日午後に青瓦台(大統領府)を訪れ、高官に親書を渡す予定という。

産経 2012.4.20

韓国大統領宛てに野田首相の親書

韓国を訪問した内閣官房副長官が20日、イ・ミョンバク大統領に宛てた野田総理の親書を大統領府に渡しました。

韓国を訪問した斉藤勁内閣官房副長官は20日、イ・ミョンバク大統領に宛てた野田総理の親書を大統領府に渡したことを明らかにしました。

「日中韓の、5月に北京で会談がありますから、3か国、また2か国間を大切にしたい、こういうことでございます。(Q.慰安婦については?)親書は親書で渡したわけですから」(斉藤 勁 内閣官房副長官)

斉藤副官房長官は、親書について、来月、北京で行われる日中韓首脳会談を成功させるため、日本から持ってきたものだと説明しました。

12月に京都で行われた日韓首脳会談では、イ・ミョンバク大統領が「慰安婦の賠償請求権問題」に言及、両国の懸案事項になっています。

韓国大統領府によると、親書の中に「慰安婦」に関連する内容は含まれていなかったということですが、親書を手渡す際には、「日本も人道的に解決したいと思っている」との考えが示されたということです。

TBS 2012.4.20

2012/03/23

韓国の主張を拠り所とする朝日



もはや事実関係を争う気を失った朝日新聞は、韓国の主張に寄り添い日本国民の情に訴えて道理を曲げてもらうしかない。昨年12月の社説で、人道的解決しかない、日韓基本条約締結時には想定されていなかったと言い訳していた朝日新聞だが、今回のイ・ミョンバク大統領の主張とそっくり。もっとも、それを報じているのが朝日新聞その人であるが・・・。

朝日新聞はかつて吉田証言に依り吉見義明(理論)に依り、それぞれ神通力が失せてくると次に拠り所とする対象を探す。そうして最後にたどり着いたのが、韓国政府の主張である。その韓国政府の要求も、本音から出たものではなく、慰安婦支援団体の圧力に抗しきれず苦し紛れに言っているに過ぎないことが明白なのに、である。

「(日本政府は)勇気ある決断をすべきだ」 と言うイ・ミョンバク大統領。ではなぜ貴方は、その人道問題を任期切れの寸前の今まで、日本政府に対して取り上げて来なかったのか?

韓国ミサイル射程延長へ 李大統領「米と協議」

韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は21日、大統領府で朝日新聞などと会見した。李大統領は北朝鮮が衛星の打ち上げとしてミサイル発射を予告した問題に関連し、制限されている韓国の弾道ミサイルの射程を延ばす方向で米国と協議に入っていることを初めて明らかにした。

旧日本軍慰安婦問題では、「法律問題より人道的な問題として解決すべきだ」と述べた。日韓の間では元慰安婦が賠償などの請求権を持つかどうか法的な解釈に違いがあるが、こうした違いにこだわらず、人道的見地での解決を日本側に呼びかけたものだ。

ソウルで今月26、27の両日、核保安サミットが開催されるのを前に、朝日新聞のほか韓国の東亜日報など6社と共同会見し、書面でも回答を寄せた。

韓国の弾道ミサイルは、「米韓ミサイル指針」により、射程が300キロに制限されている。だが、北朝鮮は射程300~500キロのスカッドに加え、同1300キロのノドンを実戦配備。長距離弾道ミサイルの発射も繰り返している。このため、韓国で射程制限の緩和を求める声が出ていた。


李大統領は「北の核攻撃やミサイルの脅威に備えるため、米との共同戦略上、適切な射程に延ばす協議をしている。近い将来、一致できるだろう」と語った。具体的な射程には言及しなかったが、「北のミサイルは(韓国南部の)済州島まで来る」とし、北朝鮮の大部分に届く距離が必要との認識を示した。

慰安婦問題では韓国憲法裁判所が昨年、個人請求権の問題を韓国政府が解決しようとしないのは「不作為で違憲」としたことを受け、韓国が日本に協議を呼びかけているが、日本側は「請求権問題は解決済み」として応じていない。

李大統領は、日本政府の立場の根拠になっている1965年の日韓請求権協定の締結時には「慰安婦問題は明らかになっていなかった」としつつ、元慰安婦らの人道支援を最優先にすべきだとの認識を初めて示した。「(日本政府は)法的な問題に発展しないかと考えているようだが、それは自らを縛ることだ。勇気ある決断をすべきだ」とも述べた。(ソウル=箱田哲也)

朝日 2012.3.22

2012/03/10

日本政府また慰安婦支援団体に譲歩?--野田政権



韓国に「歴史の真実に顔を背けない本当の勇気と知恵が必要だ」と言われたら、歴史の事実とは何かと問い返すか、あるいは歴史の事実が明らかになったとして韓国社会にそれをを受け入れる勇気があるのか、と詰問してもいいはず。それが、「人道的見地から知恵を絞ろう」とは、人がいいを通り越してこの国は異常である。

外務事務次官だけではない。最近挺対協の本部を訪れた日本大使館の参事官も、人道的解決を模索するという野田首相の発言を「我々は重く受け止めている」と語ったそうである(先月来日した関係者の話)。秦郁彦が嫌な予感がすると言っていたが、その通りになるかもしれない。

慰安婦解決へ根本的措置を 佐々江外務事務次官に韓国

韓国を訪問した佐々江賢一郎外務事務次官は9日、ソウル市内で、安豪栄外交通商省第1次官と会談した。同省によると、安氏は元従軍慰安婦問題の解決が急がれることを強調し「被害者が納得できる根本的な措置」を日本政府に求めた。謝罪と賠償などを促したとみられる。

佐々江氏は、昨年12月の日韓首脳会談で野田佳彦首相が「人道的見地から知恵を絞ろう」と表明したことに触れながら「日本政府として可能な解決策を検討している」と説明。安氏は、日韓が真のパートナーシップ関係を築いていくには「歴史の真実に顔を背けない本当の勇気と知恵が必要だ」とも強調した。

日韓の経済連携協定(EPA)締結交渉再開や北朝鮮の核問題でも意見交換した。(共同)

産経 2012.3.9

対して中央日報日本語版は、日本また拒否というタイトルをつけて報じた。もちろん佐々木外務事務官は「法的に(は)終わった」と言っただけで、野田首相の言う人道的解決の可能性に含みを持たせている。法的に解決しているのに、友人として特別の配慮をしようという日本と、それを有難がるどころか、非難する韓国。

日本、慰安婦解決要求をまた拒否

日本軍慰安婦問題を早期に解決してほしいという韓国政府の要求を日本がまた拒否した

安豪栄(アン・ホヨン)外交通商部第1次官は9日、ソウル都染洞(ドリョムドン)外交部庁舎で、日本の佐々江賢一郎外務次官と会談し、「韓日両国が真のパートナーになるには歴史の真実を無視しない勇気と知恵が必要だ」と述べ、日本軍慰安婦問題の根本的解決を促した。佐々江外務次官は「韓日請求権協定、すなわち法的に終わった問題」と答えた。

2011/12/25

「そういう時期に来ている」 朝日新聞の脂汗



日韓友好を願い慰安婦問題に心を痛めている人は、朝日新聞のこの社説を読んだ時、どう思っただろう。心を痛めている人というのは、慰安婦騒動に狂奔している人々の事ではない。四大紙はどこも、もう大概にした方がいいと思っている。その雰囲気は毎日新聞の社説に顕著であった。

「政治指導者は...冷静にことにあたる努力を続けねばならぬ」などと説教調の朝日新聞も、相当気に病んでいるのだろう。なんといっても朝日はこの騒動に火をつけた当事者である。子供の嘘をきっかけに隣村同士で20年に渡る諍いが始まり、仲直りのきっかけがつかめない。それを原因を作った当人が気を揉んでいるという図である。池田信夫は朝日新聞が訂正して説明するべきだと言うが、今さら朝日新聞が全てを告白した所で、天井まで火が回っては手遅れである。

「韓国の人たちに知ってほしい点もある」と朝日新聞は言う。日本側の説明にも耳を傾けて欲しい・・・20年前の朝日新聞にそう言うだけの理性があればこんな事にはならなかったのである。当時の朝日は、騒動を煽りに煽って大火事にしたのである。そしてその結果、日韓両政府はまともに話も出来ない状態である(大統領は、首脳会談の57分のうち45分間、慰安婦問題について喋り続け、韓国民の期待に応えねばならなかった)。

それでも朝日新聞は相変わらず奇麗ごとを並べる。

「李大統領は...なぜそう主張するのか、歴史的にわからないではない」・・・イ・ミョンバクも本心ではこんな事は言いたくないのである。慰安婦騒動は、良心的日本人や朝日新聞が煽った結果、韓国の大統領でもどうしようもないレベルまで達してしまったのである。その事は、朝日新聞自身重々承知のはずだ。

「尊厳は侵されて報われぬままという怨念が...」・・・白々しいのである。除幕式のこの興奮を見よ。こんな光景はワールド・ベースボール・クラシックで日本を破って優勝でもしない限り見られないだろう。「アジア女性基金が償い事業をした」・・・それには民族別で再多数であったと思われる日本人が対象として含まれていない事を、朝日はどう考えているのだ?

〆の部分では、もうなりふり構わず何とか文章の形に纏めようとしている。人間は過度に緊張したり、追い詰められると、話をしている自分でも馬鹿らしくなるくらい支離滅裂な事を喋っている時がある。それでも何か喋らなければならない。聴衆が引いていると分かっていても、とにかく何とか辻褄を合わせようとするが、最後まで支離滅裂のまま終わってしまう。そういう経験をした人も多いだろう。朝日新聞も、今まさにそんな思いでいるのだろう。

「野田首相は李大統領との会談で『人道主義的な見地から知恵を絞っていこう』と語った。問題を打開する糸口は、ここにあるのではないか。65年の協定で解決したかしていないかではなく、人道的に着地点を見いだしていく。それは行政ではなく、政治の仕事だ。日韓の政治がともに探る。そういう時期にきている」


「そういう時期に来ている」というのは、何をもって判断したのか?アジア女性基金は時期尚早だったとでも言うのか?朝日新聞は、日韓基本条約には慰安婦問題は含まれていない、の一本で行くと決めたようだ。そういう事は、日本人慰安婦が何らかの補償の対象になってから言うべきだ。朝鮮籍、台湾籍の旧軍人属、被爆者が日本人並の補償を受けられないというなら、それは日本政府の責任ではないが、同情して何らかの方策をと考えるのは理解できる。しかし、そもそも(日本人)慰安婦自体なんの補償の対象にもなっていないではないか。

最後は、これは「政治の仕事だ」と開き直っている。朝日新聞自身も分かっているはずだが、朝日が言っているのは、人道ではなく政治的着地(妥協)点の事である。



日本と韓国―人道的打開策を探ろう

野田首相と李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領との首脳会談は、これまでとうって変わり、元慰安婦の問題をめぐる重い言葉が交わされた。

個人が受けた被害にどう向きあうかは、歴史認識や領土問題とともに、双方の国民の感情に直接響きあう。ナショナリズムにも流されやすい。

それだけに政治指導者は、互いに信頼を築き、冷静にことにあたる努力を続けねばならぬ

李大統領は日本との公式会談の場で初めて、元慰安婦問題を論じた。「日本政府が認識を変えれば直ちに解決できる」と訴え、「誠意ある温かい心」に基づく対応を求めた。

なぜそう主張するのか、歴史的にわからないではない

日本政府は、1965年の国交正常化時の協定で完全解決したとの立場を一貫してとる。野田首相もそう主張した。

けれども、正常化交渉の当時に想定していなかった問題が後になって出てきた。元慰安婦はその典型的な例だ。

今年、韓国政府は憲法裁判所から、日本への個人賠償請求を「交渉しないのは憲法違反」と断じられた。米国との貿易協定や政治腐敗をめぐる政権批判も強まるいま、元慰安婦問題の進展を迫る世論を無視できない。そんな事情もあった。

ただここで、韓国の人たちに知ってほしい点もある

国交正常化で日本が払った資金を、当時の朴正熙(パク・チョンヒ)政権は個人への償いではなく経済復興に注いだ。それが「漢江の奇跡」といわれる高成長をもたらした。

また、元慰安婦への配慮がなかったとの思いから、日本は政府資金も入れて民間主導のアジア女性基金が償い事業をした。

この事業は日本政府の明確な賠償でないとして、韓国で受け入れられなかったのは残念だったが、当時の橋本首相ら歴代首相のおわびの手紙も用意した。韓国は韓国で独自の支援をしたけれど、日本が何もしてこなかったわけではないのだ。

元慰安婦は高齢化し、何人もが亡くなっている。なのに尊厳は侵されて報われぬままという怨念が、支援団体がソウルの日本大使館前にたてた「記念像」につながった。

野田首相は李大統領との会談で「人道主義的な見地から知恵を絞っていこう」と語った。

問題を打開する糸口は、ここにあるのではないか。65年の協定で解決したかしていないかではなく、人道的に着地点を見いだしていく

それは行政ではなく、政治の仕事だ。日韓の政治がともに探る。そういう時期にきている。

朝日 2011.12.19