2013/09/08

アルメニア人と日本政府、慰安婦問題を巡る駆け引き

ホロコーストやアルメニア人虐殺を並置する事で、
ユダヤ人やアルメニア人を味方に引き込む戦術は成功している

これはEiji Nakanoさんが教えて下さったニュース。

韓国系が反日運動にアルメニア系を利用すれば、アルメニア系団体も慰安婦問題を反トルコキャンペーンにある意味利用したのだろう。

グレンデール市の慰安婦像問題では韓国系の推進団体がアルメニア系の協力を取り付けた(韓国系とアルメニア系を合わせると、市の人口の半分になる)。事態を憂慮したロサンゼルスの日本総領事館はアルメニア系の説得に動いた。その結果、「帝国陸軍により行われた犯罪に対して、日本政府はアルメニア人虐殺に対するトルコ政府よりも遥かに前向きに対処してきた」という評価を得るに至るが、アルメニア系団体の側からすれば、これはトルコに対する牽制なのだろう。日本側はこの高評価と引き換えに、アルメニア人虐殺に対する日本政府の認識不足を改めるよう釘を刺されたのである。

筆者が日本陸軍によって性奴隷制に強制された20万人の若い女性の問題と言っているように、領事館側は例によってひたすら「謝りました、賠償しました」を繰り返すに留め、慰安婦問題に関する詳しい説明はしていないと見られる。不満に思う人もいるだろうが、反日運動とアルメニア系を分断することが優先事項であり、領事館としては致し方なかったのかもしれない。アルメニア系も好んで日本を敵に回そうとはしないだろう。外交とはすなわち駆け引きである、といったところか。

アルメニア人虐殺と日本軍の軍用売春所(military brothel)の問題を一緒くたにされる理不尽を解消するのは一外交官には無理な話で、これは政府の仕事である。

Japan and Turkey: On ‘Comfort Women’ and Genocide

BY HARUT SASSOUNIAN

The sleepy town of Glendale became the center of a major international controversy on July 9, when the City Council approved a memorial to ‘comfort women’ — a euphemism to describe up to 200,000 young females who were forced into sexual slavery by the Japanese army during its occupation of Korea and neighboring countries before and during World War II.(7月9日、市議会が「慰安婦」--第二次世界大戦中とそれ以前に、占領された朝鮮や近隣諸国で日本陸軍によって性奴隷制に強制された20万人の若い女性に対する婉曲表現--の碑を是認したことにより、午睡を貪っていたグレンデールの町は国際的な論争の震源地となった)

The City Council, after hearing conflicting testimonies from members of the local Japanese and Korean communities, approved with a 4 to 1 vote the installation of a monument in Glendale in honor of ‘comfort women.’ At the unveiling ceremony of the monument, council members Ara Najarian and Zareh Sinanyan expressed sympathy for the plight of “comfort women,’ as their own Armenian ancestors had suffered from mass atrocities in Turkey.

Concerned by the parallels drawn between the genocide of Armenians by Turkey during World War I and the Japanese military’s sexual enslavement of ‘comfort women’ during World War II, the Consulate of Japan in Los Angeles sought a meeting with the Armenian National Committee of America to present its government’s position on this issue.

During Deputy Consul General Masahiro Suga’s meeting with ANCA, it became evident that the Japanese government had been far more forthcoming regarding the crimes committed by the imperial Japanese army than the Turkish government was on the Armenian Genocide.(ANCAとスガ・マサヒロ副領事の会談の中で、日本政府が日本帝国陸軍による犯罪に対し、アルメニア人虐殺に対するトルコ政府よりもはるかに前向きであったことが明らかになった) Mr. Suga explained that Japan had recognized its responsibility for violating the rights of ‘comfort women’ by issuing an apology, and offering compensation to the victims.(スガ氏は、日本政府は謝罪を表明し被害者に賠償することにより「慰安婦」の人権を侵したことを認めたのだと説明した)

Nevertheless, the ‘comfort women’ remain dissatisfied with Japan’s acts of “atonement,” accusing Japanese officials of making conflicting announcements on this issue. Most ‘comfort women’ have also rejected the offered financial compensation, claiming that it was partially provided by private sources and not the government of Japan. In 2007, the U.S. House of Representatives adopted a resolution in support of ‘comfort women,’ urging the Japanese government to “formally acknowledge, apologize, and accept historical responsibility in a clear and unequivocal manner for its Imperial Armed Forces’ coercion of young women into sexual slavery.”

To find out how Japan’s reaction to the issue of ‘comfort women’ differed from the Turkish government’s denialist stand on the Armenian Genocide, I interviewed Jun Niimi, the Consul General of Japan in Los Angeles. He fondly spoke about his “affinity” toward Armenians developed during his 1995-98 service at the Japanese Embassy in Tehran, and his subsequent visits to Armenia, while stationed at the Embassy of Japan in Moscow.

Regarding the Japanese government’s position on ‘comfort women,’ Mr. Niimi explained that Prime Minister Tomiichi Murayama issued a statement in 1995, expressing “deep remorse” and “heartfelt apology.” Japan also “provided atonement through the Asian Women’s Fund.”

Turning to the differences in the reaction of Turkey to the Armenian Genocide and Japan’s to the abuse of ‘comfort women,’ Consul General Niimi made three points:

“The government of Japan is well aware of the tragedy of the Armenian people at the beginning of last century. We would like to express our deepest condolences and sympathy to the victims. It is our strong belief that this kind of tragedy should never be repeated. The second point is regarding the position of the Turkish government. This is about another country’s position. Even though we are aware of that atrocity, yet, we are not in a position to grasp the details of precisely what happened a century ago in that area. So we cannot make a comment on the Turkish government’s position. But, I would like to repeat that we are aware of the tragedy and would like to express our sympathy and condolences. And the third point is that, regardless of the position of the Turkish government, the Japanese government’s position on the issue of ‘comfort women’ is that it expressed apology and remorse and made efforts to extend support to former ‘comfort women.’”

I informed the Consul General that Japan’s position on the Armenian Genocide is not much different from that of Turkey. I asked Mr. Niimi to relay to his country’s Foreign Ministry that Japan’s lack of acknowledgment of the Armenian Genocide reinforces the skepticism of those who question the Japanese government’s sincerity in dealing fairly with the issue of ‘comfort women.’(私は新見氏に、アルメニア人虐殺に対する日本政府の認識不足は、「慰安婦」問題を公正に取り扱おうとする日本政府の誠意を疑う人々の疑念を深めるだろうという事を彼の国の外務省に伝えるよう求めた)

In response, the Consul General of Japan expressed his understanding that “the word tragedy doesn’t sound good to you, because it’s genocide.” He promised to convey to his government “the sentiments of the Armenian community” on this issue.(彼は、アルメニア人コミュニティのこの<虐殺>問題についての感情を彼の国の政府に伝えることを約束した)

Asbarez 2013.9.3

14 件のコメント:

  1. 駐日アルメニア大使と
    元谷 外志雄の対談がありました。

    抜粋:
    元谷 アルメニアの虐殺については、先ほどポゴシャンさんがおっしゃったように、殆どの人が一族に犠牲者を持つという事実があります。しかし日本軍が引き起こしたと言われる南京大虐殺に関しては、自分の親戚が犠牲になったと言っている人がいませんし、もちろん犠牲者名簿もありません。事実無根なのです。しかし中国国民党政府から情報謀略戦の一環として流されたデマが、すっかり事実として定着してしまいました。中国共産党の毛沢東も最初は「日本軍のおかげで共産党が政権を取ることができた」と言っていたのに、しばらくすると国民党のプロパガンダの尻馬に乗って、南京大虐殺で日本を責めるようになったのです。

    ポゴシャン 歴史の事実を知ることは重要なことです。過去を政治的プロパガンダではなく、世界の国々の平和構築のために利用すべきです。

    元谷 私も同感です。日本は一方的に言われっぱなしですよ。安倍さんがせっかく首相になったのですから、もっとはっきりと反論して欲しいですね。

    ポゴシャン 明確な事実である場合には、いろいろな歴史的な資料が残っています。広島平和記念資料館を訪れると、膨大な量の写真や資料と向き合うことになります。これらを私達は受け入れて、次世代に伝えて行かないと。そうすることで、同じ悲劇を繰り返さないことができるのです。

    元谷 その通りだと思います。ナチスによるホロコースト、カンボジアのポル・ポトの粛清、ルワンダの虐殺など世界中のこのような虐殺事件の現場を訪れると、数多くの写真や凶器や資料を展示した資料館があります。しかし南京大虐殺記念館には、なんら具体的な写真や資料はないのです。虐殺があったというのなら、ちゃんと証拠を見せて欲しいと日本政府は中国に主張するべき。世界中に主張を聞いてもらうためには、日本はもっと経済力を伸ばして、発言力を高めなければならないでしょう。

    ポゴシャン 残念ながら、私は南京に関する資料についてあまり知りません。両国の歴史家達は、過去の事実の調査を行い続けねばならないと思います。そのことが、平和と信頼関係を導くことになるでしょう。

    http://www.apa.co.jp/appletown/bigtalk/bt1309/index.html

    English version:
    http://www.apa.co.jp/appletown/bigtalk/bt1309/english_index.html

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    1. ありがとうございます。

      アルメニア人虐殺については、トルコ側にも言い分があるようですね。

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    2. 余談ですが、Midnight Express(http://www.imdb.com/title/tt0077928/)は
      当時の欧米に、トルコに対するネガティブな印象を
      強烈に植えつけたと思います。

      それと関連づければ、ポール・マッカートニーが日本で
      大麻所持で拘束され、後にその恐怖体験を語ったりした時、
      嫌Yoko Ono派は盛り上がったんじゃないかと思います。

      もしもYoko Onoが慰安婦に関する質問を受けたら、
      どう返答するか興味深いですが
      おそらく"Imagine"の歌詞と同じで普遍的なことを
      言うと思います。 特定の国をターゲットにしたりは
      しないでしょう。 いや、むしろそんな質問は(誰にしろ)
      スルーしたいだろうと思います。



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    3. トルコにも同情してしまいます。

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  2. 「筆者が日本陸軍によって性奴隷制に強制された20万人の若い女性の問題と言っているように、」
    というのは証拠がないということが知れ渡っているのに、まだ執拗に自国を陥れる本心が理解できない。20万人という数字は言えば言うほどウソだと宣伝するようなものだ。

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    1. この記事を書いたのはアルメニア(系)人です。

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  3. 慰安婦ではありませんが「強制連行」がらみで紹介しておきますね。

    戦時中に日本各地の企業に強制連行されるなどした朝鮮人名義の数万冊の郵便貯金通帳が、本人に無断でゆうちょ銀行福岡貯金事務センター(福岡市)に集約、保管されていることが7日、ゆうちょ銀への取材で分かった。

    http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130907-1185708.html

    >「強制動員真相究明ネットワーク」(神戸市)が入手した・・・

    この手の方々は「ネットワーク」が好きなんですね。

    >一つは旧日本軍の軍人・軍属が戦地で利用した「軍事郵便貯金」約70万口座の約21億円。もう一つは朝鮮や台湾、南洋諸島などの支配地域で利用された「外地郵便貯金」約1800万口座の約22億円。いずれも日本人も含めて払い戻しは進まず“塩漬け”状態となっている。

    結構な金額で日本人も未払い。この辺は慰安婦と一緒か。。。

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  4. 在米日本人2013年9月8日 22:56

    私はこの記事を読んで、ブエナパーク市が慰安婦石碑像を建てないことが決まり、
    グレンデール市の2人のアルメニア人の立場がなくなるから
    記事を書いたのでは、、と思いました。
    グレンデール市の将来の選挙にも影響するので。
    もうすでに今の市議会のメンバーには投票しないと言っている人達がいます。
    多くの日本人がコメントで慰安婦問題の真実を書いたから、
    同じようにアルメニア人問題も真実ではないと誤解されるかもしれない、、と。
    韓国人と同じように、アルメニア人の中に入ろうとしています。
    慰安婦問題を決議をしたアメリカ議員を調べていると、教会関係の人もいました。
    以前(2000年頃)はアルメニア人のために動いていた政治家です。
    韓国人はうまく利用したのでしょう。
    その政治家は中国の人権問題を知り、もうすっかり韓国人と離れています。
    日本側として、トルコとの外交も大切なので、何も言うことはできないと
    思います。
    いつまでも、過去を引きずっているのは韓国人と同じです。
    嘘がばれて信用を無くすのは 韓国人だという事に早く気がついて欲しいです。

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    1. >グレンデール市の2人のアルメニア人の立場がなくなるから

      なるほど、そういう見方もあるんですね。

      日本人も迂闊にトルコ人とアルメニア人の問題には踏み込めません。それぞれの言い分もあるし、トルコ語やアルメニア語の一次資料も読めない人間が口を挟むべきではありません。出しゃばるのは愚か者だけです。慰安婦問題でも賢明な米国人は口を挟まないはずです。

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  5.  私は、グレンデールとペリセイデスパークが韓国系反日運動のメッカになってしまうのも、やむをえないと考えています。
     連中の勢力をゼロにはできない。韓国の若者の多くは母国に絶望しており、機会があれば他国に住みたいと考えています。そこが日本と違う。連中の勢力をゼロにできない以上、その米国社会に及ぼす力が限定的であればよい。そこで阿呆をやらかす奴らは、思い切り阿呆をやって貰いたい。慰安婦記念マラソンとか、旭日旗追放運動とか、米国社会からみたら「おまえら、まだ米国人になりきっておらんのか」みたいに奇異に見えるはず。
     連中は米国社会で小さなコロニーを作って生きているようだから、そこだけ奇界ヶ島みたいに妖怪ワンダーランドであれば、かえって他のアジア系移民との違いが際立っていい。

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    1. 在米日本人2013年9月9日 6:13

      アメリカに住み、韓国語しか話さず、コリアンタウンで働いたり、
      コリアン相手に商売する。
      コリアンの世界でしか生活していないから、アメリカ人が
      どう思うかを知りません。
      土地はアメリカですが、韓国と全く同じ習慣で生活し
      子供達もアメリカの学校に行っても韓国人ばかりが
      集まる。静かに同民族で生活しているといいのですが、
      慰安婦問題で目立ち、もうすでにアメリカ人から気味悪いって思われています。


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    2. >阿呆をやらかす奴らは、思い切り阿呆をやって貰いたい。

      私もああいった像が出来、後世に残ることは必ずしも悪いことではないと思っています。

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  6. 在米日本人2013年9月9日 5:55

    アルメニア人とは関係がないのですが、
    70年前の慰安婦問題より、もっと韓国は考えなければいけない
    現在の売春婦問題が、、、取り締まる警察官が足りないようです。
    http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20130902000661

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    1. “If history has taught us anything, it is that the market forces have won over any institution against them in the long run. To avoid long-term distortions and unintended consequences, we should make the current law market-friendly.”

      現実的な対応が必要だと考えたのは、日本軍も同じですね。

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