2013/08/30

河野談話関係者「泣きながら連れ去られるのを友人が見た」 (谷野元内閣外政審議室長)

泣き叫びながら少女が連行されるのを友人が見た (挺身隊の話か?)

河野談話見直し反対論にも二種類あるようだ。良いものだから撤回してはいけないという意見と、何がなんでも改「正」させまいというグループである。憲法問題で言えば、平和憲法の理想を変えたくないという純粋派と、日本政府が軍国主義復活を目論んでいると触れ回るようなナンセンス型(何がなんでも反対型)である。後者は、外国の反日グループと結びつく。慰安婦問題も同じ構図に陥った。

ややこしいのは、何がなんでも型の中には共産党のように強制連行説の拠り所として河野談話を死守しようとするグループがいる一方で、小川敏夫のように談話には強制連行があったとは書いていないのだから見直しの必要はないというレトリックを使う者がいる。

谷野作太郎は、小川議員と同じく、河野談話を批判する人は「談話に書いていないところ(強制連行の有無)まで内容を膨らませ、その点を批判している」と牽制するが、両者とも「書いていないところまで」内容を膨らませられた河野談話が日本叩きに利用されている状況が先にあることを省いている。例えば中央日報はこんな記事を掲載した。

谷野作太郎はまた、朝鮮人の娘が警官や兵隊の監視下で泣き叫びながらトラックで連れ去られたのを目撃したという話(慰安婦の話ではない)を韓国人の友人から聞いたと言っている。これが彼の意識形成(そして河野談話にも?!)に影響したらしいが、いっぺんアン・ビョンジク教授あたりにファクト・チェックしてもらった方がいいのではないか?

谷野は、小川と異なり河野談話の関係者であったから、自己弁護の意味もあるのだろう。その点は割り引いて聞いてやるべきなのかもしれないが。

特集ワイド:谷野作太郎・元駐中国大使に聞く/下 「河野談話」「村山談話」 「痛み」日本人として共有を

中国、韓国との関係が悪化する中、従軍慰安婦に関する「河野談話」(1993年)、「痛切な反省と心からのおわび」を表明した戦後50年の「村山談話」(95年)を否定するかのような動きがある。二つの談話作成に内閣外政審議室長として関わった谷野作太郎・元駐中国大使(77)が経緯などを明かす。【浦松丈二】

◇歴史の歪曲や開き直り 国の品格、誇り傷つける

−−「河野談話」には「証拠もないのに日本軍の強制連行を認めている」との批判もある。他方、これは誤解とする向きもあるようですが。

谷野 おっしゃるように「河野談話」を批判する人は、談話に書いていないところまで内容を膨らませ、その点を批判している。おかしなことです。女性の多くは集められた後、軍と行動を共にすることを余儀なくされ、前線で厳格な軍の管理下に置かれ、行動の自由はなかった。まかないや看護師の仕事と言われ、連れて来られたケースも多々ある。現地で現実を知り「話が違う」と逃げ帰ろうとしても、そこは前線です。あの談話はそういう世界を記述したものなのです。

私の韓国の友人。この人は日本の学校を出た人で私と同じ年ですが、彼は「子供のころ、自分の村では年ごろの娘を外に出すなと言われたものだ。それでも彼女らが横付けされたトラックに乗せられ、泣き叫びながら連れ去られていくのを目にしたことがある。そこにはオマワリやヘイタイもいた……」と。竹島(韓国名・独島)の話では冷静さを保つ彼も、この話になると大変感情的になります。

−−元慰安婦の女性に償い金を払う「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)の設立(95年)にも奔走なさいましたね。

谷野 日本は「女性基金」を設立し、オールジャパンで精いっぱいの対応をしてきました。韓国だけは「日本国としての謝罪と補償」を要求する市民団体の圧力に直面し、「基金」の事業は中途半端で終わらざるをえなかった。しかし、「謝罪」は「河野談話」や慰安婦だった人たちにお渡しした総理書簡に表明されているし、お渡ししている償い金の半分以上は日本政府支出によるものです。

韓国政府も当初、「基金事業のスタートをもって問題は解決した」と言っていたんですが、最近になって「未解決」と言い始めました。突然「情」(韓国で言えば「恨」の感情)が頭をもたげた。

もとより従軍慰安婦や戦後補償の問題は「カネですべてすんだんじゃないか」と開き直れる世界ではない。日本側の所作で心身に深い傷を負った人たちの「痛み」を日本人として共有することこそ最も大事なことだと思います。(以下略)

毎日夕刊(一部) 2013.8.28

一方で、谷野は安倍首相についてこう評する。・・・では、歴史を歪曲したり開き直ったりしている有力者とは、誰のことを言っているのだろうか?

 −−安倍晋三首相は15日の全国戦没者追悼式の式辞で、歴代首相が表明していたアジア諸国に対する加害の「反省」や「不戦の誓い」を表明しませんでした。

谷野 中国や韓国、そして米国などがいら立つのは過去の一時期の「歴史」について、時折、日本の有力な方々がこれを歪曲(わいきょく)したり、開き直ったりされる言動についてです。それは日本に対する国際社会の目線を下げ、日本人の品格、誇りを最も深いところで傷つけることになる。でも、安倍首相はいろいろなところでおっしゃっているところからみても、決してそんな方ではないと思います。