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2016/09/29

上野千鶴子ら「手紙」要求、韓国紙「革新陣営の亀裂」

ハンギョレは上野らの限界を言うが(写真は重藤)
無理があるのは合意否定派の方だろう

和解財団が追加サービスとして総理の手紙が欲しいと日本政府に泣きついて来た件。さて、日本政府はこれに応じるのか。

やる事はやった日本政府とすれば、韓国の都合で合意が潰れても痛くも痒くもない。ただ、国際社会や日本の世論に「手紙ぐらい出してやれば良かった」と思われるようでは話は微妙になってくる(合意が潰れるのはいいが、日本政府が国際社会から非難されるような形は避けたい)。幸い、今のところ日本の空気はそうはなっていない。もっとも一部の日本人は別で、上野千鶴子教授らが手紙を送れと騒いでいる。

「アジア女性基金のときにも首相が(被害者の女性たちに)謝罪の手紙を送った。被害者たちが受け入れることのできる謝罪、名誉と尊厳の回復が行われるように『首相の謝罪の手紙』を(今回も)送ってほしい」

合意反対のハンギョレ新聞は、慰安婦たちが反対しているのは手紙の有無が理由ではないと言うが、実際にはゴネているのは慰安婦ではない。ハンギョレは日本の革新勢力の分裂だと心配?しているが、さて「責任を果たすためには、謝罪の手紙が必ず必要だ」とまで言った重藤都は、最終的に総理の手紙が実現しなければどうするのか?合意無効派に転ずるのか?かつてと違い、日本の新聞は全て政府支持なわけだが?

昨年声明を発表した上野ら
賠償要求はどうなった?

上野らは、実は一年前、「被害者に賠償すること」を政府に要求していた。しかし、日本政府のみならず韓国政府も「賠償」という言葉を拒否している。「補完」で済む問題ではない。これは今回の合意における基本的な部分である。現実の12.28合意の前に、彼女たちの主張は後退しているのである。今からでも挺対協に詫びを入れて、合意無効派と再統合してはどうか?

日本の市民団体、「安倍首相は慰安婦被害者に謝罪の手紙を」

東京大学の上野千鶴子名誉教授らが発起人として参加した「慰安婦問題解決の会」は28日、東京千代田区の参議院会館で記者会見を開き、「(日本政府は1995年の)アジア女性基金のときにも首相が(被害者の女性たちに)謝罪の手紙を送った。被害者たちが受け入れることのできる謝罪、名誉と尊厳の回復が行われるように『首相の謝罪の手紙』を(今回も)送ってほしい」と要請した。同会は昨年10月15日、約1500人の日本市民の意見を集め安倍首相に「慰安婦問題の解決のために韓国政府と交渉を行い、合意案作ってほしい」との声明を出した。

・・・この日の記者会見に参加したは重藤都氏は「報道を通じ、韓国の財団が謝罪の手紙を要求しているのに日本が応じていないことを知った。謝罪の手紙がなければ合意はなくなるかもしれないという覚悟で運動を進めていく。日本が自身の責任を果たすためには、謝罪の手紙が必ず必要だ」と話した。・・・彼らのこの日の会見は、慰安婦問題の解決に対する日本の革新陣営内の亀裂を示すものでもある。

日本の革新陣営は12・28合意について、被害者女性たちの主要な要求である「日本政府の法的責任の認定と賠償」などの内容が含まれていないため合意を拒否すべきだという「白紙撤回論」と、合意の成果を認めこれを補っていくべきだという「補完論」に分かれている。会の主張は、補完論に傾いている。そのことを示すかのように、会は「私たちは今回の日韓政府間の努力を評価する。和解・癒やし財団がようやく被害者の皆さんから「一定の合意」を得たという話を聞いて安心している」という内容を要請文に込めた

しかし、被害者女性たちが12・28合意を拒否する理由が日本首相の手紙の有無ではないことを考えた時、彼らの運動は根本的な限界があらざるを得ない。

ハンギョレ日本語版(一部) 2016.9.29[全文]

「解決の会」は、昨年の日韓首脳会談を前に声明を発表し、「被害者」への賠償を要求していたが、日本政府はアジア女性基金の頃から一貫して法的責任も賠償金も拒否して来ており、今回もその姿勢に変わりはなかった。上野らの希望は叶えられなかったのである。

「軍慰安婦に謝罪・賠償せよ」…日本女性1500人緊急声明

日本の女性1500人余りが、来月1日開かれると見られる韓日首脳会談を控え安倍晋三総理に軍慰安婦問題の解決を促す緊急声明を発表した。

上野千鶴子東京大名誉教授などの日本の女性団体人々が最近結成した「慰安婦問題解決の会」は21日午後東京千代田区参議院議員会館で発表した緊急声明の中で、「日韓首脳会談が開かれ慰安婦問題が解決されることによって、日韓関係が正常化することが重要」だとし、「日本国総理は決断しなければならない」と明らかにした。

声明は「安倍総理は急ぎ韓国政府と慰安婦問題解決のための交渉せよ」として「民間の声を入れて解決案を用意して、両国政府の合意を作ってほしい」と要求した。さらに「慰安婦問題は被害者が受け入れる案を日本政府が提示しなければ解決は不可能」として「加害の事実を認定し、謝罪してその証拠として(軍隊慰安婦)被害者に賠償すること」を要求した。

・・・上野教授は「慰安婦被害者は高齢なので(日本政府は)永遠に謝罪する機会を失うことになる(?)」として迅速な解決努力を促した。・・・「慰安婦問題解決集い」は軍隊慰安婦問題解決を促してきた日本女性団体によって9月末に結成されてから、今月の初めから20日までの間に1543人の賛同者を集めた。 村山富市前総理などの男性も参加した。 

聯合ニュース(一部) 2015.10.21 [全文]

2015/05/09

アジア女性基金妨害した上野千鶴子の後悔

「橋下発言に抗議する緊急院内集会」(2013)より

最近再評価されているアジア女性基金だが、かつて進歩派日本人の一部がこれを潰しにかかった。基金が不本意な形に終わったのは、実力行使にまで訴えて妨害した(お金の受け取りを希望した慰安婦をバッシング)挺対協のせいだけではない。国家賠償派であった日本の左派にも責任がある。上野千鶴子は、その一人として今後悔を口にしているのだが・・・。

「NGOで市民基金が実現していたら、その共感をもっとうまく伝えられたかもしれない」という上野。よく分らないが、そんな事をしていたらもっと状況を悪化させたのではないか?「痛恨の思い」と言うが、反日団体に加担して解決を難しくした罪を償う気はあるのだろうか?

(人生の贈りもの)わたしの半生 社会学者・上野千鶴子:9 66歳

90年代には、もう一つ重要なことが起きてる。「慰安婦」問題です。北京女性会議でも、アジアの女たちが慰安婦を女性の人権侵害として焦点化し、世界に発信した。それに対して強いバックラッシュ(反動)が起きました。

――ご自身も会議に参加されたのですね。

「慰安婦問題をどう解決するか」というワークショップを主催しました。民間から集めたお金を元慰安婦に「償い金」として渡す、「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」に抗議する署名を参加者から集め、それを日本政府代表団に手渡すという活動を、仲間と共にやった

――なぜ基金に反対したのですか。

国の基金ではないし、日本政府の責任をあいまいにするものだった。代替案として、市民基金のようなものを作れなかったのかという思いはありますね。

政府の公式謝罪を市民が代わってすることはできない。でも国家を背負っていない市民も共感を示すことはできる。NGOで市民基金が実現していたら、その共感をもっとうまく伝えられたかもしれない。できなかったのは運動の側に力量がなかったこともあるけど、支援者側には政府の責任追及が最優先でお金による解決に忌避感があった。

――いまなら、別のやり方もあったと思いますか。

自社さ政権のもとで村山談話が出され、不十分ながらも戦後補償の枠組みが示された。アジア女性基金を推進した人たちが、こうした状況を千載一遇のチャンスだと考えた政治判断は、歴史的に見れば当たっていた。痛恨の思いをこめ、それは認めざるをえません。これほど政治や世論が右傾化するとは、当時は思ってもみなかった。・・・

朝日(一部) 2015.5.3

2012/12/01

日本特殊論に組し得ない上野千鶴子のジレンマ


慰安婦問題を旧日本軍に特有の問題であると強調したがる人間は日本にもいるが、一番熱心なのは韓国だろう。彼らは韓国軍や米軍が同様の施設を持っていたか利用していたにも関わらず、これについては知らんぷりを決め込んでいる。しかし一方で、国際社会の注目を惹きつける為に「これは現在の問題でもある」といった建前も振り回す。ある時は「日本特殊性論(上野)」を主張し、ある時はそれとあべこべの事を言う。

上野千鶴子は「日本特殊性論」には反対である。しかし普遍的な問題として日本軍慰安婦問題が語られる事で日本が免罪されることも警戒しているようだ。

ひろたまさきは「従軍慰安婦」をめぐる倉橋正直吉見義明鈴木裕子の歴史研究を紹介しながらそのいずれもが「天皇制軍隊の特殊性」「日本近代公娼制の特殊性」「日本の家父長制の特殊性」「植民地支配のあり方の特殊性」など「三人ともに日本の特殊性を強調しすぎている点に違和感を覚える」という。...ひろたは「慰安婦問題を、戦場の特殊な問題、日本の特殊な問題に閉じ込めるような語り方はやめようではないか」と提案する。わたしはこの提案にまったく同感だが...そこには「特殊性」を脱した議論が今度は「普遍性」のなかに回収される危険もまた潜んでいる。

[...]この説(※引用者注:日本特殊論)によれば、「天皇制」とは近代化の「跛行」のおかげで世界史に類例のない抑圧的な支配をつくりあげた体制だということになり、それが生み出した「慰安婦」制度も歴史に類例のない残虐な性的虐待の制度だと見なされる。

反日を国是としてきた韓国でなぜ吉見や鈴木の言説が歓迎されてきたか、その答えはここにある。当然上野も分かっているはずである。

「軍隊に売春婦が随行した例はあるが、軍隊が買春そのものを組織した例はない」というように「日本軍」の特殊性が強調される。反天皇制論者のほうが、敵対すべき対象としての天皇制の特殊性を強調し、それを過大評価する傾向がある...


上野は少しはぐらかしてはいないだろうか?果たして吉見や、慰安所を「国家強姦システム」と言い切る鈴木や倉橋は、「軍隊が買春を組織した事」を問題視しているのだろうか?少なくとも我々が慰安所システムの問題点としてこうした人々から聞かされてきたのは、慰安所での「強制性」だったが?



* 上野: 「『慰安婦』問題を『皇軍』の特殊性に還元するパラダイム--仮に『(特殊)天皇制パラダイム』と呼んでおこう--は、日本文化特殊性論によくなじむ性格を持っている」

2011/07/03

上野千鶴子: 韓国の慰安婦運動のナショナリズム



家父長制、ナショナリズムを憎み、男性中心史観に反発して、慰安婦問題で日本の「歴史修正主義」と戦う上野千鶴子であるが、韓国の慰安婦運動に見られるナショナリズムは気になるようで・・・。

しかし、「挺対協のなかには『慰安婦』制度を日本の韓国に対する『民族絶滅』政策の一貫として位置づける説もあり」とは、何を今さらである。それは挺対協の初代共同代表であった人みずからが説いていたことではないか。

これは山下英愛の言説だが、「民族民主運動のなかで女性運動が認められるためのの生存戦略」というのは正しいだろう。なぜ朝鮮戦争時の慰安所が問題にならず、日本軍の慰安所に限って国を上げた大騒ぎになるのか、それは、運動家たちがこの問題を加害国日本と被害国韓国という構図で宣伝したからだろう。これによって元慰安婦は“抗日独立運動家”並みの英雄になり、国民的アイドルとなったのである。

...「軍隊性奴隷」パラダイムは、韓国の反日ナショナリズムのために動員されている。挺対協のなかには「慰安婦」制度を日本の韓国に対する「民族絶滅」政策の一貫として位置づける説もあり、民族対立が強調される。

「『慰安婦』問題に対する民族言説的な見方は、自民族中心的で多民族、他地域の被害者とのあいだに壁を築き、分断をもたらす」と山下ははっきり明言する。

韓国女性運動の民族主義的傾向は、「民族民主運動のなかで女性運動が認められるためのの生存戦略」であった、と山下(英愛)は見るが、他方、「国際的な連帯運動における女性問題としての盛り上がりに比べて、国内の女性運動や人権運動に及ぼした影響は極めて小さい」と山下は見る。「その理由は...そもそも国内では主に民族問題として接近し、しかも『慰安婦』に関する民族言説を覆す努力がほとんどなされてこなかったことにある。」 

山下が紹介するキム・ウンシルによれば、

民族主義言説は性の蹂躙という記表に、より大きな象徴的意味を与えることによって、女性経験の特殊性を否認し、これを民族問題として普遍化する。言い換えれば女性でなく韓民族が日本という強姦犯によって蹂躙されたのである。民族問題であるために、強姦の犯罪はそれが日帝によって行われるまでは民族言説ではまったく意味を付与されない


民族言説は女性を「民族主体」のなかに取り込むことによって、もっとはっきり言えば女性の利害を男性の利害に一体化(その実、従属)させることによって、ナショナリズムの動員のために利用する


少し孫引きが多くなってしまうので、山下英愛の元の文章(「『慰安婦』問題の認識をめぐって」季刊アクロス 憲法を生かす市民の会季刊誌1944.11)を確認するまでは自分用のメモという位置づけで。