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2012/06/02

[資料/英語] Japan denies proposals made to S. Korea (共同+毎日)



相変わらずどこの国の新聞かと思わせる毎日(The Mainichi)と共同通信(英字版)コンビいつものことだから、コメントはなしで、記事だけ転載して保存しておく。

Japan denies fresh proposals made to S. Korea on "comfort women"

TOKYO (Kyodo) -- Foreign Minister Koichiro Gemba on Friday flatly denied media reports saying the Japanese government recently put forward three fresh proposals to South Korea in an attempt to resolve the dispute over women who were forced into sexual slavery for the Japanese military (日本軍の為の性奴隷制度に強制された女性たち) during World War II.

Gemba told reporters that the reports by several South Korean media outlets on Thursday are baseless. MBC television said the contents of one of the proposals involve the Japanese government's providing direct compensation to former so-called comfort women (前いわゆる慰安婦).

Japan has maintained the issue was settled when the two countries signed a diplomatic normalization treaty in 1965, saying that its associated accord dissolved Seoul's right to claim individual compensation.

Diplomatic sources familiar with bilateral matters said it is "unthinkable" that the Japanese government would make reparations.

The two other proposals are one in which Japanese Prime Minister Yoshihiko Noda would apologize to South Korean President Lee Myung Bak and another in which Japanese Ambassador to South Korea Masatoshi Muto would apologize to the women, MBC said.

The Mainichi 2012.6.1

2011/12/19

毎日新聞も突き放す韓国の慰安婦騒動



毎日新聞は進歩派だから、現場には慰安婦支援団体らに同情的な記者が少なくない。今でも、慰安婦問題について割合マメに取り上げている。だが、社説の書き手には色々な考えの人がいるようで、主張が右に行ったり左に行ったりする。しかし、産経でも読売でもない毎日新聞がこうした意見を表明したことは、日本の運動家たちも重く受け止めた方がいい。

アジア女性基金については批判もあるが、中心になった大沼保昭教授などは一生懸命だったと思う。村山政権下であったからこそ実現した基金であり、軍隊と性の問題で、過去にこの種の女性たちにこれだけのアフターケアをした国はないだろう。それを力づくで邪魔したのが韓国の慰安婦支援団体--挺対協であり、その時泣かされたのは、間に立って働いた日本のNGOだけではない。受け取りを希望した慰安婦は挺対協による虐めを受けたのである。

毎日新聞はさらに知恵を絞れと言っているが、仏の顔ですら三度まで。相手の為にも未来指向の両国関係の為にも、この件についてはもう相手にしないことである。


社説:慰安婦問題 原則曲げずに対応を

日韓の首脳が気軽に相互訪問して意見交換するのがシャトル外交の良さだが、今回は「肩ひじ張らずに」とはいかなかった。旧日本軍の従軍慰安婦問題に焦点があてられたためだ。日韓の「歴史のトゲ」がまだ抜けないことを物語るもので、未来志向の関係構築が口で言うほど簡単ではないことを実感する。

この問題が改めて浮上したのは韓国の憲法裁判所が8月、賠償請求権について韓国政府が十分な努力をしていないのは違憲との判断を下したことが背景にある。今月14日には元慰安婦の支援団体がソウルの日本大使館前に慰安婦をモチーフにした少女の像を建てるなど、世論の関心が高まった。李明博(イ・ミョンバク)大統領が強い姿勢で会談に臨まざるを得ない事情があったことは理解できる。

だが、それを考慮に入れたとしても、首脳会談の大半をこの問題に費やしたとされる韓国側の対応は、日韓関係の大局からみてバランスを欠く。大使館前にこうした像を建てることは、これまで慰安婦問題に理解を示してきた日本の世論にも受け入れられるものではないだろう。撤去を求めた野田佳彦首相の対応は主権国家として当然である。

日韓の財産・請求権に関する問題は、65年の国交正常化に伴う協定で「完全かつ最終的に解決された」と明記されている。このため90年代に慰安婦への補償が外交問題になった時も、日本政府は国家賠償には応じなかった。その代わり官房長官談話で「当時の軍の関与」を認め、95年に「女性のためのアジア平和国民基金」を設立。国民各層からの寄付金を原資に韓国、台湾、フィリピンの元慰安婦に1人当たり200万円の「償い金」を渡すことなどを決め、首相の「おわびと反省の手紙」も届けることにした。基金は事業を終えて07年に解散している。

基金による償い金は、日韓双方の世論にも配慮し、さまざまな論議を経たうえでの政治決断だった。その経緯を踏まえれば、元慰安婦への賠償問題を日韓間で再び政治問題化することは適当ではない

ただ、韓国では国家による賠償ではないという理由で多くの元慰安婦が償い金を受け取っていない。日韓間にこの問題の解決をめぐる認識の溝があることは事実だ。日本側にも道義的な責任はある。野田首相は「人道的な見地」で対応する考えを示したが、外交の原則を曲げない範囲で知恵を絞る工夫は大事だろう。

従軍慰安婦のような女性の人権問題に国際世論は厳しい。政府は過去の対応をきちんと世界に説明する努力を続けるべきだし、女性の名誉や尊厳に関わる問題には一層積極的に取り組む姿勢が必要だ。

毎日新聞 2011年12月19日 2時31分

2011/12/11

朝日・毎日新聞の「イベント紹介」



リベラル系の日本の新聞は正面きって慰安婦問題を論じることが出来なくなってしまった。90年代にやり過ぎた反省があるからだろう(特に朝日)。新聞社の意見としては慰安婦問題を語らず、読者の投稿を紹介する形で代弁させていた時期もあったが、それも段々難しくなってきたようだ。朝日や毎日新聞社の中にも冷静な人々がいるからだろう。

それでもこれらの新聞社の中には運動家やハルモニに同情的な記者がおり、なんとか上司の壁を突破してこの問題を紙面に載せたい考えている(そのこと自体は悪いことではない)。それが、こういった「イベントの紹介」という形になるのだろう。しかし、外務省包囲デモを取り上げるなら、それに対するカウンターデモが企画されていることも紹介してやれば公平というもの。

カウンターデモの主催者も両新聞社に売り込んでみたらどうだろう?


ソウル「慰安婦」 福岡でも連帯を

旧日本軍の元「慰安婦」らが韓国・ソウルの日本大使館前で開いてきた抗議集会が今月14日、1千回目を迎える。世界各地でこれに呼応する催しがあり、福岡市でも集会が開かれる。

集会は1992年1月8日から毎週水曜に開かれており、元「慰安婦」の他、市民団体や国会議員、学生らが集まり、抗議の声をあげている

14日はドイツやオーストラリア、カナダなどで呼応した集会が開かれる。国内では、慰安婦への謝罪と補償の実現を目指して結成された市民団体「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動2010」の呼びかけで、東京で外務省を人間の鎖で囲むイベント、大阪、名古屋などで集会がある。福岡では午後0時半から、天神地区の福岡パルコ前、天神コア前などで、「慰安婦」の遺影を掲げ黙祷(もく・とう)をした後、リレートーク、チラシ配布、パネル展示をする。

韓国政府が登録した「慰安婦」234人のうち生存者は67人にまで減っている。賠償問題は、韓国の憲法裁判所が8月、韓国政府に対し、日本政府と賠償について交渉を求める判決を出し、韓国は二国間協議を求めているが、日本は回答を先延ばしにしている。

「全国行動2010」の共同代表、花房俊雄さんは「性暴力の被害者である『慰安婦』は戦後、人々の非難の目を避け、社会の片隅で生きてきた。加害者の日本に罪を認めて、自分たちの名誉を回復して欲しいというのが彼女たちの願い。憲法裁判所の判決が出て解決の可能性がある時期なので、運動が追い風になってほしい」と話す。問い合わせは花房さん(090・6291・0988)。(溝越賢)

朝日 2011.12.10

従軍慰安婦問題:9日にイベント--北区 /岡山

従軍慰安婦問題を知ってもらおうと、イベント「ハルモニとアジアの被害女性たちに想いを寄せて」が9日、北区天神町の岡山カトリック教会センターで開かれる。女性の人権問題に長年取り組んできた大学講師、市場恵子さん=中区湊=らが主催。

韓国・ソウルで、毎週水曜日に元慰安婦たちが日本政府に謝罪を求める「水曜デモ」が今月14日に1000回目を迎えることから企画した。韓国やオランダの元慰安婦が証言するドキュメンタリー映画「終わらない戦争」上映や、キャンドルナイトが予定されている。市場さんは「映画は初めての人にもわかりやすい内容。平和な時代の到来を願って語り合いたい」と話している

午後6時から。参加費1000円。申し込みは市場さん(086・277・7522)。【五十嵐朋子】

毎日 2011.12.6

2011/09/26

共同通信英字版:日本では「慰安婦」として知られる性奴隷




共同通信がまたやってくれた。South Korea is seeking negotiations with Japan on the issue of "comfort women," as the sexual slavery victims are known in Japan(日本では「慰安婦」として知られている、性奴隷制の犠牲者の問題について、韓国は日本と交渉することを望んでいる)。共同通信英字版のこの種の問題記事は前にも紹介したが、載せる毎日も毎日である。共同は日本語版では、シレッと注釈なしで慰安婦という用言葉を用いている。

改めて過去記事を読みなおしてみれば、この表現は3月の記事とそっくりである。 sex slaves, known euphemistically in Japan as ''comfort women(日本では婉曲的に「慰安婦」として知られる性奴隷)。世界の常識としては性奴隷なのだが日本では慰安婦という名前で呼ばれている・・・。書いた記者、あるいはチェックしたデスク(?)は同一人物なのだろう。

日本人はあまり英語を読まないから、こうした日本のメディアによる英文報道が野放しになっている。


'Comfort Women' issue raised in Japan-S. Korea diplomatic talks

NEW YORK (Kyodo) -- South Korean foreign minister Kim Sung Hwan on Saturday raised the issue of compensation for Korean women forced into sexual slavery for Japan's World War II soldiers during his talks with Japanese counterpart Koichiro Gemba, a Japanese official said.

Gemba reiterated Japan's stance that the issue was settled by a bilateral treaty in 1965 that normalized diplomatic ties between the two countries, the Foreign Ministry official said.

Gemba also said the issue should not damage the important ties of the two countries, according to the official.

South Korea is seeking negotiations with Japan on the issue of "comfort women," as the sexual slavery victims are known in Japan, following a court ruling saying it is unconstitutional for Seoul to make no specific efforts.

The two ministers also exchanged views on a set of disputed islets, known as Takeshima in Japan and Dokdo in South Korea, the official said, but he refused to disclose what exactly they discussed.

Despite these issues, the official said Gemba and Kim agreed that Japan and South Korea are vital partners in the Asia-Pacific region and will continue to deepen bilateral ties.

They also discussed the latest developments concerning North Korea and bilateral economic issues, the official said.

The meeting was held in New York on the sidelines of the U.N. General Assembly.

毎日デイリーニュース(共同) 2011.9.25

韓国側が慰安婦に言及 ソウル訪問の岡田氏と会談
2011.9.24 22:17
民主党の岡田克也前幹事長が22~24日にソウルを訪問、韓国の与野党代表や外交通商省高官らと会談し、今後の日韓関係強化の必要性や北朝鮮情勢などについて意見交換した。岡田氏によると、一連の会談で韓国側は、日本の植民地時代に従軍慰安婦にされた韓国人女性の問題にも言及した。具体的なやりとりは明らかにしなかった。

岡田氏は23日に与党ハンナラ党の洪準杓代表らと会談。同党によると、洪代表は、日韓が領有権を主張し、韓国が実効支配中の竹島(韓国名・独島)の北西にある韓国・鬱陵島を自民党議員らが8月に視察しようとしたことに関し「政治的なショーであり遺憾だ」と表明した。

元慰安婦の賠償請求権をめぐり、韓国の憲法裁判所が8月に、政府が具体的な措置を講じてこなかったのは違憲との判断を下したのを受け、韓国は慰安婦問題などに関する協議を始めるよう日本に提案している。(共同)

産経 2011.9.24(共同)

2011/08/17

慰安婦がいたのは事実 [元日本兵]



こういう、善良ではあるのだろうがズレた事を言う復員兵は必ずいる。悲惨な体験から戦争に反対する気持ちは尊いのだが、そこをある種の人達に利用されてしまう。 アジア女性戦犯法廷で利用された金子安次もその一人だった(自分は彼が嘘をついているとは思わなかった。少なくとも慰安婦に関する部分では)。

言うまでもないことだが、慰安婦がいなかったなどと言っている人はいないのである。毎日新聞の倉沢記者もそれくらいの事は分かっているはずなのであるが・・・。

終戦記念日:戦争と平和を語る座談会 真実、伝える使命--高知 /高知  

66回目の終戦の日を迎えた15日、県内各地で戦没者を悼む行事が行われた。高知市の市立自由民権記念館では「戦争と平和を語る座談会」があり、戦争経験者も参加して平和の尊さについて訴えたほか、後世に戦争を語り継ぐ必要性についても意見が交わされた。  

...従軍していたという同市比島町3の大川愛郎さん(82)は「今はものすごく後悔し、申し訳ない気持ちでいっぱいだが」と口を開くと、自身が台 湾に派遣されていた当時、慰安所を利用したことを告白した。

沖縄戦が始まる直前に、上官から「いつ死ぬか分からない。死ぬ前に(慰安所に)行ってこい」と命令されたのを鮮明に覚えているという大川さんは「現在(慰安婦の存在が)あったなかったと議論されるが、当時を知るものとして(慰安婦がいたという)真実を後世まで残すことが私の役目だと思う」と話した。  

一方、これらの話を聞いていた戦後生まれの参加者たちからは「二度と悲劇を生まないよう、これからの世代に伝えていく教育こそが重要だ」「戦争がいまだ起こっている他国も平和になるような世界にしていかねばならない」といった意見が出された。...【倉沢仁志】

毎日新聞 2011.8.16

2011/06/23

台湾慰安婦の写真展[京都]



ニュース自体にはまったく問題はない。「旧日本軍性奴隷」とはちょっと頂けないが、こういう催しが妨害されることなく、無事に開催されればいいと思う。しかし、取り上げるのはやっぱり毎日新聞・・・。

追記: これに反発する団体が展示会を訪れ、法然寺側にも抗議している。幸いな事に抗議活動は平和裏に行われたようである。

写真展:台湾の慰安婦、写真で問題提示 左京できょうから /京都

旧日本軍の「従軍慰安婦」にされた台湾の女性たちを撮影した写真展が23~26日、京都市左京区の法然院講堂である。「旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・京都実行委員会」の主催で入場無料。

台湾で被害女性らを支援する「台北市婦女救援社会福利事業基金会」が05年に出版した写真集「阿媽(アマー)(おばあさん)の顔」に収録された写真や、被害女性が来日して臨んだ証言集会での様子など約70枚を展示する。

正午~午後5時。26日は午後2~4時、台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会の柴洋子さんの活動報告もある。問い合わせは同実行委(090・9981・6608)。【太田裕之】

毎日新聞 2011.6.23

2011/02/08

毎日新聞 NHK問題に絡め久しぶりの長文記事



朝日が慰安婦問題から距離をとるようになってから、支援者にとって毎日新聞が「最後の望み」のようになってしまった感があるが、その毎日新聞でも最近はこの問題をあまり取り上げていないようだ。少なくともネットで見ている限りでは。前は地方版に時々記事が載っていたものだが・・・。

「韓国や台湾、欧州連合(EU)の各議会でも同様の決議が相次いで可決されている」・・・そもそも、毎日新聞はアメリカで慰安婦決議が採択された時、「歴史認識のずれを埋める対話は米国ともアジア各国とも続ける必要がある」とか、「河野談話で示した謝罪と反省を、繰り返し丁寧に説明する努力を怠ってはならない」http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070801k0000m070155000c.html(リンク切れ)などと複雑な心情を垣間見せるような社説を掲載していなかったか?

この記事の内容は普段市民団体が集会などで喋っているそのままである。想像だが、現場で見かける毎日新聞の記者が日頃紙面に書きたくて、デスクに規制されていた思いを吐き出したという感じではなかったか。今回は、NHKやジャーナリズムの問題ということでデスクを通り易かったのかもしれない。 臺宏士、内藤陽記者のこの記事はWam(女たちの戦争と平和資料館)の主張を代弁してるだけ。これでは新聞記者として失格ではないのか?


NHK特番問題:「慰安婦」放送10年 語り始めた現場職員

旧日本軍の従軍慰安婦問題の責任を追及した民衆法廷を取り上げたNHK教育テレビ「ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか 問われる戦時性暴力」が01年1月30日に放送されてから10年。元慰安婦らの法廷証言が削除されるなどした政治圧力の有無を巡る、制作現場とNHK側との見解はいまも対立したままだ。NHKが「改変問題」の検証番組の制作を拒み続ける中で、当時の現場職員は出版や講演などを通じて、「真相」を語り始めている。【臺宏士、内藤陽】

先月30日、NHK放送センター(東京都渋谷区)近くの会場で開かれたNHK番組改変問題について考えるシンポジウム。ゲストスピーカーに招かれた同番組のチーフプロデューサーだった永田浩三さん(武蔵大教授)は「なぜ10年間、慰安婦番組は作られていないのか。ドキュメンタリーは、市民の人たちの力を借りながら作っていくものだ。慰安婦については、バウネット(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)やワム(女たちの戦争と平和資料館)の力を借りなければできない。まず、(市民団体に)話を聞くことから事は始まる」と述べた。

同番組の制作に協力したバウネットは「事前説明と異なる番組内容に改変された」として、NHKなどを相手に損害賠償を求めて東京地裁に提訴。最高裁は08年6月、NHK側に200万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決(07年1月)を破棄し請求を棄却した。ただ、高裁が認定した「政治家の意図をそんたくして当たり障りのない番組にすることを考え(番組の)改変が行われた」としたことについて、最高裁は判断しなかった。

その後も市民グループとNHKとの間で深まった溝は埋まらないままだという。永田さんは「裁判は終わっているのに、(NHKが)前に進もうとしないのであれば番組化することはできない」と危機感を口にした。

番組担当デスクで永田さんの部下だった長井暁さんが05年1月に内部告発。2人は1年半後に制作現場から外され、09年2~3月、続けて退職した。そして永田さんは昨年7月、「NHK、鉄の沈黙はだれのために--番組改変事件10年目の告白」(柏書房)を出版した。その本の中で、当時番組制作局長で番組の内容を変えるよう指示した側にいた伊東律子・元理事(09年死去)から、その指示は海老沢勝二会長(当時)からだったとの証言を引き出している。また本には、吉岡民夫・教養番組部長(当時)が改変箇所を書き留めた台本にあった「フルヤ アベ アライ」の手書きメモの写真も掲載している。当時、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」などのメンバーだった古屋圭司、安倍晋三、荒井広幸の現職の国会議員の名前だとみられる。3人とも放送前にNHK幹部と面会した事実は認めている。緊迫した局内の様子を物語る「証拠」だともいえる。

さらに上からの指示に異議を唱える永田さんに対して松尾武・放送総局長(当時)は「いくらでも慰安婦の問題はできる。これが最後ではない」と明言したという。永田さんは「出版後にNHK関係者を名乗る人物から連絡があり、『会長の指示の下で国会担当の3人の職員が動いていた』と言ってきた。30年以上NHKにいたがあんな異常なことは初めてだった。二度と繰り返さないためにも、当時の幹部には真相を語ってもらいたい」と述べた。

一方、長井さんも昨年10月に東京都千代田区の明治大学で開かれたシンポジウムで、「あの時、何が起きたのか?」という演題で講演した。長井さんはその後も関係者への取材を続けているといい、「自民党の政治家たちが番組を変えようと、国会対策担当局長を通じて番組に手を突っ込み、NHKの編集権、自主・自立が損なわれた事件だった」と振り返った。ただ、自身が内部告発するまでには放送後4年が必要だった。この点については「自分自身の問題としてあのときなぜ戦えなかったのか。処分されたり、組織の中で自分の居場所がなくなってしまうことを恐れた。ジャーナリストの良心に反する要求を拒否するすべはないのか。日本ではあまり議論されてこなかったが、大きな問題だ」と語った。

◇検証番組、制作せず

番組改変問題の影響はいまも残っている。NHKは過去に放送した番組を各地の放送局などで公開しているが、「問われる戦時性暴力」は対象外だ。職員でさえも見られない状態が続いているという。

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は09年4月、改変問題に関する意見書で職員に対して、「番組を自分の目で見、意見書や資料と突き合わせ、自らたしかめ、考えていただきたい」とNHK内部での活発な議論を要望した。福地茂雄会長(当時)も09年5月の会見で、会長自身が職員とこの問題について意見交換することに「職員の中でそういう声が強くあれば、考えてもいい」と述べたが、いまも実現していない。

また、一部の経営委員や視聴者団体から求められた「検証番組」の制作にも消極的だ。松本正之会長は今月3日の記者会見で、「最高裁判決も出されたことで区切りがついたと思っている。私はNHKの原点、放送法の目的に立って、視聴者の期待に応えたいと考えている。(この問題は)01年の話だ。これまでを振り返るのでなく、これから前に向かって放送法の原点にしっかり立ってやっていきたい」といい、「(慰安婦番組については)必要な時に必要な番組を作る。それに尽きる。検証番組は制作するつもりはない」と述べた。

放送倫理検証委員会委員の服部孝章・立教大教授(メディア法)は「この10年間に慰安婦番組が制作されなかったり、ライブラリーで番組を公開していないのは、NHKが問われた『政治との距離』について、いずれ世の中の人が忘れてしまうことを期待しているのではないかと思われてもやむを得ないと思う。また、BPOは現場職員にこの番組問題を考えてもらうことを期待したが、その声が聞こえてこないのは残念だ」と指摘する。

◇国内外で関心高く

番組が放送された後、この問題は国内外で広がりを見せている。

05年8月には慰安婦問題の拠点として「女たちの戦争と平和資料館」(東京都新宿区)が開館した。名乗り出た被害者が高齢で年を追うごとに亡くなっている中で、08年3月、兵庫県宝塚市議会が慰安婦問題解決を政府に求める意見書を全国で初めて可決した。同資料館によると、これまでに36の地方議会が真相究明や被害者の尊厳回復を求める意見書を可決した。

野党だった民主党は00年、被害者に国家賠償の道を開く「戦時性的強制被害者問題の解決促進に関する法案」を初めて参院に提出。その後も共産、社民両党との共同提案が繰り返されている。民主党は09年政策集で慰安婦問題に取り組む考えを表明したが、政権交代後も成立には至っていない。また、同問題を取り上げる教科書は減少。元慰安婦が起こした戦後補償裁判も、10件すべてが原告側敗訴に終わっている。

一方、国際的には08年に国連の自由権規約委員会が日本政府に解決を図るよう勧告。07年から08年にかけて、米、カナダ、オランダ、韓国や台湾、欧州連合(EU)の各議会でも同様の決議が相次いで可決されている

元NHKディレクターで、「女たちの戦争と平和資料館」の池田恵理子館長は「この10年間、慰安婦問題を巡って多くの動きがあった。NHKで番組にできないはずはないと思う」と話している。

毎日新聞2011.2.7