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2017/09/07

「希望の種」に対抗して「事実の種」(日本の保守)


希望の種」に対抗して、「真実の種」。お堅いイメージの保守系にこういった洒落っけがあると知ったのは驚きである。もっとも、この問題については国内的には議論は終了しており、「希望の種」もしょせん挺対協のフロント企業。公開討論を挑むと言うが、日本国内における議論は既に終わっている。ラスボスである挺対協と(英語で)やり合わないと意味はないのだが・・・。

「希望の種」の会見には挺対協のユン代表も出席(右端)
事実上、挺対協の代理人

北野隆一記者の書きぶりだと「慰安婦や性暴力問題に取り組む弁護士や大学教授」vs 「保守系の大学教授や活動家」だが、正義財団(挺対協)vs日本の保守派というのが実体だろう。希望の種自身、正義財団の募金キャンペーンの一翼を担っていることを隠していない。

慰安婦問題巡り新団体発足 「『真実の種』を育てる会」

慰安婦問題や徴用工問題などをめぐって「捏造(ねつぞう)の歴史で日本人の誇りが奪われている」と主張するグループが「『真実の種』を育てる会」を設立し、5日に東京都内で記者会見を開いた。代表の岡野俊昭・元銚子市長が、韓国での慰安婦像設置や徴用工問題をとりあげる動きに対し、「国内外に日本の真の歴史を伝え、捏造の歴史を正す事業を展開する」との文書を読み上げた。

同会は、元慰安婦の支援や性暴力の問題に取り組む弁護士や大学教授らが6月設立した「希望のたね基金」に対抗する形で発足。「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の藤岡信勝・拓殖大客員教授ら保守系の大学教授や活動家が運営委員となり、「希望のたね基金」に公開討論会を申し込んだという。学生への歴史問題講座や、国内外の歴史展示施設への調査活動を計画している。

朝日 2017.9.6

2015/06/19

藤岡信勝187人声明に反論(強制リクルートなし)討論会を提案

Forced recruitment(強制リクルート)は無かったという藤岡
海外の日本研究者たちを納得させられるか

日本軍の慰安婦問題を「その規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において・・・特筆すべきもの」と断じた世界の日本研究者らによる187人声明に対し、藤岡信勝教授が賛同者の全員に反論書→[日本語版 強調引用者]を送ったという。

声明の賛同者は最終的に450人を超えた。多くは、勧められるまま良く分らずに署名したのだろうと思われるので、一人一人にこうして問い質すのは良い考えだと思う。藤岡教授がこの機会を「好機到来」と捉えたのにも同感である。エズラ・ヴォーゲル、ジョン・ダワー、アンドルー・ゴードンといった日本研究者が名指しされているが、こうなってしまった以上、彼らは署名してしまった事実に、これから向き合って生きて行かねばならない。大量破壊兵器の存在を信じてイラク攻撃を支持した人々と同じ十字架を背負ったわけである。

敗戦と同時にこの問題から開放された日本軍と、基地村売春、ベトナムの「慰安所」など、アメリカ軍には半世紀を軽く超える買春の歴史がある。そんな彼らが生み出した「被害者」が、20年足らずの日本軍慰安所による「被害者」より少ないと何を根拠に言うのか、彼らは自分の口で説明しなければならない。「アメリカの『日本研究者』よりも、日本の、多少とも啓蒙された国民のほうが、慰安婦問題の真相を知っている」というのは、藤岡の言う通りだろう。日本研究者の面目丸潰れである。


一国をこのように断定して非難の対象とするからには、よほど慎重な事実の検討と、比較作業の積み重ねが必要です。質問しますが、皆様方はそのような慎重な作業をなさったのですか「187人の歴史家声明」に対する応答と提案 強調引用者)


藤岡が反論の為に持ち出す米軍の公文書
実は強制リクルート説に有利な内容でもある

ただ、藤岡の反論には危なっかしさもある。「吉見義明は、日本のテレビの討論番組で、『朝鮮半島における強制リクルート英語版)の証拠はない』と述べています」という説明には、外国人はポカンと口を開けるかもしれない。


the only Japanese scholar who the nineteen American historians cited as endorsing their viewpoint was Yoshimi Yoshiaki, who stated on a Japanese TV talk show that, “There is no evidence for forced recruitment of comfort women on the Korean peninsula.”

A Counter Response and Proposal to the “Open Letter” written by 187 Historians

吉見教授の発言は、当時の日本においてこそ衝撃的だったが、(韓国だけでなく)アジア中から集められた女性が強制売春に従事させられていた問題と聞かされている欧米人のニワカ集団(日本研究者)には、問題の矮小化と受け取られるかもしれない。そもそも、吉見は著書の中で朝鮮半島でも強制リクルートはあったと書いているではないか、と彼らは思うだろう(吉見曰く、騙されて慰安婦になるのも強制)。日本人に通じる説明がそのまま外国人にも理解出来ると考えない方がいい。

藤岡が反証のつもりで持ち出している『尋問調書第49号』や朝日新聞の過去記事撤回だが、アメリカでは逆に、強制リクルートと安倍政権下の言論弾圧の証拠と見なされている。

「日本人男性が特筆すべき強い性欲の持ち主でないことだけは確か」であるとか「日本人には・・・猟奇的な趣味はなく(い)」というのも、何だろう?性欲の問題があるから慰安所を設置したのであるし、日本人だけが残虐性とは無縁というような物言いは相手にされないだろう(四肢切断という文化についてはともかく)。「現地での強姦事件が殆どなかった」という主張は、藤岡自身が文中で何度も引用している秦郁彦の見解とも矛盾する。秦は、著書の中で(第二次大戦に限れば)日本軍は英米軍よりこの点で「お行儀が悪かった」と言っていたはずである。

それでも、日米の研究者による討論会をという提案は歓迎したい。「植民地と占領地から、貧しく弱い立場にいた女性を搾取した」日本軍(本当は内地人が多かったらしい)は問題だが米軍は敗戦国(日本)の女性を搾取したのだから非難には価しないと言うなら、とんだ知日派である。


結論として、私は最後に、日米の研究者の間の真摯な、一連の討論会の開催を提案します。テーマは、日本軍の慰安婦制度とは何であったのか、戦場の性処理問題の国際比較、現在の世界で繰り広げられている深刻な人権問題、などについてです。討論は、証拠と論理に基づく冷静で学術的なものとします。

そうした場を日本の外務省がつくってもいいし、民間の財団が旗を振っていただいてもよいと思います。相手の視点から学ぶ相互対話が今ほどふさわしい時はありません。
私達が力を合わせれば、21世紀を「希望の世紀」とすることができるはずです。


2015/01/27

13本の記事と「国際常識」の因果関係は立証可能か? 朝日賠償訴訟


朝日新聞が、林博史らのグループだけでなく、自分に敵対する側の動きも取り上げたことは、同社が「社外からの異論や反論を丁寧に受け止め」るという約束を守ったと評価すべきなのか。

それにしても、渡部昇一らが13本の記事が海外メディアを通じて海外に拡散したと言っているのであれば、第三者委員会の結論とは違う。吉田清治の記事と現在の「国際常識(バイアス)」との因果関係は立証出来るのだろうか?

NHKもこのニュースを取り上げた。

慰安婦報道巡り、慰謝料求め朝日新聞社を提訴

朝日新聞の慰安婦に関する報道で「国民の名誉が傷つけられた」として、国内外の8749人が26日、朝日新聞社に1人あたり1万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。

訴えたのは渡部昇一・上智大学名誉教授ら研究者、評論家、衆院議員らのほか、呼びかけに応じた人たち。

訴状で原告側は、慰安婦にするため女性を無理やり連行したとする故吉田清治氏の証言記事など、1982~94年に掲載された計13本の記事を「虚報」としたうえで、「多くの海外メディアに紹介され、ねじ曲げられた歴史を国際社会に拡散させた」と主張。「日本国と国民の国際的評価は著しく低下し、原告らを含む国民の人格や名誉が傷つけられた」としている。

朝日新聞社広報部は「訴状をよく読んで、対応を検討します」との談話を出した。

朝日 2015.1.26


「朝日新聞」を8700人が集団提訴 慰安婦問題「虚偽報道で人格傷つけられた」…1人「1万円」の慰謝料と謝罪広告求める

 慰安婦をめぐる朝日新聞の報道により、誤った事実を国際社会に広め、日本国民の人格権や名誉を傷つけたとして、市民ら約8700人が26日、同社に1人当たり1万円の慰謝料と謝罪広告を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 原告側が問題としているのは「慰安婦を強制連行した」とする吉田清治氏の証言に基づいた記事など13本。朝日新聞は昨年8月に吉田氏の証言を虚偽と判断、記事を取り消した。

 原告側は訴状で「日本の官憲が慰安婦を強制連行したという証拠はない」と主張。その上で、問題の記事は「『日本軍に組織的に強制連行された慰安婦』というねじ曲げられた歴史を国際社会に拡散させ、わが国が激しい非難を浴びる原因になった」と指摘する。

 原告にはジャーナリストや国会議員も含まれる。今後2次提訴も検討中で、最終的に原告数は1万2千~3千人になるという。

 提訴後に記者会見した原告団長の渡部昇一上智大名誉教授は「朝日新聞が国民に恥ずかしい思いをさせていることに心から怒りを感じている」と述べた。

 朝日新聞社広報部は「訴状をよく読んで対応を検討する」とコメントした。

産経 2015.1.26

2014/11/06

国際社会に理解されそうにない次世代の党「強制連行は無かった」

日本人以外には意味が通じない

もしも次世代の党が国内での論争だけを考えているならそれでもいいが、「いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り・・・国際社会から正当な評価を受け」たいと考えているなら、まず強制連行という言葉を使うのを止めるべきではないのか?ジャパン・タイムズの最近の記事(The uncomfortable truth about ‘comfort women’)を見ても分かるように、外国人は日本人(特に日本の右派)が何を否定しているのか、まったく理解出来ないでいる。この記事でも強制連行を— forced transportation(強制的な移送)と訳している。で、例によって「オランダ人女性が・・・」という話になっている。

次世代の党 慰安婦問題で決議案

次世代の党は党の総務会を開き、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り、朝日新聞が一部の記事を取り消したことなどを踏まえ、国際社会から正当な評価を受けることができるよう、政府に取り組みの強化を求める国会決議案をまとめ、今の国会への提出を目指す方針を決めました。

次世代の党は、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り、朝日新聞が一部の記事を取り消したことなどを踏まえ、日本の立場を改めて明確にし、国際社会に発信する姿勢を国会が示す必要があるとして、4日の総務会で独自の決議案を取りまとめました。
決議案は「政府が徹底した調査をしたにもかかわらず、旧日本軍や官憲による、いわゆる強制連行を示す証拠が見つかっていないことを改めて確認する」としています。

そのうえで、決議案は、客観的な事実に基づく正しい歴史認識が形成され、日本の取り組みに対して国際社会から正当な評価を受けることができるよう、政府に対し、関連史料を外国語に翻訳して情報公開に努めるなど、国際社会への働きかけの強化を求めています。

次世代の党は、自民党などに賛同を呼びかけたうえで、今の国会への提出を目指す方針で、山田幹事長は記者団に対し、「決議案は政府のこれまでの国会答弁を踏まえた内容であり、自民党などの賛同を得て可決を目指したい」と述べました。

NHK 2014.11.4

次世代、「慰安婦強制連行なかった」対外広報強化要求も 国会決議原案まとめる

次世代の党は28日、慰安婦の強制連行はなかったことを確認する国会決議原案をまとめた。山田宏幹事長は記者団に「日本軍による強制連行があったという証拠がなかったことを確認し、その確認のもとに日本の対外広報をただしていく内容だ」と説明した。山田氏は「同じような志を持った国会議員や政党に対して(採択へ向けた)働きかけをしていく」とも強調した。

産経 2014.11.4



追記: 次世代の党は12月の衆院選で大敗。衆院での勢力は19から2へ。

・・・慰安婦問題は首相が重視してきた課題だが、足下の自民党では大きなテーマにはならなかった。首相と次世代は「保守」という共通理念の下、与野党の立場を超えて役割分担してきたといえる。首相が目指す憲法改正でも、足並みをそろえたいところだった。次世代の後退は、政権にとって野党からの側面支援を失うことになりかねない。

落選した次世代幹部は寂しげにこうつぶやいた。

「いったいだれが国会で慰安婦問題を聞くの? これから安倍政権は漂流していくよ」

産経(一部) 2014.12.21

2014/05/25

国連機関日本に「国民に慰安婦教育を」 愛国バンド事件が引き金

ナヌムの家に送りつけられたCD
即座に日本のイメージダウンに利用された

愛国ロックバンドの行為に、国連機関から日本に対し国民の教育を徹底するようお達し。「日本の嫌韓派のロックバンド」・・・ありましたね。昨年、桜乱舞流というバンドですが、ナヌムの家に慰安婦を罵る内容の歌を録音したCDを送りつけたという事件。日ごろ韓国には厳しい笑韓ブログ「こりあうぉっちんぐ」のご隠居さんにも、このように批判されてました。

黒田記者は「日本軍が強制連行したという事実はないが、大変な仕事に従事してこられた方々には、ご苦労様でした、という言葉を贈りたい」というような意味のことを書いていたかと思います。・・・慰安婦の大半は貧しい東北その他から身売りされた娘たちだったのです。

雪深い越後の寒村・・・要するに私の村・・・からも身売りした娘たちは確実に存在していたのです。とても”売春ババア”などという罵り言葉は許せるものではありません。


もっとも、ご隠居さんも「ナヌムの家の連中を『嘘吐きババア』と罵るのなら別に非難はしません」と言っているように、「ハルモニ」が恨みを買っているのは、支援者たちのせいである。とはいっても、「愛国バンド」の行為により、日本は国連機関で評判を落とした。結果的に彼らはジャパン・ディスカウントに一役買うことになったのである(Youtubeに彼らが上げた動画は差別を理由に削除された)。

「慰安婦妄言が出ないよう全国民に教育を」国連、日本に警告

国連が日本に対して「全国民レベルで慰安婦問題の教育をするように」との勧告に乗り出した。

国連の経済・社会・文化的権利委員会(CESCR・社会権規約委員会)は21日、ホームページに掲載した公式見解を通じて「日本は(日本国内の)ヘイトスピーチ(Hate speech、特定人種・性・宗教などに対する憎悪表現)と元従軍慰安婦の女性らに汚名を着せるような行為を防ぐために、国民に従軍慰安婦の強制連行問題を教育することを願う」と明らかにした。

CESCRは、国連の人権保障条約である『経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(社会権規約)』締結国を対象に定期的に見解を発表している。CESCRの見解は法的拘束力はないが、締結国政府はこれを誠実に受け入れる義務がある。今回の見解は、先月末に日本政府と市民団体の意見を聴取した後に整理した。CESCRは「日本は従軍慰安婦問題に対処し、被害者女性の経済・社会・文化的な権利を保障するためにあらゆる手段を取るように」と付け加えた。

今回の審査は、日本の嫌韓派のロックバンドが3.1独立運動記念日を翌日に控えた2月28日、従軍慰安婦出身の女性を売春婦だとののしる歌詞の歌を入れたCDと歌詞の翻訳文を元慰安婦の女性らが住む京畿道広州(キョンギド・クァンジュ)の“ナムヌの家”に郵送した事件がきっかけになった。日本維新の会の橋下徹共同代表の慰安婦関連妄言が出てくる前のことだった。

朝日新聞は22日「日本政治家の発言を直接批判したものではないが、従軍慰安婦について日本社会で理解が深まっていない点を憂慮した言及とみられる」として「『殺せ』などのような極めて差別的な表現行為が放置されている日本の現実に対して今後も厳しい批判が続くようだ」と指摘した。

菅義偉官房長官はこの日の記者会見で「(日本政府の)立場を説明して、私たちがこの問題にどのように対応しているのか理解を得られるように努力していく」と話した。




参考までに当時の報道。

「ナヌムの家」側は告訴を検討――日本から人権侵害のCD送付

 元従軍「慰安婦」の女性たちが共同生活している韓国・広州市の「ナヌムの家」にこのほど、「売春ババア殺せ チョン切れ」などという歌詞の入った日本のロックバンドのCDが何者かから送り付けられ、現地で怒りを呼んでいる。

 韓国の「聯合ニュース」などの報道によると、届いた包装物の差出人は「東京都千代田区 桜乱舞流」とあり、中に「チョン斬る!桜乱舞流」と書かれたCDと、曲の歌詞のハングル訳を記したA4判の紙一枚が入っていた。

 この「桜乱舞流」と称する女性ボーカルを交えたロックバンドは実態が不明だが、演奏が公開されているインターネットの You tube で「愛国バンドです。朝鮮人を殲滅せよ!」とだけ、自己紹介されている。

 流されている曲の歌詞は「竹島から出て行け」「特定アジアはいらねえ」「クソ野郎 飲み水までクソまみれ」などと、朝鮮・韓国人に対する攻撃と差別表現だらけの内容だ。曲と同時に、「日の丸」を持った若者が韓国の国旗を踏みにじったり、「朝鮮人慰安婦の大嘘 日本人の重大な人権侵害」と書かれたプラカードを掲げる動画も含まれている。

 今回、「ナヌムの家」に送りつけられたCDはこれと同じ内容と見られるが、「聯合ニュース」(日本版)が三月三日に配信した記事では、「ナヌムの家」の女性たちが「幼くして連行され、苦痛を強いられた事実を全世界が知っており謝罪すべきだと言っているのに謝罪はおろか、なぜこんなことができるのか」と、「失望と怒りをあらわにし」ていると報じられている。このため「ナヌムの家」の女性八人が四日、ソウルの中央地検に名誉毀損でこのバンドを告訴した。今回の問題の背景にあるのは、「在特会」(在日特権を許さない市民の会)など日本の排外主義者グループが、各地のデモなどで「朝鮮人殺せ」といった過激なスローガンをエスカレートさせている現状だ。『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』(講談社)の著者であるジャーナリストの安田浩一氏は、「『桜乱舞流』は悪質な排外主義者の流れだろう。元従軍『慰安婦』の方々にすらこういう行為をする人間が出てきたということは、排外主義の高まりを示す極めて憂慮すべき事態だ」と語っている。

週間金曜日 2013.3.26

2013/08/05

産経の「性奴隷でない」は反論として有効か?

「強制性の有無」「性奴隷か否か」そういった議論に付き合う必要はない

保守系には迂闊な議論が多い。これが国際社会に誤解を与え、反日勢力を喜ばせている。こういう人たちは簡単に相手の土俵に乗る。一方、彼らの敵は論点をすり替え自分の土俵に引き込もうとする。そして多くの場合それに成功している。

勝算が乏しい軍隊は自分に有利な地形に相手を引き込もうとする。強制連行(徴用)の有無を巡る議論が戦時中ならどこにでも見られた「強制性」の有無に話をすり替えられたのも、敗色濃厚な側が議論の土俵を変えようとしたに過ぎない。英語ではゴールポストを動かすという言い方がある。話を逸らそうとする相手には、誤魔化すなと一喝するだけでいいのに、ノコノコ相手のペースにはまる粗忽者が今も後を絶たない。

日本を貶めるために「性奴隷(sex slave)」という言葉が使われているのも事実だが、当時の公娼と同じだから性奴隷ではないと言うのは、またも相手のペースに乗せられた議論である。なぜ自分たちの事は棚に上げ日本にだけこうした毒々しい言葉を使うのかと言い返せばいいのに。

慰安婦にも義務教育にも「強制性」はある。当時の公娼も慰安婦も性奴隷(sex slave)と呼ぼうと思えば呼べる。Sex slaveという言葉は、かなり広い意味で使われるのである。性奴隷という言葉に拘ることで、またしても泥沼に嵌るのではないか?産経新聞にはもう少し緻密な理論を期待したい(橋下大阪市長も性奴隷という言葉に拘っている)。

河野談話20年 偽りの見解を検証し正せ 慰安婦は「性奴隷」ではない

いわゆる「従軍慰安婦」の強制連行を認めた河野洋平官房長官談話の発表から20年たった。この間、事実誤認が明らかになり、強制連行説は破綻した。しかし、談話は見直されないまま存続し、今も日本の近隣外交を縛り、教育現場に深い傷痕を残している。

安倍晋三政権は、早急に河野談話を検証するとともに見直しに着手すべきだ。

河野談話は宮沢喜一内閣が退陣し、細川護煕氏が首班の非自民6党連立政権が発足する直前、平成5年8月4日に出された。

◆「強制連行」裏付けなし

談話は「従軍慰安婦」という戦後の造語を使い、その募集について「官憲等が直接これに加担したこともあった」と日本の軍や警察による強制連行を認める内容だった。河野氏も会見で「強制連行」があったと明言した。

しかし、それまで宮沢内閣が約1年半かけて内外で集めた二百数十点に及ぶ公式文書に、強制連行を裏付ける資料は1点もない。

根拠とされたのは唯一、発表の直前、日本政府がソウルで行った韓国人元慰安婦16人からの聞き取り調査だけだった。証言の信憑(しんぴょう)性の調査も行われていない。

この事実は後に、河野談話にかかわった石原信雄元官房副長官の証言で明らかになった。

にもかかわらず、歴代内閣は河野談話の検証を怠り、放置した。河野氏が強制連行を認めるもとになった韓国人元慰安婦の「証言」なるものも、国民には知らされていない。河野談話に基づく慰安婦強制連行説が、今なお国際社会で独り歩きしている。

5月末、国連拷問禁止委員会が慰安婦を「日本軍の性奴隷」と表記し、元慰安婦への補償と関係者の処罰を求める勧告を出したことにも違和感を禁じ得ない。

「性奴隷」は、慰安婦が奴隷狩りのような手段で集められた印象を与える。欧米の多くのメディアが、この言葉を意図的に使っているとしたら問題だ。

戦時中、山口県労務報国会下関支部動員部長だったという人物が「自ら韓国の済州島で慰安婦狩りを行った」と述べ、国連人権委員会の報告に取り上げられたが、現代史家の済州島での現地調査で、「告白」は嘘と分かった。

戦地慰安所の生活条件は、当時の遊郭とほとんど変わらなかったことが、学問的にも確かめられている。慰安婦は決して「性奴隷」ではない。不当な日本非難に、きちんと反論してこなかった外務省の責任も重い。

慰安婦問題は、知日派といわれる外国の人たちにも十分に理解されていない面がある。

シーファー前駐日米大使は5月にワシントンで開かれた日米関係に関するシンポジウムで、安倍政権の閣僚の靖国神社参拝には「(戦没者に)敬意を表したいという感情は理解できる」と述べる一方、河野談話の見直しは「米国における日本の利益を大きく害することになる」と指摘した。

◆知日派にも誤解広がる

アーミテージ元米国務副長官ら超党派の外交・安全保障専門家グループも昨夏、「日本は韓国との歴史問題に正面から取り組むべきだ」と忠告した。

安倍首相は、菅義偉官房長官の下で有識者から意見を聴く考えを表明している。石破茂自民党幹事長も、テレビ討論番組で「慰安婦問題、侵略の問題は検証していくことが必要だ」と語っている。

ただ、日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長の慰安婦問題に絡む「風俗業活用」発言などが国際社会でも批判されたことは、記憶に新しい。慎重に手順を踏んで検証作業を進めてほしい。国会も、河野氏や石原氏らを招致して、直接経緯を聞く必要がある。

第1次安倍内閣は19年、「政府が発見した資料には、軍や官憲による強制連行を直接示す記述はない」との答弁書を閣議決定した。これは現時点での日本政府の共通認識として、在外公館が繰り返し発信していかねばならない。

河野談話は、教育現場にも計り知れない悪影響を与えた。

多くの教科書に慰安婦をめぐる自虐的記述が登場している。「新しい歴史教科書をつくる会」の発足などで、極端な記述は減る傾向にあるが、十分とはいえない。

日本の未来を担う子供たちに間違った不名誉な歴史を伝えないためにも、河野談話の誤りは正す必要がある。

産経 2013.8.4

2012/10/08

河野洋平、重い口開く--時代の証言者


インタビューを拒否して来た河野洋平が、読売新聞の連載シリーズ「時代の証言者」(第16回)の中で、河野談話について重い口を開いた。


現在では想像出来ないが、かつてはあのハルモニ(お婆ちゃん)同士が公衆の面前で罵り合うこともあったのである。村山元首相の前で慰安婦が喧嘩するということもあったらしい。日本からの償い金の受け取りを表明した女性を売国奴と罵った慰安婦たちのバックにいたのが、挺対協のユン・ジョンオクであった。他にも初出かどうかは分からないが、銀行がトップの意向でアジア女性基金に非協力的だったこと(当初は、朝日新聞も女性基金を批判していた[要確認])、キム・デジュン(金大中)から何やら促されていたことも証言している。

閣議決定はされていなくとも、河野が言うように、歴代の自民党政府と民主党政府が踏襲してきたという事実は重い。

しかし、「今も苦しむ女性の存在や戦争中の悲劇までなかったと言わんばかりの主張には、悲しみさえ覚えます」というのは、誤魔化しではないのか。河野談話に批判的な保守派でも、「不幸な境遇の方々がおられたことは認識している。この点に関しては同情を禁じえない」と言っているのである。

批判者を悪者にして誤魔化すのは卑怯
中山成彬も慰安婦には同情すると言っていた

「アジアのみならず欧米諸国からも日本の人権意識を疑われ、国家の信用を失いかねません」・・・今問題になっているのは、河野談話を根拠に日本政府が軍を用いて強制的に数十万単位の女性を徴用したという都市伝説が定着し、それを否定するだけで「国家の信用」が疑われるという状況である。河野談話を撤回せずとも河野が一言説明すれば済む話なのに、彼はそれをしない。「悲しみさえ覚える」のはこっちの方である。

インタビュアーの言っていることも分かりにくい。「軍や官憲が強制的に連行したと示す資料が発見されないまま、証言のみで『強制性』を認めた」。・・・「強制的に連行」ではなく、強制連行というのは法律に基づいた徴用のことである。そう百科事典にも書いてあるではないか。

時代の証言者

河野談話「内閣の意志」

《1993年8月、いわゆる従軍慰安婦問題で、旧日本軍や官憲による「強制性」を認めた河野官房長官談話が発表された。しかし、旧日本軍が女性を組織的に強制連行して「性奴隷」にしたとの誤解を国際社会に定着させた「負の遺産」だとして、見直しを求める声が根強い》

92年7月、加藤紘一官房長官が慰安婦に関する調査結果を発表、謝罪しました。軍当局による慰安所の設置と運営、旧日本軍の車両での女性移送などの事実が省庁の文書で確認された一方で、募集方法など「強制徴用」を裏づける資料は見つからない。韓国は満足せず、加藤さんの後任の私は警察、防衛、外務、文部、厚生、労働の各省庁に更に調査を依頼します。時間の経過などから積極的協力を得るのは大変で、最後に実施した元慰安婦本人からの聞き取りも難航しました。

最大の障害は名乗り出た元慰安婦同士の対立で、まず日本政府が謝罪して賠償せよと言う集団が、生活の困窮で償い金が得られるなら応じてもいいと言う女性を「売国奴」と罵倒する。日本政府調査団の慎重姿勢に徐々に心を開いた16人が当時、「出所や中身は公表しない」との約束で口を開いてくれた。内容を全て公表できないのは、本人だけでなく親族が皆、白い目で見られた環境ゆえです。

厳しい状況で得た証言では、日本の軍人が威嚇して女性を連れていった、工場の下働きの仕事だとだまされた、日によっては20人を超す兵隊の相手をさせられた、敗走時は置き去りにされたといった、痛ましい体験が語られていた。軍には逆らえない状況下で、総じて「強制性」を認めるべき内容だと判断しました。

《談話への批判の主な理由は、軍や官憲が強制的に連行したと示す資料が発見されないまま、証言のみで「強制性」を認めた点だ》

証言を読んだ宮沢さんは衝撃を受けていました。私が発表した談話は、日韓だけでなく米国の国立公文書館などの資料も慎重に検討し、宮沢内閣の責任で決めた「内閣の意志」です。閣議決定はしていませんが、その後の全ての自民党政権も民主党政権も踏襲してきた。にもかかわらず、紙の証拠がないからといって戦後半世紀を超えて今も苦しむ女性の存在や戦争中の悲劇までなかったと言わんばかりの主張には、悲しみさえ覚えます。アジアのみならず欧米諸国からも日本の人権意識を疑われ、国家の信用を失いかねません

談話見直し論を引き起こした李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領の竹島上陸や天皇陛下への謝罪要求は看過できない。ただ、歴代大統領が歴史問題で日本へのいら立ちを募らせてきたことも事実で、古い友人の金大中(キム・デジュン)さんも何度もそう言っていました。

元慰安婦への償いを表すため、村山連立政権時にアジア女性基金ができます。日韓の国家賠償は65年に請求権協定で決着済みなので国民の善意に頼る枠組みとし、6億円が集まりますが、熱心に手を挙げていた銀行が「トップの意向」と言って寄付金の受け入れを拒否し、経済界はほとんど協力しないなど、関与を避ける空気も強かった。その中で、参院議長を退任した原文兵衛さんが「日本人の責任だ」と基金の理事長を引き受けた態度は立派でした。(編集委員 伊藤俊行)

読売 「時代の証言者 保守・ハト派 河野洋平 16」 2012.10.8

けっきょく慰安婦本人の証言に重きが置かれたわけだが、彼女たちの証言を検証できるプロがいなかったことが大きいのではないか?せめてアン・ビョンジク教授らが参加した韓国側の調査くらい本格的であれば。


この記事について、韓国のメディアが早速飛びついたが、例によって都合のいい部分しか引用されていない。

河野は「極右」政治家を真っ向批判したわけではない。最近では左寄りと言われる毎日新聞の中からも河野談話を取り下げた方がいいという声が上がるようになって来ている。また、彼は歪曲された歴史観だとまでは言っていない。強制連行(河野は「強制徴用」という言葉を使った)の証拠はなかったが、女性たちは気の毒だったと言っているだけで、韓国人が主張するような「20万人が拉致された」といった主張を肯定したものではない。繰り返しになるが、それを丁寧に外国に説明しようとしないのが、河野の最大の問題である。

河野前長官、極右政治家批判

1993年従軍慰安婦の強制性を認めて謝ったいわゆる「河野談話」の主人公である河野洋平前官房長官(写真)が日本の極右政治家たちの歪曲された歴史観を正面から批判した

河野前長官は8日読売新聞とのインタビューで「資料上の証拠がないという理由で苦痛を味わっている女性(慰安婦)の存在と戦争中の悲劇までなかったという主張に悲しみを感じる」として「アジアだけでなく、米国やヨーロッパからも日本の人権意識が疑いを受け、国家の信用を失うことになるかも知れない」と憂慮した。 安倍晋三自民党総裁など日本の極右政治家たちが最近相次いで河野談話を修正したり廃棄しなければなければならないと主張した以降、河野前長官が直接解明に出たことは今回が初めてだ。

河野前長官は1993年談話文を通じて「(日本軍)慰安所は当時軍当局の要請によって設置されたし慰安所設置、管理および慰安婦移送には過去の日本軍が直・間接的に関与した」と慰安婦の強制性を認めた。

韓国経済 2012.10.8

고노 前 장관, 극우 정치인 비판

1993년 종군위안부의 강제성을 인정하고 사과했던 이른바 ‘고노 담화’의 주인공인 고노 요헤이(河野洋平) 전 관방장관(사진)이 일본 극우 정치인들의 왜곡된 역사관을 정면으로 비판했다.

고노 전 장관은 8일 요미우리신문과의 인터뷰에서 “자료상의 증거가 없다는 이유로 고통을 겪고 있는 여성(위안부)의 존재와 전쟁 중의 비극까지 없었다는 주장에 슬픔을 느낀다”며 “아시아뿐 아니라 미국과 유럽으로부터도 일본의 인권의식이 의심받아 국가의 신용을 잃게 될지도 모른다”고 우려했다. 아베 신조(安倍晋三) 자민당 총재 등 일본의 극우 정치인들이 최근 잇따라 고노 담화를 수정하거나 폐기해야 한다고 주장한 이후 고노 전 장관이 직접 해명에 나선 것은 이번이 처음이다.

고노 전 장관은 1993년 담화문을 통해 “(일본군) 위안소는 당시 군 당국의 요청에 의해 설치됐고 위안소 설치, 관리 및 위안부 이송에는 옛 일본군이 직·간접적으로 관여했다”고 위안부의 강제성을 인정했다.

2011/07/03

法然院と保守系団体の対話



寺側の言い分も理解できる。寺側がこういった催しを拒絶するのは適当ではないだろう。確かに挺対協が色々な催しを企画して資金を集めているのは事実で、彼女たちが巧みな話で疑う事を知らない日本人を説得している様子を目撃した立場からすると、複雑な気持ちはある。

しかし善意で企画された催しもあるはずである(その金がどこぞの団体に寄付されているとしても)。支援団体には展示会を開催する自由があり、法然院には場所を提供する自由があり、それに反対する団体が催しに抗議する自由がある・・・という所だろう。

なおこれは台湾人慰安婦に関する写真展だが、基本的に台湾の慰安婦支援運動は韓国のそれと比べ反日色が薄いようである。「旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・京都実行委員会」も善意の団体のように見受けられる。

なんにしろ、対話が平和裏に行われたのは良かった。


その一
その三

(事情を知らない人を説得するのに、「強制連行はなかった」というのはどうか?「強制連行」という左翼言葉を使っている時点で、相手の土俵に乗っている。この言葉は非常に気をつけて使わなくてはいけないと思う)

2011/06/26

韓国大使館前で逆水曜デモ?



[BU]

日本の保守系市民団体が、韓国の「慰安婦問題の碑」計画に対して抗議の声を上げている(動画その1)。場所は東京の韓国大使館前。これは逆水曜デモか?主張としては、オーソドックス。手を変え品を変えといった印象のある韓国側と日本の進歩派のアピールに比べ、日本の保守系の主張は、良く言えば一貫している、悪く言えば十年一日で工夫が足りない(吉田証言は、現在では韓国でも相手にされていない)。

なぜ被害者たちは戦後25年以上訴え出なかったのか(5:10)?これには糾弾派の言い分にも一理ある。女性が訴えられる雰囲気ではなかった、というのも事実の一部には違いない。実際、朝鮮戦争の際の慰安婦として、あるいは米軍基地村の(国策)売春婦として搾取された人々(写真左)は表立って訴えることが出来ないでいる。そしてその事に触れようとしないが故に、自分は挺対協とそれを支持する日本の「良心的市民」に対して懐疑的にならざるをえないのである。

ちなみに彼女たちは日本大使館前の通りを「平和通り」と改名させる積りらしい(写真右)。戦争(争い)とは、こうした美しい大義と共にやってくる。これは彼女たちにとって「平和」という大義の元に戦われる聖戦なのである。大義の下に日本人の「名誉と尊厳」が傷つけられている・・・日本の保守派の気持ちとしては、そんな所ではないか?

女性の演説は、性を前面に出す糾弾派に対抗する意味で有効ではあるだろう。この演説では、韓国・朝鮮人に対する侮蔑的表現は使われなかったようである。十年一日と書いたが、この点は進化と評価すべきだろう。いかに腹立たしかろうと、ヘイト・スピーチは絶対に国際社会に受け入れられない。これならば、日本人(保守派)の主張として、英語でも紹介できる。







たしかに、ソウルの日本大使館前で「慰安婦問題」デモがあるなら東京の韓国大使館前でも「慰安婦問題」デモがあってもいい。ただし、両者の言い分は真逆。

2011/01/03

「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」と国益【07年】


それにしても、スマラン事件は「強制連行(徴用)」とは関係ないだろうに・・・。保守系議員の「まっすぐ君」にも困ったものである。

こういう人間はブーメランパンチばかりなので、隙が多くつけ込まれやすい。けっきょく自ら国益を損うことになる。

慰安婦問題に関する「日本の前途と歴史教育を考える議員の会(会長:中山成彬)」の提言。


1.「慰安婦」問題に関し、今、米国下院に提出されている決議案は、「若い女性を日本帝国軍隊が強制的に性奴隷化」、「輪姦、強制的中絶、屈辱的行為、性的暴行が含まれるかつて例のない」、「20世紀最大の人身売買」などの客観的史実に基づかない一方的な認識により、日本政府に対して謝罪を求めている。日本の名誉のためにも米下院関係者を含め、「慰安婦」問題に関して内外に正確な理解を求め、決議案が採択されないよう、引続き外交努力を行う。

2.今回の慰安婦決議案も含めた数々の「慰安婦」問題に対する誤った認識は、平成5年の河野官房長官談話が根拠となっている。当時は公娼制度が認められており、慰安婦の中には不幸な境遇の方々がおられたことは認識している。この点に関しては同情を禁じえないし、遺憾の意を表する。しかし、我々の調査では、民間の業者による本人の意思に反する強制連行はあっても、軍や政府による強制連行という事実はなかった。1件だけ、ジャワ島における「スラマン事件」があったが、これは直ちに処分されており、むしろ軍による強制連行がなかったことを示すものである。政府として本問題の根本的解決のため、再度の実態調査を行い、関連する資料等の結果を全面的に公開することを求める。》 


3年後、中山ら自民党は野に下り、慰安婦問題に熱心な与党の岡崎トミ子議員を追及することになるが、その時、岡崎は「(慰安婦の)名誉と尊厳」というフレーズを繰り返した。すると、保守派は日本人の、進歩派は慰安婦の名誉の為に戦っているわけだ。つまりこれは「名誉と尊厳」の奪い合いであるらしい。


朝日記者 提言をまとめるまでの間、国内外からも反発があり、色々、影響があったかと思うが、この間の活動を総括して、国益上のメリット、デメリットはどういうものがあったか。

中山氏 ・・・私どもは日本の、日本人の名誉のため、先の戦争でお国の犠牲になられた旧日本兵の方々、沢山の日本人の方々がいらっしゃるので、その方々の名誉のためにも事実は事実としてはっきりと世界に示して、日本人の誇りを取り戻すべきだと思いますよ。・・・

朝日記者 (吐き捨てるように)特にデメリットはなかったということでよろしいんですね。

中山氏 デメリットって何ですか?

朝日記者 いや、つまり国益上のですね…。

中山氏 我々は国益を守るためにやってるんですよ。今日も申し上げたんですけどね、これは国家的ないじめだと。黙っていると、日本の子供達は黙っているといじめられちゃうんで。・・・やはり、反論すべき事は反論していくと。こういう姿勢を貫いていかないと、これからの国際社会において日本の存在感は薄れていくと思いますよ。そういう意味で、私たちは国益のためにやってるんです。国益を損ねようとしている、損なっているとは全く思っていません。

TBS記者 国益のためにやっているというが、米国人等の感情を刺激するのは良くないと、かえって悪い方向に行かないように、という意見はなかったか。

中山氏 私は最初からこの問題は非常に微妙な問題、国内的にも国際的にも非常に微妙なので、非常に慎重にして行かなきゃいけないと思っておりました。しかし、あらぬ誤解とか、曲解に基づく批判に対しては、はっきりと反論していかなきゃいけない。降りかかる火の粉は払わなければ、日本の存在そのものが危ういと。そこが国益じゃないかと思ってます。だから、日本の若い留学生達が例えばアメリカとかカナダに行って、中国の留学生から「あんたの祖先は悪いことばっかりしたんだ」と批判されてね、それに対して反論も出来ずに小さくなっているという人もいる。そういう意味で、歴史教育についてもしっかりやっていかなければならないということじゃないかと思います。》




《「慰安婦」問題に関し「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は、「慰安婦問題に関する小委員会」を立ち上げ、昨年12月より有識者、歴史研究者等からの資料の提供、聞き取り等を踏まえ、調査、検証を重ねてきた。
我々としては、歴史の事実に対し、常に誠実、謙虚でありたいと考える。同時に事実ではない、あるいは証左に基づかない非難に対しては明確に正当な主張、反論を行う必要があると考える。

以上を踏まえ、我々は政府に対し、次のように提言する。

1.「慰安婦」問題に関し、今、米国下院に提出されている決議案は、「若い女性を日本帝国軍隊が強制的に性奴隷化」、「輪姦、強制的中絶、屈辱的行為、性的暴行が含まれるかつて例のない」、「20世紀最大の人身売買」などの客観的史実に基づかない一方的な認識により、日本政府に対して謝罪を求めている。日本の名誉のためにも米下院関係者を含め、「慰安婦」問題に関して内外に正確な理解を求め、決議案が採択されないよう、引続き外交努力を行う。

2.今回の慰安婦決議案も含めた数々の「慰安婦」問題に対する誤った認識は、平成5年の河野官房長官談話が根拠となっている。当時は公娼制度が認められており、慰安婦の中には不幸な境遇の方々がおられたことは認識している。この点に関しては同情を禁じえないし、遺憾の意を表する。しかし、我々の調査では、民間の業者による本人の意思に反する強制連行はあっても、軍や政府による強制連行という事実はなかった。1件だけ、ジャワ島における「スラマン事件」があったが、これは直ちに処分されており、むしろ軍による強制連行がなかったことを示すものである。政府として本問題の根本的解決のため、再度の実態調査を行い、関連する資料等の結果を全面的に公開することを求める。》

さて、この提言に関する中山成彬会長の記者ブリーフの中で、一部、興味深いやりとりがありました。社のスタンスがうかがえます。いかにも、というか。ここ数年、サヨク・リベラルの人たちが、以前は忌み嫌っていた「国益」という言葉をよく使うので面白いなあ、と思います。

《朝日記者 提言をまとめるまでの間、国内外からも反発があり、色々、影響があったかと思うが、この間の活動を総括して、国益上のメリット、デメリットはどういうものがあったか。

中山氏 反発?反発だけじゃなかったですよ。支援の声も多かったですよ。私どもは日本の、日本人の名誉のため、先の戦争でお国の犠牲になられた旧日本兵の方々、沢山の日本人の方々がいらっしゃるので、その方々の名誉のためにも事実は事実としてはっきりと世界に示して、日本人の誇りを取り戻すべきだと思いますよ。そういう観点からやったんであって、一部のマスコミから批判があったことは事実ですけど、ほとんどのマスコミの方々からはむしろ支持の声が強かったと、私はそういう認識をしております。

朝日記者 (吐き捨てるように)特にデメリットはなかったということでよろしいんですね。

中山氏 デメリットって何ですか?

朝日記者 いや、つまり国益上のですね…。

中山氏 我々は国益を守るためにやってるんですよ。今日も申し上げたんですけどね、これは国家的ないじめだと。黙っていると、日本の子供達は黙っているといじめられちゃうんで。私は教育再生の委員長もやってますが、いじめはなくさないといけませんが、いじめに屈しない強い子供達を育てていかなきゃいけないと思いますよ。ですから国際的にも日本人は大人しいから黙ってるんですけどね。黙ってるといじめられることが多いんでね。やはり、反論すべき事は反論していくと。こういう姿勢を貫いていかないと、これからの国際社会において日本の存在感は薄れていくと思いますよ。そういう意味で、私たちは国益のためにやってるんです。国益を損ねようとしている、損なっているとは全く思っていません。

TBS記者 国益のためにやっているというが、米国人等の感情を刺激するのは良くないと、かえって悪い方向に行かないように、という意見はなかったか。

中山氏 私は最初からこの問題は非常に微妙な問題、国内的にも国際的にも非常に微妙なので、非常に慎重にして行かなきゃいけないと思っておりました。しかし、あらぬ誤解とか、曲解に基づく批判に対しては、はっきりと反論していかなきゃいけない。降りかかる火の粉は払わなければ、日本の存在そのものが危ういと。そこが国益じゃないかと思ってます。だから、日本の若い留学生達が例えばアメリカとかカナダに行って、中国の留学生から「あんたの祖先は悪いことばっかりしたんだ」と批判されてね、それに対して反論も出来ずに小さくなっているという人もいる。そういう意味で、歴史教育についてもしっかりやっていかなければならないということじゃないかと思います。》

2010/12/18

中山成彬と安倍首相、オランダを怒らせる (07年)梶村太一郎



三年前の季刊中帰連に掲載された梶村太一郎の文章から、もう少し振り返ってみる。左ばかりではない。右もしばしば国益を害する。しかも困ったことに、その自覚がなかったりする。

ところで、「歴史修正主義者」が大半を占める安倍政権下の国会で、辻元清美衆議院議員が八日に提出した「安倍首相の『慰安婦』問題への認識に関する質問主意書」(下注参照)に対する、安倍内閣総理大臣による政府答弁書が出されたのは一六日のことだ。

彼女が即時それをHPに掲載したところ、AP通信が引用し「この政府公式見解には『政府は発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった』とあり、強制売春には証拠がないと主張している」と速報した。


※ 参考までに、辻元の質問主意書とそれに対する答弁書をここに上げておく。






オランダのバルケンエンデ首相は一九日、同国の公共ラジオで「わたしがこの報道を知ったのは、この日の閣議の席です。この報道は確かなもので、急いで外務大臣に日本大使に接触するようその場で要請しました。決して無視できないことですから」と述べている。

一七日のオランダの主要紙は「日本大使を召喚」との一面の記事で「首相は慰安婦に強制的に売春行為をさせたことを否定する日本政府に立腹している。・・・この種の発言について過去数週間に何度か説明を求めているのに明確な回答を得ていないので、日本大使の召喚を決定した。

首相は『日本政府の最近の方向転換の理由がなんであるのかに非常な関心がある。(新たな否定に)不愉快な驚きを覚えている』と述べた」と伝えた(NRCハンデルスブラット紙。村岡崇光氏の翻訳による)。オランダの首相が激怒するには十分な理由があるのだ。


中山成彬

ところで、中山成彬議員を会長とする自民党の国会議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が八日に政府に対して提出した「慰安婦」問題での提言書に、次の言葉がある。

「我々の調査では、民間の業者による本人の意思に反する強制連行はあっても、軍や政府による強制連行という事実はなかった。一件だけ、ジャワ島における『スマラン事件』があったが、これは直ちに処分されており、むしろ軍による強制連行がなかったことを示すものである」

すなわち、彼らですら否定することができない強制連行の証拠がオランダ人「慰安婦」に関してあるのだ。・・・



「強制連行は一件だけあった」、 本当にこんな事を言ったのか?言ったらしい。産経新聞の阿比留記者によると、実際中山はこの通り発言したようだ。

そもそも「強制連行」という言葉は、主に朝鮮半島からの戦時動員に対して用いられた言葉であった。日本人であれば徴用や勤労動員といった言葉をあてられる所を、朝鮮人の場合はこの言葉が使われていたのである。なぜか?金英達は、「恨みをこめて」こういう言い方がされるのだと解説している。

中山は、その経緯を忘れ、スマラン事件を「強制連行」と言ったことで、徴用の話を戦地での不法行為にすり替えた学者や市民運動家の土俵に乗ってしまったのである。彼は関係者が処罰されたから問題ないと言っているが、そういう話ではないのである。そもそも、この処罰は連合軍によるものであった(異説もあるようだが)。

こういう不見識なことを口走るから、以下のような主張を許すことになる。

(スマラン事件を含む調査報告書は)いわゆる「慰安婦」問題とは、事実において「日本軍による直接の強制売春でもあった」ことを証明する動かぬ証拠史料である。・・・オランダ政府が、「日本政府は見解を変えた」と判断して釈明を求めるのは、極めて正当な要求である。




「我々は国益を守るためにやってるんですよ。・・・これは国家的ないじめ・・・反論すべき事は反論していく」と、中山は言う。たしかに、これはイジメである。しかし「愛国者」中山の言動は国益を損ない、結局敵を喜ばせただけだった。